【古事記神話】本文
(~その100 天孫降臨編 1)
ついにこの企画物記事も
第100回目を迎え、
今回より「天孫降臨編」へと進みます。
第1回目の記事は2020年1月。
6年半でここまできましたか…
いやここまでしかきてないか…
特に100回記念というのはありません。
通過点とかっこ良く言っておきましょうか。
【読み下し文】
爾に天照大御神 高木神之命以て太子正勝吾勝勝速日天忍穗耳命に詔たまはく 今葦原中國を平け訖へぬと白す 故言依さし賜へる隨に降り坐し而して知看らしめせ 爾に其の太子正勝吾勝勝速日
天忍穗耳命答へて白く 僕は將に降りなむと裝束ひせし間に 子生れまし出つ 名は天邇岐志國邇岐志 [邇自り志至り以て音] 天津日高日子番能邇邇藝命 此子を應じて降ろす也
【大意】
(建御雷神の葦原中國平定の報告を受け)天照大神は高木神の命を以て太子正勝吾勝勝速日天忍穗耳命に詔した。「今葦原中國平定を終えたとのこと。故に言依さし賜へる(申し付けた)通りに、降って治めるように」と。すると正勝吾勝勝速日天忍穗耳命は答えた。「私が今正に降りようと服を着ている時に子供が生まれました。名は天邇岐志國邇岐志天津日高日子番能邇邇藝命。この子を降ろそうと思います」と。
【補足】
◎「天照大神は高木神の命を以て」天忍穂耳命を降臨させました。
これは天照大神と高木神との関係
(高木神の神と高皇産霊尊との関係もあるが…)を示す上での重要な記述。
先ず天照大神の父が高皇産霊尊であること。次に高皇産霊尊と高木神は本来は別神であること。記紀は天照大神を女性神とし(本来は男性神)、かつ皇祖神としたためにこのようなことが起きていると考えます。これはもちろん記紀編纂の発案者である持統天皇(天武天皇ではないと考える)自身が天照大神(女性神にすり替えた)の再来(或いは生まれ変わり)だとしたために起こったこと。
ちなみに高皇産霊尊の父は五十猛命、祖父はスサノオ神(五十猛命とスサノオ神とを同神と見なす説も有り)。五十猛命(天照大神の祖父)は記紀から抹殺、スサノオ神(天照大神の曾祖父)は弟とされました。
◎正勝吾勝勝速日天忍穗耳命
「勝」が三つもあることから勝負運に御利益のある神だとか…ま、それはともかくとして。
実際のところ「正に勝」「吾が勝」「速攻で勝」…と。いやはやご本人様は何ら戦などしておられないのですが。それどころか「騒がしい」などと言って一度逃げ帰って来られたのですが(笑)
配下に戦は任せるも、必ずや「勝」を得る神ということにしておきたかったということでしょうかね。
◎まるで良くできた神話の如くに…いや神話であった…ちょうど都合良く子供が生まれたのです。生まれたばかりの子を降臨させる?成人(15歳?)になってから降臨させるのであれば葦原中国の様子もまた変わっている?ツッコミどころは多々ありますが…。
名は天邇岐志 國邇岐志 天津日高 日子番能邇邇藝命(アメニキシ クニニキシ アマツヒダカ ヒコホノニニギノミコト)。あまりに長い名前なので半角スペースを入れました。この神が降臨したので(いわゆる「天孫降臨」)、威厳を出すために敢えて長くしたのでしょう。
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【読み下し文】
此の御子は高木神の女 萬幡豐秋津師比賣命に御合ひて生んだ子が天火明命 次 日子番能邇邇藝命 [二柱] 也 是を以て白したまふ隨に 日子番能邇邇藝命に科せて詔りたまふは 此の豐葦原水穗國は汝將に知らしめす國と言依さし賜ふ 故隨に命以て天降り可し
【大意】
この御子
(天忍穂耳命)が高木神の娘
萬幡豊秋津師比賣命を娶り生んだ子が天火明命、次に日子番能邇邇藝命
(ヒコホノニニギノミコト)の二柱である。このように申されるままに日子番能邇邇藝命に詔があった。「この葦原の豊かな瑞穂の国は、汝が治るべき国であると言依さしている。命じられた通りに天降りしなさい」と。
【補足】
◎系譜大好きな記の編纂者。父の天忍穂耳命からが伝えられています。即ち母は
萬幡豊秋津師比賣命(高木神の娘)、兄に天火明命、弟に日子番能邇邇藝命であると。
◎「日子番能邇邇藝命に科せて(おほせて)…」とあります。「科せる」とは今と同じで「罪をなすりつける」といったニュアンスが古代にもあったようです(「古語辞典」より)。しれっとえらい言葉が用いられていることが分かります。ここでは「言われるがままに従いなさい」といったところでしょうか。

音川安親編 万物雛形画譜 *画像はWikiより
今回はここまで。
「科せる」という言葉が使われていたことをあらためて知りました。
やはり一字一句追いかけていると、見えていなかったものが見えるものです。
次回は天降る日子番能邇邇藝命の前に
あの神が現れます。
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