「備中神楽」のスサノオ神。*フリー画像より







【古事記神話】本文 
(~その73 根堅州國 4)







スサノオ神は「根堅州國」で「巨人」となっていました。

…ガリバー並みに。

記紀の研究等で知られる神野志隆光氏は、
━━アマテラスとは高天原にあって葦原中国まで貫く秩序の原理である。スサノヲは秩序を根源からゆり動かす巨大なエネルギーだ━━

これはまた、上手く言ったものです。


爾に其の大神の髪を握りて 其の室の椽每に結び箸けて 而して五百引きの石を其の室の戶に取り塞ぎ 其の妻 須世理毘賣を負ひて 即ち其の大神の生大刀と生弓矢及び其の天沼琴を取り持ちて 而して逃げ出づ時に 其の天沼琴 樹に拂れて 地動鳴みき 故に其の所 寢みしたまへる大神 聞き驚き 而して其の室を引き仆したまひき 然れども椽に結へる髪を解く間に 遠き逃げたまひき


【大意】
そこで大神(須佐能男命)の髪を掴み、部屋の椽(垂木)毎に結びつけ、そして大きな岩を部屋の戸に取り塞ぎ、須世理毘賣を背負って大神の「生大刀(いくたち)」と「生弓矢(いくゆみや)」、「天沼琴(あめのぬごと)」を取り持ち逃げ出しました。ところがその時、「天沼琴」が樹に触れてしまい、地鳴りが起こりました。そこで寝ていた大神は地動鳴を聞き驚き、部屋を引き倒してしまいました。そして大神が椽(垂木)に結われた髪を解く間に、遠くに逃げたのです。


【補足】
ガリバーの世界ですね~(笑)
スサノオ神の偉大さを表すためにこのような巨人となったのでしょうが。

◎「生大刀」
「大刀」はまっすぐな直刀、「太刀」は反り刀に宛てられます(Wikiより)。
「生」は「立派な」という意味でしょうか。これは「生弓矢」も同様。

◎「天沼琴」
「天瓊琴」という用例もあり、「珠で作った立派な琴」という意味でしょうか。
また「天沼琴」は諸本により「天詔琴」と表記されるものもあり、「あめののりごと」と訓み「天つ神の詔(のりごと)を請う時に用いる琴」とする説もあるようです。

「詔(のりごと)」については手前味噌ながら、
「祝詞新講」次田潤著 (~3 祝詞の名義)の記事をご参照下さいませ。
いろいろとやっておくものですね~早速役に立ってる!

◎「三種神器」
「生大刀」「生弓矢」「天沼琴(天詔琴)」を以て、「三種神器」と言えようかと思います。これは続きの文(次回にUPします)からもよく判ります。

◎「拂」
「触れる」と訳しました。これは古語辞典や中国語辞書等あらゆるものを調べましたが分からず、久しぶりに虎の巻を拝読…。
「払」の旧字体のようですが、こればかりは分からん…。

◎「地動鳴」
「地動鳴(なりとよ)みき」と訓むようです(ついでにこちらも虎の巻をチラ見…)。
「(地鳴りがするほど)鳴りどよめき」ということでしょうね。




今回はここまで。

いよいよ「根堅州國」からの脱出成功か?



出雲国一ノ宮 熊野大社


*誤字・脱字・誤記等無きよう努めますが、もし発見されました際はご指摘頂けますとさいわいです。