☆ 「龍王ヶ淵」 (室生向渕)
大和国宇陀郡
奈良県宇陀市室生向渕
(詳細住所不明)(P有)
「大和富士」とも称される「額井岳」、その東側の「戒場山」の東側中腹、標高530mにある自然池、「龍王ヶ淵」と呼ばれています。池畔には堀越神社が鎮座。
東西150m、南北100mほどの巨大な池。周囲を山に囲まれ人里離れた山中にあり、絶景スポットとして知られます。
龍神伝承というのは見当たらないものの、以下のような説話があります。
━━後朱雀天皇の御代、「向渕(むこうぢ)」の目代であった藤原時廉が観音の霊性を感じ堀越神社の所に「浄仙の浴地」というのを見つけた。
ある時「龍王ヶ渕」を歩いていると、二人の乙女が渕の水浴びしていた。時廉が松の枝にあった天女の衣を取り、乙女の所に現れたので、乙女は驚き「私は人界の者ではない、この渕は人間の穢れを知らず、インドの善女竜王宮に通ずる底なしの渕である。時々この水に浴しているが、今や人間に見られては一刻も留まり難い」と言い、履を脱いだまま大空高く飛び去った。それでこの渕を「履ぬぎ池」とも言う━━
これとは別に、「続日本紀」に「鹿に水を飲まし給ひ後渕に向かふ」とあります。これは春日神が常陸国から大和国へと勧請される際に、同じく「向渕」の春日神社にて休憩したという伝承を元としています。この「淵」というのが当地のことではないかと考えます。
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