若宮神社 (春日大社 別殿)


大和国添上郡
奈良市春日野町160(春日大社内)
(春日大社有料P利用、料金不明)

■祭神


春日大社のいわゆる「境内」、ご本殿から南方200mほどに鎮座する社。
◎ご祭神の天押雲根命は、春日大社第三殿の天児屋根命と第四殿の比売神との間の御子で、「若宮」と称されます。比売神は天美津玉照比売命ですが、平安後期の「春日御社注進文」などでは天照大神とされています。
◎「長承注進状」には以下の若宮出現秘話が記されているようです。長保五年(1003年)三月三日巳の刻、第四殿大床に三升ほどの神秘的な水の塊のようなものの中から神の化身が出現し、第四殿内に入ったと。この化身というのが天押雲根命(若宮)のこと。「水神」とされていることから、「水の塊」という説話が生まれたものと思われます。
◎およそ40年後には、新しく出現したこの御子神(ここでは「五所王子」と言う)に御供がなされていないということで、神の怒りを買います。
そこで第二殿と第三殿の間に五所王子を奉斎したと「中臣祐賢春日御社縁起注進文」に記されています。
そして藤原忠実発願により、長承四年(1135年)に若宮神社が創建される運びとなりました。
◎大和国最大の祭は「春日若宮おん祭」。春日四神を差し置き、若宮に対する祭が最大のものとなっているのには理由が二つ考えられます。
まず一つは、若宮こそが大和で生まれた神であること。春日四座はいずれも他国から遷されてきた神々。もう一つは、若宮社の創建時に大和は長雨による洪水が頻繁に起こり疫病が流行してことによるもの。「水神」とされた若宮に祈りを捧げようと創建翌年に行われたのがこの祭。またそれにより長雨が収まったとも言い伝えられています。
若宮こそが大和でもっとも愛されている神なのかもしれません。