栗原神社 (高山市上宝町)


飛騨国荒城郡
岐阜県高山市上宝町宮原350
(P不明、駐車に困らなかったと思います)

■延喜式神名帳
栗原神社の比定社

■旧社格
郷社

■祭神
五十猛神
宇迦之御魂神
伊邪那美神
伊邪那岐神
菊理姫命


高山市の奥地、旧「上宝村」の西部に鎮座する社。村の東部は奥飛騨温泉郷、さらにその南東部は北アルプス。村の西部である当地は長閑な高原地帯であるものの町役場があります。
江戸時代には白山権現と称していたものを、明治になり現社名に変更しています。
創建に関しては貞観九年(867年)に神階の授与がみられることから、それ以前から鎮座していたことは確実。古老伝として、当社の東方字「沖巾」(未確認)と称するところに栗の木がよく繁茂、それをご神木として栗の実を祀っていたというもの。後に霊夢があり、現社地に遷座されたとしています。貴重な伝承に変わりはないものの、これだけでは式内社である所以、五十猛神を祀る所以には成り得ないかと。
北アルプスの山の一つ、乗鞍岳(「剣ヶ峰」を主峰とする山々、標高3026m)に乗鞍本宮(未参拝)が鎮座しますが、ご祭神四座のうち一座は五十猛神。こちらは元々山上にあったとされる「剣ヶ峰神社」が、麓の「沢上伊太祁曾神社」に合併したことによるもの。この乗鞍本宮の分社伊太祁曾神社は数十社あるとか。特に西へ下った丹生川村には相当数の分社があるようです。
つまり当地は伊太祁曾(五十猛神)信仰の強い地域と言えます。山岳信仰がこの神を持ち込んだものか、あるいは紀国の族が当地へ入植したものかは不明。 いずれにしても式内社である当社がその重要な鍵を握る一社であるかと思います。
なお古川町上町にも同名社が鎮座します(いずれ記事UPします)。

※写真は2017年5月撮影のものです。