麻生田神社 (足刈大明神)


大和国宇陀郡
奈良県宇陀市大宇陀区麻生田
(参道前に広い空きスペース有)
(Google mapで示されている地点は隣村の「馬取柿」で一般の民家、実際は200mほど東)

■祭神
足刈大明神(三輪の神の母神)


大宇陀区の「麻生田(あそだ)」に鎮座する社。社殿は無く、御神体は三本の巨樹。概見したところそれほどの老樹とは見えないため、歴史はそう古くはなさそう。ただ、このご神木に対しての崇め方は尋常ではないようにも思えます。
地元には「三輪の神の母神」が鎮まるという伝承があるようです。つまり大物主櫛甕玉命の母神であると。地元で直接伺ったお話では、大神神社の根源がここであると伝わっているとのこと。
思い出されるのは、菟田野地区に鎮座する神御子美牟須比神社神御子美牟須比命神社。こちらには三輪の神の御子神(あるいは母神とも)が鎮まるという伝承があります。式内比定社であるため歴史の古い社。
その辺りは「大宇陀町史」も触れており、「三輪の奥にあるものという信仰が大宇陀地方には残っている」と考えているようです。これらから察するに、三輪の東側の一帯を「隠口(こもりく)」と称し幽界の地とするなら、さらにその奥にある当地は根源の地。そのような信仰があったのではないかと思うのです。
当社の歴史は古くはないといえども、信仰自体は往古よりあったのかもしれません。
また民話として、大神神社より当社のご神木まで糸が渡されていたとされています。また当村は大神神社の鍵元であったとも。


国道166号 「女寄」交差点から大宇陀方面へ1kmほど進み、鋭角に左折して馬取柿方面へ。目印は「三六九教」という宗教施設。そこから400~500m進み、多方面からの道と合流する直前に入口があります。

参道は少々奥まったところから。

50mほど登ると鳥居が現れます。

三本の巨樹。

玉垣内には巨樹以外は無いようです。かなり手前に瑞垣が設けられており、ものものしさが感じられます。ご神木には注連縄も無し、一切触れてはならないということなのでしょうか。