田乃家神社・田乃家御前神社
(たのえじんじゃ)


伊勢国度会郡
三重県度会郡玉城町矢野字宮前387
(P有)

■延喜式神名帳
[田乃家神社] 田乃家神社の比定社

[田乃家神社] 皇大神宮摂社27社中の第5位
[田乃家御前神社] 皇大神宮摂社27社中の第6位

■祭神
[田乃家神社] 大川御滄川神(オオカワノミサムカワノカミ)
[田乃家御前神社] 御前神


皇大神宮摂社の上位の社でありながら、あまりに不明瞭なことが多い社。古来より多くの学者たちが解明に挑んでいるものの、未だ定説を見ないようです。
◎もっとも問題なのは「皇大神宮儀式帳」に当社名が記されていないこと。代わりに「田邊神社」と記されている社が当社に該当するであろうとされています。社名が列記される順が合致するため。「たのえ」が「たのへ」に、そして「たなへ」に転訛したというもの。地名の読みは「たぬい」であり、「田邊神社(たぬいじんじゃ)」が正しいのではないかと思います。
◎また「田邊氏神社」というのもあり、「田邊神社または田邊氏神社」とあることからみて同一社と考えられます。ところが所在地もご祭神も異なることから、まったく別の社とする考え方も。いずれにしても荒木田氏が奉斎していた氏神ではないでしょうか。
◎社名から「田」の「辺(邊)」にある社、つまり田のほとりにある社という考え方がありますが、これは主従が逆なのではと思っています。これに対し「田戸」であるとするものも。つまり公田の傍らに住む田や戸であるというもの。
◎ご祭神の大川御滄川神(オオカワノミサムカワノカミ)についても不明。田の神などと考えられていますが、皇大神宮末社牟弥乃神社に祀られる寒川比古・寒川比賣と関連があるのではないでしょうか。「滄」には「寒い」という意味もあることですし。なお度会延経は「滄」を「うみ」と解釈し、天照大神の水霊であるとしています。
当地周辺からは弥生・古墳時代の遺跡が多くあるらしく上古から人が生活してきた地。境内には古墳が5基あるとのこと(未確認)。
◎なお田乃家御前神社については元々前殿として鎮座していたのが、現在は同座されています。


境内南側に駐車場らしきスペース有。