大歳神社(天王宮)

遠江国長上郡
静岡県浜松市東区天王町1484-1
(P有)

■延喜式神名帳
大歳神社の論社

■旧社格
村社

■祭神
素戔嗚尊
大歳神
櫛稲田媛命
[配祀] 大己貴尊 事代主尊 伊邪那岐尊 伊邪那美尊 武甕槌命 経津主命 大田多根子命 長慶天皇 亀山天皇 後宇多天皇 後二條天皇 後醍醐天皇 後村上天皇

元々は天王宮、天皇宮、大歳神社の三社であったものが合祀されたものです。まず当地には大歳神社があったとされています。景行天皇40年に事代主尊が須波に天王社を創建しましたが、日本武尊が東征の際に首長の御久和神人が当地に遷したとあります(この時点で二社あったのだろうと推測)。そして別に天皇社というのがあり、江戸時代に三社を合祀したという歴史を歩んでいるようです。ちなみに須羽は諏訪のことでしょうか。
この由緒にはいくつか問題点があります。まず大歳神社は他に蒲神明宮も論社であり、当社で確定されてはいません。次に事代主神はほとんど事蹟が無い神であり、実在も疑問視されています。大和国葛城王朝が奉祭した「田」を神格化したものとするのが有力。
他にも内容ができすぎているような印象があります。天王社として事代主神の祖神にあたるスサノオ神が祀られていて、そのスサノオ神の御子神にあたる大歳神を祀る社のもとに遷座され、しかも遷座されたのにはスサノオ神が手に入れた天叢雲剣を授かった日本武尊が絡んでいる…。日本武尊の東征説話に絡めて編み出されたストーリーのような気がしなくもありません。
おそらく天王社らしきものもあり、大歳社らしきものもあったのだろうと思われます。スサノオ神や「田の神」または穀物系の神が祀られる社だったのでしょうか。現在ではスサノオ神の神威を踏まえて壮大な花火を打ち上げる祭が行われているそうですが、いつまでも愛される神社であってほしいものです。



本家の葛木御歳神社をはるかに凌ぐ盛大さは、父神であるスサノオ神のおかげのようです。