矢奈比賣神社 (見付天神)


遠江国磐田郡
静岡県磐田市見付1114-2
(P有)

■延喜式神名帳
矢奈比賣神社の比定社

■旧社格
県社

■祭神
矢奈比賣大神
[相殿] 菅原大神
[合祀] 火之迦具土神(愛宕神社) 表筒男神 中筒男神 底筒男神(住吉神社)


菅公が太宰府天満宮より勧請奉祀された正暦四年(993年)を起源とする、「見付天神裸祭」で有名な神社。
◎その菅公が勧請される以前より天神と称されていたそうです。ご本殿北側に雷塚と呼ばれる生雷神社の旧社地(現在は雷三神社に合祀)があったことから、落雷により雷神信仰が起き、さらに雷神との関連が強い菅公が勧請されてきたと推測できるでしょうか。旧社地は北方1.5kmほどのところにあり(元宮天神社)、遷座時期は不明ながら菅公の合祀時期と考えてよいかもしれません。
◎祭に関しては「比佐麻里」(「ひそまり」からの転訛か)と称して、全町の灯火を滅するなどの忌み籠りを行い神輿の渡御を行うそうです。
◎当社の知名度を高めているものの一つに、「悉平太郎」伝説もあります。中世の頃に信州より名犬を借り受けて怪物退治を行ったとされるもので、それまでの人身御供の慣わしを絶ちきったというもの。この怪物は雷神であり、人身御供の慣わしは落雷の頃より受け継がれていたものかもしれません。なおこの英雄犬は霊犬神社として、矢奈比賣神社北隣のつつじ公園内に祭られています。また太郎が倒れたところとして、本殿前に山神社が祀られています。
◎主祭神である矢奈比賣神については資料がありません。落雷(個人的思量)により天神信仰が盛んになり、さらに悉平太郎伝説も加わり原初の姿がまったく失われ、研究もなされていないようです。地の姫神であろうと思われます。