八幡神社 (御所市伏見)


大和国葛上郡
奈良県御所市伏見奥神417
(P有)


■旧社格
村社

■祭神
誉田別尊
天児屋根命
天照皇大神


「高天山(金剛山)」の麓、とはいえ海抜370mの集落に鎮座しています。
◎当社の出色は2点、一つはこの地域では珍しい室町時代の華美な建築様式。建築当時は極彩色だったとか。そしてもう一つが特に重要、境内社の弁財天社が古墳の頂にあること。ご本殿裏も円墳のようでもあります(未確認)。
◎弁財天下の円墳は石室が剥き出し、中の様子がはっきりと分かります。境内ということと盗掘済みということとで、おそらく大した調査研究がなされていない様子。想像するに鴨族のものなのでしょうか。
◎創祀由緒は不明。八幡神がご祭神ですが、この辺りに八幡系の足跡は見えずおそらく後の時代に勧請したもの。鎮座地、古墳があることを考慮すると、なぜ式内社ではないのかが不思議なほど。「奥神」という地名に謎があるのでしょうか。ちなみに高天彦神社高鴨神社のちょうど中間点、このラインはほぼ北西45度。また「極楽寺ヒビキ遺跡」と高宮廃寺跡とのちょうど中間点、こちらは北東45度に近いライン。こういったものも関係があるのかもしれません。
◎境内は非常に不自然な並び。ご本殿脇から古墳へ、そこには境内社数社を従えており、さらに古墳はご本殿と裏の古墳らしきものを見下ろす格好。つまり古墳の方がいわゆる格上。ところがご本殿裏を古墳と仮定すると、こちらの方が規模は大。
弁財天には姫神が祀られていることを考えると、被葬者は女性の可能性も。またご本殿は武神の八幡神であることを考えると、案外強いイメージの乏しい者に敢えて武神を当てたとも。
ひょっとしたら下照姫と兄の天稚彦神かも…と想像を掻き立てられるほどの、由緒ある古社であるような気がしてならない社です。
◎境内前面には「御歳山」が広がり下照姫と縁深い葛木御歳神社が、また「御歳山」の裏側には下照姫と同神とされる大倉比売を祀る古瀬の大倉比売神社戸毛の大倉比売神社が鎮座します。

*写真は過去数年に渡る参拝時のものが混在しています。






木々の隙間から「高天山(金剛山)・山頂を。

弁財天が鎮座する円墳。





石室内部の様子。

ご本殿の裏側にも円墳か。宮司さんに確認したところ、その可能性もあるとのこと。


真ん中のやや左が「御歳山」、左端は「畝傍山」。




大和国葛上郡の神社