原子力科学館(茨城県那珂郡東海村)。
原子力科学館という名の通り、簡単に言えば原子力の宣伝のための施設です。
入場無料。
「茨城原子力協議会」というところが運営しています。
以前にも来たことがあるのですが、記録のために再度訪れました。
が、かなり以前とは変わった施設になっていました。
どうやらコロナ後に、大きなリニューアルがあったようです。
以前は、原子炉の仕組み、原子力発電所の構造などを説明する展示物が前面に押し出されていたと思います。
ところがそのようなものはほぼ無くなり、「原子力」はトーンダウン。
これはやはり福島第一原発の事故の影響でしょうか。
世界最大級の霧箱。
確かに巨大でした。が、機器の不調のためか、一部の領域しか稼働していませんでした。残念。
ウラン鉱石の実物が置いてあるのはよかったです。
やはり実物の説得力は大きい。
ジオラマ(模型)コーナー。
これらは昔からあるものかと思います。この昭和の展示物のほうが、やはり魅力を感じます。
大洗にある高速実験炉「常陽」の模型。
これは原子力科学館の目の前にある JAEAの研究用原子炉 JRR-3。
こちらは日本初の原子炉 JRR-1。
昭和っぽさを感じる模型です。
J-PARCのジオラマもありました。
2階に上る階段から見たところ。
2階にもスペースがあり、原子力関係の書籍コーナーなどもありました。
興味がある人はそちらの書籍のほうが勉強になるかも。
原子力科学館には「別館」があります。
こちらは何かというと・・・
こちらです。JCOの臨界事故の展示。
当時の状況を再現し、ビデオで詳しい説明が流れます。
JCOの事故当時、私はここに住んでいて状況をよく覚えています。
会社で勤務中に、誰かがネットニュースで知ったのか、「東海村で何かあったらしい」と噂が流れ始めました。
臨界事故が起きて、周辺の放射線量が上がっていると。
今日はみんな早く帰れ、という社内アナウンスが流れました。
帰り道は大渋滞。
そして、もう臨界事故は収束したかと思っていましたが、実は継続中だったと後で知りました。
何も知らずに JCOの近くの国道をのんびり走っていました。(あとで青ざめました)
その夜のニュースで、NHKでは水野倫之氏が臨界事故について精力的に解説。
翌日は会社も臨時休業になり、街はコンビニも閉まり、ゴーストタウンに。
常磐道も閉鎖されました。
その後の風評被害などは、皆さんご存じのとおりです。
周辺住民は、私も含めて放射線の測定検査を受けました。
話を戻します。
その忘れてはならない臨界事故を再現する展示。
以前は展示機械がちゃんと稼働していたのですが、今はビデオが流れるだけになっていました。
それでも、この悲惨な事故を二度と起こさないよう、この展示はずっと残していただきたいと思います。
<訪問日:2024年10月>