3GeVシンクロトロン RCS:大強度陽子加速器施設 J-PARC(茨城)(2) | ZEL's:写真とジオラマとプラネタリウム

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趣味は写真、プラネタリウム巡り、科学施設巡り、ジオラマ初心者、フィギュアスケート観戦、かつてはゲーム音楽の作曲も。
2021/8月にこのブログを開設。

J-PARCのつづき。

今回は真ん中のオレンジ色のおむすび、「3GeVシンクロトロン RCS」です。

RCS=Rapid-Cycling Synchrotron だそうです。一周 350m。

 

 

リニアックからの陽子ビームを 3 GeV(3ギガ・エレクトロン・ボルトですが、「さんじぇぶ」と読むそうです)まで加速。光速の97%。加速に要する時間は 0.02秒。

 

RCS も地下にあります。

通路が折れ曲がっているのはわざとで、何か事故が起こった際に外部に直接漏れ出さないようにとのこと(陽子ビーム?)。

 

 

 

 

さあ、いかにもなヤツです。

加速器!って感じの装置が並んでいます。

この赤、黄、青は電磁石です。

これで陽子がおむすびの円周をうまくぐるぐる回るようにするため、のようです。

 

 

赤色は四極電磁石。

黄色は六極電磁石。

青色は偏向電磁石。いずれも日立製。

しかしこのガンダムのようなカラフルな配色は何を意味しているのでしょうか。

研究者の趣味なんでしょうか?

 

 

 

わかりにくいですが、ここがリニアックから来た陽子が合流する入射部。

天井を見てもらうと、写真中央部にもう1つ通路が見えます。

 

 

これがRCS全体を示していて、入射部は Injection sectionです。

 

 

入射してきた負水素イオンは、電子を2個はぎ取って陽子に変換します(荷電変換)。

荷電変換できなかった負水素イオンを捨てるための入射ダンプが、たぶんこの写真の中央やや左・・・だと思います。

 

 

これは高周波加速装置と呼ばれるもので、この金属の箱が真空管増幅器。

その奥に少し見える筒状のものが加速空洞。

つまり、これが陽子を加速させるための装置本体なのでしょうか。

東芝製。

 

 

こちらはキッカー電磁石。

円周をぐるぐる回るだけでは陽子ビームを外に出せないので、鉄道のポイント切り替えのように、タイミングを見てこの電磁石でキックするようです。出力段にあります。

 

 

出射セクションへ向かう分岐。

 

 

わかりづらいですが、これが出射セクション。

3方向に分かれていて、一番左が物質生命科学実験施設行き、真ん中がMR(メインリング)行き、一番右がRCS内をぐるぐる回るルート。

 

 

正直、J-PARCの中でもこのRCSが加速器として一番見ごたえがあると思います。

電磁石の巨大なコイルがむき出しになっているメカメカしさが良い。

 

 

(つづく)

 

<訪問日:2009年8月>