物価と円 | 政治経済とガンバだけ

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大阪在住。熱烈なガンバファン。固定資産税の国税化、雇用重視の法人税制、企業別最低賃金制度などを提案。

今回の為替変動は、2022年3月から始まっています。それまで1ドル115円ほどで安定的に推移していた為替が、アメリカの金融引き締めなどをきっかけに動き出し、その年の10月には一時1ドル150円まで円安が進みました。その流れが現在も続いています。

ここで問題は、それでは2022年3月までは、円安ではなかったのかということです。よく言われるように、すでに円安は進んでいたのです。それは物価との関係で説明されます。すなわち、アメリカで物価が上がっていて、日本で物価が上がっていない状態で、為替が変わらなかったらどうなるか。実質的には円安が進むのです。アメリカで物価が上がっているということは、ドルの価値は下がっているということです。その下がっているドルと、今までと同じ為替でつながっている円も、価値は下がってしまうということです。2022年3月以前から、円安は進んでいたのです。

それなら、世界で物価が上がっているなら、日本も同じように物価が上がらなければ、円の価値は下がり続けるのかという点です。それは必ずしもそうではありません。なぜなら、世界に比して、日本の物価がフラットであるとするならば、円高に振れるという形で調整されるルートもあるからです。必ずしも物価が上がらなければならないわけでは決してないのです。

物価はフラットなほうが良いという大きな根拠は、ほとんどの国民にとって、物価が上がることは不安でしかないからです。将来、物価が上がるなら、今のうちに買っておこうなどというインフレ心理は働かない。将来、物価が上がるなら、もっと節約してお金を貯めておこうとするのです。また、賃金と物価の好循環と言われても、賃金をもらっていない高齢者は、取り残されるだけです。

もちろん、賃金が上がることは重要です。但し、物価はフラットでいいのです。むしろ、物価が上がるから、実質賃金が下がってしまうのです。もっとも、今のインフレは不可抗力の面が強い。物価が上がりにくい日本は、むしろ優れている。ただ物価からは、明確な解決策が見えてこないのです。