皆さん、おはようございます。

佐伯恵太です。

 

 

以前、こんなブログを書きました。

 

NHK Eテレ『ろんぶ〜ん』が面白すぎるから全国民にまず一回観てほしい!!

 

 

「ろんぶ〜ん」は、Eテレで毎週木曜午後11時から放送されている「わかりやすく面白く論文を紹介する番組」です。

 

 

先日のブログでは、二週間前に放送された「ギャンブルと運」というテーマの回について書きました。

 

 

 

今回は、先週放送された「漫才」について。

 

 

 

 

この回もめちゃくちゃ面白かったです!!

 

 

漫才に 関する論文は「言語学」「医学」など様々な分野で書かれているそうです。

 

 

その中で今回紹介されたのは、滋賀県立大学 細馬宏通教授のこちらの論文です。

 

 

『漫才、コントのおけるツッコミ役のパフォーマティヴな気づき』

 

 

この研究は、言葉や動き、それらの関連性などをみていくことでコミュニケーションに秘められた法則を解き明かしている細馬先生が、漫才のツッコミについて分析された論文です。

 

 

一般的に漫才をする時、ツッコミがボケのボケ終わりですぐにツッコミを入れたとしても、笑いの形として成立します。

 

 

しかし、そこで敢えて若干の「ボケに気づくまでの間」を置いてからツッコミを入れることで観客を置いてけぼりにせず、観客も一緒にツッコめるような感覚になります。

 

 

この論文では、その一連の流れのことを「身体(しんたい)ノリ」と表現されています。

 

 

正確に言えば、もちろんネタはアドリブでやっているわけではないので、ツッコミはボケにすぐ気づいています。ちょっとの間、気づいていないという「演技」をしているわけです。

 

 

先生が研究されたサンドウィッチマンさんの場合、伊達さんが富澤さんの方を向いて話を振った後に正面に向き直って、ボケを正面向きで聞きながら少し間をとってツッコミを入れていました。

 

 

これが「身体ノリの基本の型」のようですひらめき電球

 

 

他にも、トレンディエンジェルさんの例が紹介されていて、ツッコミのたかしさんがツッコむ前にやはり正面を向いて少しためていたのですが、そこからツッコむ直前、さらに少し頷いてから、そのまま間髪入れずにツッコんでいました。

 

 

一瞬頷いて同意するかと見せかけてからツッコむパターン。ノリツッコミのコンパクト版みたいな感じです。

 

 

どうやら「身体ノリ」にはバリエーションがあるらしい目

 

 

気になってこの論文を調べると、全文は読めませんでしたが、概要をこちらで読むことができましたキラキラ

 

 

 

その概要の中にこんな文章が。

 

 

「身体ノリ」の事例についてマイクロ分析を行ったところ、「身体ノリ」とツッコミ行為との間の切断点を強調すべく、最小単位の発語や動作の断片が挿入されることがあることが判った。

 

 

文章が難しいですが・・・

 

どうやらやはり、身体ノリにはバリエーションがあるようですビックリマーク

 

 

 

そこで、M-1グランプリ 2018の優勝と準優勝の「霜降り明星さん」「和牛さん」の決勝ネタで調べてみることにしました!!

 

 

 

(明確な「身体ノリ」の基準は把握していないので、ここからは学術的な記載ではなく僕の主観・予想になります)

 

 

 

調べてみると、どちらのコンビも「身体ノリ」を頻繁に行い、様々なバリエーションを駆使されていました!!

 

 

ここからは、僕が勝手に命名した身体ノリのバリエーションをご紹介しますひらめき電球

 

 

 

◎霜降り明星さん

 

 

【逆身体ノリ】

 

ボケがボケている間、ツッコミがボケを凝視していて、ツッコむタイミングで正面を向く

 

このシーン下矢印

 

 

 

正面向きで間をとってから相手向きでツッコむ▶通常の身体ノリ

 

相手を見ながら間をとってから正面向きでツッコむ▶逆身体ノリ

 

 

霜降り明星はボケのせいやさんがとにかく面白く動き回るので、お客さんもそこをしっかり見た方が笑えます。ツッコミの粗品さんがボケ中のせいやさんを見ることで、観客の視線を誘導しているのではないでしょうか。

 

通常と逆パターンですが、相手を見ている状態からツッコミ時に正面を向くことでしっかり動きの変化がついています。

さらに、粗品さんはツッコミの言葉選びも抜群で面白いワードが飛び出すので、その時に正面を向いていることで粗品さんもフューチャーされます!!

 

逆転させることで自分たちによりフィットさせた身体ノリです。

 

 

 

【重ね身体ノリ】

 

一度目の身体ノリで半身相手に向いて、さらに二度目の補足ツッコミで完全に相手の方を向く

 

このシーン下矢印

 

 

一度目の身体ノリ を敢えて軽めにしておいて、次のツッコミで仕留めにいく。ボクシングで言うところの、ジャブ打ってからのストレートの感じの身体ノリ。

 

敢えて一回目をややウケにしておいて二回目で爆笑をとる。王者の余裕と品格を感じる身体ノリです。

 

 

 

◎和牛さん

 

【呼び止め身体ノリ】

 

ボケがボケた後、去っていく背中に対してツッコミを入れる

 

このシーン下矢印

 

 

水田さんがボケて川西さんがちょっとためている間に水田さんが容赦なく去っていきます。

 

去っていく水田さんの背中に対して川西さんのツッコミが入ります。なんとも哀愁漂う玄人好みな身体ノリです。

 

 

 

【繰り返身体ノリ】

 

ボケがボケた後、ツッコミが聞き直して二回目答えたタイミングで突っ込む

 

このシーン下矢印

 

 

ただでさえ通常のツッコミよりためを作る身体ノリ。そこへさらに聞き直すことで、笑いを欲する観客の気持ちは臨界点へ。

 

焦らされるのが大好きなあなたのための身体ノリです。

 

 

 

 

いやー、調べてみると想像以上に多種多様な身体ノリが存在しました。

 

そして、きっとまだまだたくさんの身体ノリが存在することでしょう。

 

 

 

研究者として実験を繰り返して論文を書いて、というわけでもなく、日々ステージでお笑いを追求していく中であらゆるテクニックを編み出していくお笑い芸人さんは本当に凄いです!!

 

 

そして、これを研究対象にして新たな分野を切り拓いている先生も凄いです!!

 

 

 

僕は理系の研究者出身の俳優なので、将来「お芝居(演技)を研究して論文を書きたい」と思っています目

 

 

漫才のツッコミでいう「身体ノリ」のようなものがお芝居の世界にも存在していて、俳優は無意識にやっているけど、誰もそれを説明できない。そんなことがたくさんあるように思います。

 

 

そういったものを一つ一つ解き明かしていくことで、俳優がより良いお芝居をすることにつながれば、そんなに素敵なことはありません。

 

もしチャンスがあれば是非、細馬先生にも色々教わりたいですひらめき電球

 

 

 

ちなみに、

 

漫才の論文、この放送回でもうひとつ紹介されていたのは甲南大学の瀧本明代教授の論文で、ロボットに漫才を作らせて、ロボットに漫才をさせるというもの。

 

 

笑いの要素をどのように分解して捉えているのか。

 

どうやってネタを作らせているのか。

 

こちらもとっても面白い内容でしたビックリマーク

 

 

いずれ、本当に面白い漫才をロボットがやれる時代が来るのかもしれませんね目

 

 

 

 

次回の「ろんぶ〜ん」は本日夜11時〜

 

社会問題を仕掛けで解決するという

「仕掛学」

 

 

こちらも楽しみですキラキラ

 

 

ろんぶ〜んに興味を持ってくださった皆さん、一緒に観て楽しみましょう音譜

 

 

 

 

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