お盆休み中に繰り返し聴いたCD | UNTITLED

お盆休み中に繰り返し聴いたCD

今年のお盆休みは前半は馬鹿みたいに暑かったり、中盤から後半は台風の影響があったりで外出するのも何かと億劫になり・・・今年購入したCD(主にジャズ)を聴き直していました。

まぁジャズだけでザックリ90枚程度なので全部が全部聴き直せた訳ではありませんが、その中でも気に入り何度か繰り返し聴いた作品もありました。

それが以下の作品です。

 

 

まずはピアニスト上野香織さんの「BLACK HEART Live at Twilight」。

 

 

メンバーはピアノが上野香織さん、アルトサックスがPatrick Bartley Jr.、ベースがNoah Jackson、ドラムが木村紘さん、ゲストドラムが岡部朋幸さん。

軽妙に始まる1曲目の「Sweet Pumpkin」は進行をしていくにつれて熱を帯びていく演奏はライブならではの高揚感。

メンバーとの息もばっちりでソロ前にビシッと決めてくれるところなんかゾワッとするほどの気持ちよさがあります。

2曲目の上野さんのオリジナル「My Little Sundhine」も可愛らしく美しいメロディーで、どこか儚さも感じる素晴らしい曲なのですが、それがどんどんと雄大に展開していくところなんか聴いていて胸が熱くなってきます。

ライブ録音らしく1曲当たりの演奏時間が短いものでも9分、長い曲だと15分ほどあるのですが、どの曲も演奏時間を全く長いと感じない表現力のすばらしさを実感できる1枚です。

また、音も凄い。

芯のあるピアノの音色はしっかりと収録されていながら、ややもすると強調され過ぎなのではないかと思われるようなベースの重低音も、全ての音の軸がピアノにあり、ドラムのスネアやシンバルなどの音の粒立ち、繊細さも余さず収録されているため、ボリュームを上げてもベースの重低音がほかの楽器の邪魔をすることなく、ライブ会場の熱気の一端をじっくりと堪能できます。

 

 

 

次はアメリカ人ピアニストRichie Beirachの「LEAVING」。

 

 

本作はRichie Beirachによるピアノソロのライブ盤。

昨年7月、Beirachが75歳の時に録音された作品で、ピアノソロ作品は1981年に日本でのみ発売された「Live in Tokyo」以来らしい。

1曲目のNardisからキャリアと実力を感じる変幻自在なメロディー展開が素晴らしく、ピアノソロ作品を聴いていることを忘れてしまうほど魅力的な音の数に圧倒されてしまいます。

2曲目はWhat Is This Thing Called Love?からAlone Together、Blue In Greenと流れるように展開していき、あまりの自然さに最初から1つの交響曲だったのではないかと錯覚するほど。

他にもRound MidnightやOn Green Dolphin Street、Solarなどの名曲が立て続けに演奏される本作は、ピアノソロ作品にありがちな「オリジナル曲ばかりでとっつきにくい」というジャズファンの方でも楽しめる構成になっていると思います。

展開が目まぐるしいので「これからジャズを聴いてみたい」という人には少し難しいかもしれませんが、でも、ピアノが好きであればどこかのタイミングで聴いてみてもらいたい1枚です。

 

 

 

3枚目はフランス人ピアニストSimon Chivallonの「Esquisses」。

 

 

1曲目のオリジナル曲「La Cible」は演奏前の椅子に座る音やスタジオの音全てが繊細に収録されており、耽美的な美しさを持つメロディーと相まって本作のスタートを切るにふさわしい曲でした。「さぁ、これからSimon Chivallonという人の演奏を聴くぞ!」という期待感に満ち溢れてきます。

2曲目の「Les Passantes」も曲の持つ少し不思議なメロディーの世界観に変な小細工なしに引き込んでくれるSimon Chivallonという人の感性と演奏に、ただただ魅せられてしまいます。

ショパンの曲も2曲ほど演奏していますが、曲の展開が見事でショパンの曲でありながらSimon Chivallonの作品として完成していて素晴らしいの一言。

前述のとおり、とにかく椅子に座る音の1音1音も漏らさない美しい録音で、ステージのすぐ近くで、目の前にピアノが現れるような非常に繊細で収録現場の空気を感じることができます。

本作、かなり好きです。

 

 

 

最後はピアニスト豊秀彩華さんの「それから」。

 

 

気付けばピアニストの作品ばかり聴いていたんだなぁ・・・。

昨年の11月に蕨のライブハウス「OurDelight」で豊秀さんの師匠、守屋純子さんとのTwin Pianoライブで初めて演奏を聴き、その際に「来年CDを出します」と聞いていたので楽しみにしていました。

ライブの際には師匠に気を使ったのか、守屋さんをサポートするような演奏が目立っていましたが、音のチョイスなど非常にセンスが良かったので、あの子がどんなリーダーアルバムを出すのか・・・楽しみにしていました。

で、7月に発売されるや速攻で購入し、それ以来定期的に聴いているアルバムです。

メンバーはピアノが豊秀彩華さん、サックスは江澤茜さん、ベースは手島甫さん、ドラムは山崎隼さん

1曲目のオリジナル曲「春の波」冒頭から「そういう入り方するか!?」とただただ感心。ジャズらしくないというか、日本的というか、クラシック的でもあるメロディーをピアノソロで重厚に演奏し、その後この曲がジャズとして展開していく気持ちよさったらありません。江澤茜さんのソプラノサックスの入り方も絶妙で最高です。

そしてそんなオリジナルで気持ちを持っていかれたと思ったら、2曲目はチャーリー・パーカーのDonna Leeでどジャズまっしぐらなビバップの楽しさ全開の演奏で楽しませてくれ、そうかと思えば3曲目は竹内まりやの「駅」です。

竹内まりやの「駅」をDonna Leeの次に持ってこようなんて、だれが考えたんでしょうか。しかもそもそもこの選曲って誰の影響??

ともかく、この「駅」の演奏も素晴らしく、江澤さんのソプラノサックスもそこまで感情的ではない非常にシラフ(?)の演奏でメロディーを吹き始めるのですが、演奏が進むにつれバンド全体が熱を帯び、気づけば江澤さんのサックスの情感的なことと言ったら、惹き込まれないわけがありません。

個人的に、今、イチオシの作品です。

 

 

 

今回はお盆休み期間中の限られた時間の中で特に気になって繰り返し聴いた作品なので、他にもたくさんの素晴らしい作品があります。

 

なのでそれらはまた別の機会にご紹介できれば・・・・