マイ・ベスト・ジャズ・アルバム 2010の続き その2
日に日にその惨状が明らかになっていく大地震の現場。
原子力事故という大惨事がさらに事態の混乱に拍車をかけ、そして銀行番号0001番の大手都市銀行のシステムトラブルによって金融パニックにもなりかねない危機的状況に陥っていますが、とにかく、繰り返しになって恐縮ですが、今回の大地震の被災者の方には心よりお見舞い申し上げます。
1日も早い状況の改善、復興を心よりお祈り致しております。
ということで、地震直後の我が家の散らかった写真を晒していても仕方がないので、2月25日の「マイ・ベスト・ジャズ・アルバム 2010の続き その1」に続き、2010年に発売になったJazzのCDからお勧めの作品を紹介致します。
音楽は心の肥やし。
少しでも多くの人が音楽を聴いて心を安らげていただければ・・・。
ちなみに、2010年のマイ・ベスト5は「ジャズ批評160号」をご参照下さい。

ジャズ批評 160号 (2011年 03月号)
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さて、まずはこちら。


Triangular View / Marco A Ricci & Mike Del Ferro & Massimo Manzi
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これが結構良いんだ。
1曲目の「Bossanora」の軽快でリズミカルな演奏は聴いた瞬間に惹かれてしまう。
Mike Del Ferroのピアノは軽いタッチでスイスイとスウィングしながらメロディーを奏でていくし、Massimo Manziのドラムもリズミカルで手数は多いのに無駄打ち無くお見事。リーダーのMarco A. Ricciのアルコが長いのがちょっと難か?
でも、そんな1曲目から2曲目の「3&4」への展開も素晴らしく、2曲合わせると10分近いのだけれど、ウットリと、一気に聴けてしまうこと間違いなし。
10曲目の「Besame Mucho」では悲しく、静かな演奏が続きます。これはこれで良いなぁ。
11曲目の「Triangular View」は、このアルバムの中ではちと難解でフリーっぽいですが、これもアルバムのアクセントになっていて結構イイ。
最後の「In The Wee Small Hours Of The Morning」では美しい旋律を、静かに、たっぷりと歌い上げ、そっとアルバムを締めくくってくれます。
と、良いところ尽くめのこのアルバムなのですが、最大の欠点が・・・
それは、ジャケットはしっかりとしているのに、CD-Rなんだよなぁ。
たまたま買ったヤツがプレスが間に合わなくてCD-Rだったのかなんなのか知らないけれど、CD-Rはダメでしょう。
そこだけは大きく減点。


GRACE / MICHAEL DEASE
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ジャズ批評で紹介した2010年マイ・ベストアルバムの中の1枚と同じレーベルから発売された、トロンボーンのMicheal Deaseのアルバム。
ジャケットのちょっと優しそうな笑顔がイヤらしい感じがするのは私だけでしょうか。
で、1曲目の「Discussao」が流れた瞬間、「あ、やっぱりイヤらしい」とニヤッとしてしまいました。
トロンボーンの優しい音色にピアノとギター、パーカッションとドラムが合わさり、さらにフリューゲルホルンが・・・もう、メロメロに甘いボッサ調。でも、これが嫌じゃないんだなぁ。イヤらしいくらい甘いけど。
2曲目の「Blues On The Corner」になると、さっきまでの甘いボッサは消えて、「おっ!」と思うほどのモダンジャズ。ここで改めてMicheal Deaseを見直します。
4曲目は急に変わってエキゾチックな、フュージョンのような出だしでビックリ。
6曲目の「Tippin'」はハイスピードでご機嫌なビバップ。この曲ではMicheal Deaseの技術力をこれでもか!と言うほど見せつけてくれます。
とにかくめくるめく、様々な曲調でトロンボーンを楽しませてくれる1枚。
参加ミュージシャンも多く、テナーサックスのEric Alexanderも参加していて、「この曲は誰が参加してるかな?」とメンバー一覧を眺めながら聴くのも楽しい。
このレーベル、侮れないなぁ。


NAPOLI / ROY POWELL
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なんでしょう、この人をバカにしたようなジャケット。パスタ、美味しく無さそうなんですけど。
しかも、もっと人をバカにしたのがこのCDの価格。
アルバムで、国内盤で1200円ってどういうこと!?
こんなに安いんだから内容も比例してダメなんだろう・・・・と侮ること無かれ。良いんです。
ノルウェー在住のRoy Powellのピアノは曲の持つ旋律をとても良く活かして、パッと花を咲かせます。
1曲目の「Tu Ca Nun Chiagne」は聴くからイタリアジャズという感じなのだけれど、その独特な世界観がとても心地良く、日本人、これ、絶対好きでしょう。
ピアノのRoy Powellの演奏は前述の通りなんだけれど、ベースのLorenzo Feliciatiは一歩引いてRoyのピアノを見事に支えているし、ドラムのMaxx FurianはRoyのピアノと競り合って演奏に緊張と調和を持たせているので全く飽きません。
ちなみに、ジャケットを開いて中を見てみると、3人のアーティストの写真が。
イタリアのミュージシャンて、見た目が怪しい人、多いなぁ。
ノルウェー人のRoy Powellもイタリアでレコーディングをすると、イタリア男性独特の色気が演奏にもたっぷりと滲み出るものなのか?とても面白い。


As it is / Mg3
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オーストリアのピアニストMartin Gasselsbergerのトリオ。・・・つづり長げぇよ。
ジャケットを見る限りベースのRoland Kramerは厳つそうだし、ドラムのGerald Endstrasserも曲者っぽい。
でも、実際に聴いてみると・・・なんなんだ、この爽やかで晴れやかな演奏の数々は・・・
1曲目の「Tea Time」や2曲目の「Simply Yours」は澄み渡った雲一つ無い晴れ空のような爽快で爽やかな演奏。曲のメロディーをたっぷりと聴かせてくれて余計なアドリブ、色づけをしていない、まさに土曜日や日曜日の朝に聴きたくなるような曲。
3曲目の「Reverie」ではいきなりストリング隊が登場してビックリさせられる。非常にゆっくりとしたバラードで、なんだこれは、ヒーリングミュージックか?という程に静かにメロディーを奏でている1曲。
ほぼ全曲がこの様な汚れのない爽やかな演奏。
いわゆるモダンジャズでは無くて、ヨーロピアンなジャズ。メロディーの美しさと雰囲気がイイ。
人によっては、「こんなのジャズじゃないよ」「こんな柔い演奏は楽しくない」という人も居るかも知れないけれど、いやいや、こういうのが好きな人、多いはず。
少なくとも私は好きな1枚。


Alone Together / Steve Koven Trio
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ジャケットの女性の雰囲気を見ると、内容はラテンのような陽気な演奏があるのかな?全面青調だけど。
と、CDを再生してみると、「Alone Together」の出だしからやられた!という感じ。
ゆっくりと、静かに、まるでクラシックのように始まっていくピアノソロ。
そしてドラムとベースが合流して徐々に盛り上がっていくのだけれど、冷たく燃える炎のような、極めて冷静な盛り上がり。
耽美的とも言えるし、自己陶酔型の演奏なのかも知れない。
でも、その美しい世界観がたまらない。
で、全編こんな感じなのかな?と思ったら、2曲目の「Indiana」などはいきなり軽快にスウィングしているから面白い。
3曲目の「All of You」はスウィングしていないけれど、耽美的ではなくて爽快な、終始盛り上がった演奏。Steve Kovenのピアノが若干手数多めに思えるほどだけれど、全く嫌味じゃない。むしろ好演。Anthony Michelliのドラムもそれに呼応して演奏をどんどん盛り上げていきます。
アルバム通しての緩急の付け方が絶妙で、あっと言う間に49分のCDを聴き終えてしまいます。
最後の「Bye Bye Blackbird」も、おいおい、そんな伴奏で良いのか?と突っ込みたくなるようなSteve Kovenの左手の演奏が、次の瞬間パッと華やかにアドリブに移っていくのは何とも面白くて楽しい。
買って正解の1枚。


The Power Of Fate / KAZUKO BABA
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日本人女性ピアニストのKAZUKO BABAさん。力強い演奏で小気味イイ。
ベースの安ヵ川大樹さんやドラムの小山太郎さんも素晴らしい。このお二方の演奏、好きなんですよ、私。
で、KAZUKO BABAさんの演奏はと言うと・・・1曲目の「Summtertime」がなんというか、男らしい力強い演奏。どんな夏なんだ、これは。
こういう演奏をする日本人女性ピアニスト、他にも居たなぁ。
こんな感じで2曲目の「Lover Man」もガシガシと弾いていくのかなぁと思ったら、2曲目は小気味よくスウィングしています。力強いのは同様だけれど。
そんな力強く怒濤のように突っ走っていくBABAさんのピアノを、安ヵ川さんのベースがドッシリとした演奏と音色で落ち着かせ、小山さんのドラムがしっかりと下支えしています。
オリジナル曲も多く、曲調はやや木住野佳子さんや安井さち子さんに似た感はあるけれど、曲によっては少し可愛らしい旋律や初期モダンジャズのようなイメージもあって面白い。
9曲目の「Besame Mucho」も、おっ!この辺りでドラムのスネアがシャカシャカと入ってくるかな?と思ったら、結局最後までピアノ1本で弾き通してしまって裏切られるのだけれど、ピアノ1本でしっかりと楽しませてくれます。
最後の「The Power of Fate」は直訳すると「運命の力」かな?
これもBABAさんのオリジナル曲だけれど、「運命の力」というタイトルに相応しいのか相応しく無いのか、美しい旋律で一気に聴かせてしまいます。
「The Power of...」なんていうから、てっきり前半の演奏同様、力強い演奏で締めくくってくれるのかと思いきや、最後はこの美旋律をピアノ1本で締めくくってくれます。
きっと、ライブで聴くと更に面白いアーティストなんだろうなぁ。
今度是非一度、ライブで聴いてみたいピアニストです。


AGEHA / 中島心
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フルート奏者の中島心さんの作品。ベースが中山英二さんというのも嬉しいなぁ。
中山さんがプロデュースをしていると言うこともあり、1曲目の中島さんのオリジナル曲「Monster's Dance」からジャズの持つ妖艶さが爆発です。
ジャズフルートと言うとあまりメジャーではないけれど、トランペットのように金属的な音色ではなく、トロンボーンのようにマッタリとしていないので、歌声のようにジャズのフレーズを歌い上げてくれるので、なかなか良いのです。
そんな中島さんのフルートも良いのですが、中山さんのベースもたっぷりと楽しめるので、中山英二ファンはたまらないかも。
全般を通してモダンジャズ調の演奏が多いので、聴き終わった後は「ジャズを聴いたなぁ」と満足感たっぷり。
そんな中にも、中山さんのオリジナル曲「Palpitation」や「Memories The Scene」など、ジャズジャズした演奏ではなくて、しっとりと、哀しげなメロディーを映画音楽のように聴かせてくれたりと、バラエティーに富んでいて一気に聴けてしまいます。
ちなみにバラードでのPeter Madsenのソロは秀逸。
「AGEHA」というCDタイトルにはちょっと閉口する(個人的に蝶や蛾が嫌いだから)けれど、こんな「蝶」ならイイかもしれない。
このブログを書いている最中に知ったのだけれど、中島心さん、さいたま市のご出身らしい。
なんだ、同郷じゃないか。
応援しなきゃいけないなぁ。
美人だし(笑)。


Melodies In My Mind / 秋満義孝 feat.増田ひろみ
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ベテランピアニスト、秋満義孝さんに、アルトサックス奏者増田ひろみさんをフューチャーした作品。
秋満さんのピアノは、前田憲男さんや猪俣猛さん、荒川康男さんのビッグバンド「THE KING」が1997年3月に浜離宮で演奏した時のDVD『KING OF JAZZ
』に秋満さんがゲスト参加をして居たのだけれど、その中で秋満さんの「Cumana」の演奏を聴いて以来、ゾッコンになってしまいました。
そんな秋満さんの「今」の演奏が聴けると言うことでウキウキしながら聴いてみると・・・くぅ~~っ!たまらん!!落ち着く!!!
1曲目の「Rose Room」や2曲目の「I Surrender Dear」、7曲目の「All Of Me」なんか、この落ち着くスウィングはなんですか!?
演奏スタイルとして「古い」と思う人も居るでしょうが、だからこそ、落ち着く!!
ゆったりと、リクライニングチェアに腰掛けてリラックスしながら聴くと最高。
ディズニーの「わんわん物語」の名曲「La La Lu」や、NHKの番組でお馴染み「遠くへ行きたい」のテーマ、服部良一の名曲「蘇州夜曲」、映画「ひまわり」のテーマなど、選曲も最高。普通選びませんよ、「遠くへ行きたい」なんて。
それらの曲を、これ以上なくストレートに、美味しいメロディーをたっぷりと聴かせてくれるのも嬉しい。
増田ひろみさんのアルトの実力がいかんなく発揮されているかは別として、ベテランピアニストの世界観をしっかりと膨らませていてお見事。
レコーディングの時点で80歳(!)のベテランピアニスト秋満義孝さんの世界をたっぷりと堪能できる1枚。
小難しいことは一切無く、純粋にジャズという音楽を楽しめる秀逸な1枚です。
ということで、2010年のお勧めCDはこの辺りで。
他にも素晴らしい作品は沢山あったのだろうけれど、残念ながら金銭的に全部買えるわけもなく、私が2010年に手にした2010年発売のお勧め盤はこの様な感じでした。
ジャズ批評誌を見ていると良さそうなものが沢山あるし、原稿を書いた後に購入した2010年発売の作品の中にも素晴らしいものが沢山あります。
今後更に「2010年発売のお勧めCD」は増えていくんだろうなぁ。
これだからジャズを聴くのはやめられません!
原子力事故という大惨事がさらに事態の混乱に拍車をかけ、そして銀行番号0001番の大手都市銀行のシステムトラブルによって金融パニックにもなりかねない危機的状況に陥っていますが、とにかく、繰り返しになって恐縮ですが、今回の大地震の被災者の方には心よりお見舞い申し上げます。
1日も早い状況の改善、復興を心よりお祈り致しております。
ということで、地震直後の我が家の散らかった写真を晒していても仕方がないので、2月25日の「マイ・ベスト・ジャズ・アルバム 2010の続き その1」に続き、2010年に発売になったJazzのCDからお勧めの作品を紹介致します。
音楽は心の肥やし。
少しでも多くの人が音楽を聴いて心を安らげていただければ・・・。
ちなみに、2010年のマイ・ベスト5は「ジャズ批評160号」をご参照下さい。

ジャズ批評 160号 (2011年 03月号)
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さて、まずはこちら。

Triangular View / Marco A Ricci & Mike Del Ferro & Massimo Manzi
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1曲目の「Bossanora」の軽快でリズミカルな演奏は聴いた瞬間に惹かれてしまう。
Mike Del Ferroのピアノは軽いタッチでスイスイとスウィングしながらメロディーを奏でていくし、Massimo Manziのドラムもリズミカルで手数は多いのに無駄打ち無くお見事。リーダーのMarco A. Ricciのアルコが長いのがちょっと難か?
でも、そんな1曲目から2曲目の「3&4」への展開も素晴らしく、2曲合わせると10分近いのだけれど、ウットリと、一気に聴けてしまうこと間違いなし。
10曲目の「Besame Mucho」では悲しく、静かな演奏が続きます。これはこれで良いなぁ。
11曲目の「Triangular View」は、このアルバムの中ではちと難解でフリーっぽいですが、これもアルバムのアクセントになっていて結構イイ。
最後の「In The Wee Small Hours Of The Morning」では美しい旋律を、静かに、たっぷりと歌い上げ、そっとアルバムを締めくくってくれます。
と、良いところ尽くめのこのアルバムなのですが、最大の欠点が・・・
それは、ジャケットはしっかりとしているのに、CD-Rなんだよなぁ。
たまたま買ったヤツがプレスが間に合わなくてCD-Rだったのかなんなのか知らないけれど、CD-Rはダメでしょう。
そこだけは大きく減点。

GRACE / MICHAEL DEASE
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ジャズ批評で紹介した2010年マイ・ベストアルバムの中の1枚と同じレーベルから発売された、トロンボーンのMicheal Deaseのアルバム。
ジャケットのちょっと優しそうな笑顔がイヤらしい感じがするのは私だけでしょうか。
で、1曲目の「Discussao」が流れた瞬間、「あ、やっぱりイヤらしい」とニヤッとしてしまいました。
トロンボーンの優しい音色にピアノとギター、パーカッションとドラムが合わさり、さらにフリューゲルホルンが・・・もう、メロメロに甘いボッサ調。でも、これが嫌じゃないんだなぁ。イヤらしいくらい甘いけど。
2曲目の「Blues On The Corner」になると、さっきまでの甘いボッサは消えて、「おっ!」と思うほどのモダンジャズ。ここで改めてMicheal Deaseを見直します。
4曲目は急に変わってエキゾチックな、フュージョンのような出だしでビックリ。
6曲目の「Tippin'」はハイスピードでご機嫌なビバップ。この曲ではMicheal Deaseの技術力をこれでもか!と言うほど見せつけてくれます。
とにかくめくるめく、様々な曲調でトロンボーンを楽しませてくれる1枚。
参加ミュージシャンも多く、テナーサックスのEric Alexanderも参加していて、「この曲は誰が参加してるかな?」とメンバー一覧を眺めながら聴くのも楽しい。
このレーベル、侮れないなぁ。

NAPOLI / ROY POWELL
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なんでしょう、この人をバカにしたようなジャケット。パスタ、美味しく無さそうなんですけど。
しかも、もっと人をバカにしたのがこのCDの価格。
アルバムで、国内盤で1200円ってどういうこと!?
こんなに安いんだから内容も比例してダメなんだろう・・・・と侮ること無かれ。良いんです。
ノルウェー在住のRoy Powellのピアノは曲の持つ旋律をとても良く活かして、パッと花を咲かせます。
1曲目の「Tu Ca Nun Chiagne」は聴くからイタリアジャズという感じなのだけれど、その独特な世界観がとても心地良く、日本人、これ、絶対好きでしょう。
ピアノのRoy Powellの演奏は前述の通りなんだけれど、ベースのLorenzo Feliciatiは一歩引いてRoyのピアノを見事に支えているし、ドラムのMaxx FurianはRoyのピアノと競り合って演奏に緊張と調和を持たせているので全く飽きません。
ちなみに、ジャケットを開いて中を見てみると、3人のアーティストの写真が。
イタリアのミュージシャンて、見た目が怪しい人、多いなぁ。
ノルウェー人のRoy Powellもイタリアでレコーディングをすると、イタリア男性独特の色気が演奏にもたっぷりと滲み出るものなのか?とても面白い。

As it is / Mg3
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オーストリアのピアニストMartin Gasselsbergerのトリオ。・・・つづり長げぇよ。
ジャケットを見る限りベースのRoland Kramerは厳つそうだし、ドラムのGerald Endstrasserも曲者っぽい。
でも、実際に聴いてみると・・・なんなんだ、この爽やかで晴れやかな演奏の数々は・・・
1曲目の「Tea Time」や2曲目の「Simply Yours」は澄み渡った雲一つ無い晴れ空のような爽快で爽やかな演奏。曲のメロディーをたっぷりと聴かせてくれて余計なアドリブ、色づけをしていない、まさに土曜日や日曜日の朝に聴きたくなるような曲。
3曲目の「Reverie」ではいきなりストリング隊が登場してビックリさせられる。非常にゆっくりとしたバラードで、なんだこれは、ヒーリングミュージックか?という程に静かにメロディーを奏でている1曲。
ほぼ全曲がこの様な汚れのない爽やかな演奏。
いわゆるモダンジャズでは無くて、ヨーロピアンなジャズ。メロディーの美しさと雰囲気がイイ。
人によっては、「こんなのジャズじゃないよ」「こんな柔い演奏は楽しくない」という人も居るかも知れないけれど、いやいや、こういうのが好きな人、多いはず。
少なくとも私は好きな1枚。

Alone Together / Steve Koven Trio
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ジャケットの女性の雰囲気を見ると、内容はラテンのような陽気な演奏があるのかな?全面青調だけど。
と、CDを再生してみると、「Alone Together」の出だしからやられた!という感じ。
ゆっくりと、静かに、まるでクラシックのように始まっていくピアノソロ。
そしてドラムとベースが合流して徐々に盛り上がっていくのだけれど、冷たく燃える炎のような、極めて冷静な盛り上がり。
耽美的とも言えるし、自己陶酔型の演奏なのかも知れない。
でも、その美しい世界観がたまらない。
で、全編こんな感じなのかな?と思ったら、2曲目の「Indiana」などはいきなり軽快にスウィングしているから面白い。
3曲目の「All of You」はスウィングしていないけれど、耽美的ではなくて爽快な、終始盛り上がった演奏。Steve Kovenのピアノが若干手数多めに思えるほどだけれど、全く嫌味じゃない。むしろ好演。Anthony Michelliのドラムもそれに呼応して演奏をどんどん盛り上げていきます。
アルバム通しての緩急の付け方が絶妙で、あっと言う間に49分のCDを聴き終えてしまいます。
最後の「Bye Bye Blackbird」も、おいおい、そんな伴奏で良いのか?と突っ込みたくなるようなSteve Kovenの左手の演奏が、次の瞬間パッと華やかにアドリブに移っていくのは何とも面白くて楽しい。
買って正解の1枚。

The Power Of Fate / KAZUKO BABA
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日本人女性ピアニストのKAZUKO BABAさん。力強い演奏で小気味イイ。
ベースの安ヵ川大樹さんやドラムの小山太郎さんも素晴らしい。このお二方の演奏、好きなんですよ、私。
で、KAZUKO BABAさんの演奏はと言うと・・・1曲目の「Summtertime」がなんというか、男らしい力強い演奏。どんな夏なんだ、これは。
こういう演奏をする日本人女性ピアニスト、他にも居たなぁ。
こんな感じで2曲目の「Lover Man」もガシガシと弾いていくのかなぁと思ったら、2曲目は小気味よくスウィングしています。力強いのは同様だけれど。
そんな力強く怒濤のように突っ走っていくBABAさんのピアノを、安ヵ川さんのベースがドッシリとした演奏と音色で落ち着かせ、小山さんのドラムがしっかりと下支えしています。
オリジナル曲も多く、曲調はやや木住野佳子さんや安井さち子さんに似た感はあるけれど、曲によっては少し可愛らしい旋律や初期モダンジャズのようなイメージもあって面白い。
9曲目の「Besame Mucho」も、おっ!この辺りでドラムのスネアがシャカシャカと入ってくるかな?と思ったら、結局最後までピアノ1本で弾き通してしまって裏切られるのだけれど、ピアノ1本でしっかりと楽しませてくれます。
最後の「The Power of Fate」は直訳すると「運命の力」かな?
これもBABAさんのオリジナル曲だけれど、「運命の力」というタイトルに相応しいのか相応しく無いのか、美しい旋律で一気に聴かせてしまいます。
「The Power of...」なんていうから、てっきり前半の演奏同様、力強い演奏で締めくくってくれるのかと思いきや、最後はこの美旋律をピアノ1本で締めくくってくれます。
きっと、ライブで聴くと更に面白いアーティストなんだろうなぁ。
今度是非一度、ライブで聴いてみたいピアニストです。

AGEHA / 中島心
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フルート奏者の中島心さんの作品。ベースが中山英二さんというのも嬉しいなぁ。
中山さんがプロデュースをしていると言うこともあり、1曲目の中島さんのオリジナル曲「Monster's Dance」からジャズの持つ妖艶さが爆発です。
ジャズフルートと言うとあまりメジャーではないけれど、トランペットのように金属的な音色ではなく、トロンボーンのようにマッタリとしていないので、歌声のようにジャズのフレーズを歌い上げてくれるので、なかなか良いのです。
そんな中島さんのフルートも良いのですが、中山さんのベースもたっぷりと楽しめるので、中山英二ファンはたまらないかも。
全般を通してモダンジャズ調の演奏が多いので、聴き終わった後は「ジャズを聴いたなぁ」と満足感たっぷり。
そんな中にも、中山さんのオリジナル曲「Palpitation」や「Memories The Scene」など、ジャズジャズした演奏ではなくて、しっとりと、哀しげなメロディーを映画音楽のように聴かせてくれたりと、バラエティーに富んでいて一気に聴けてしまいます。
ちなみにバラードでのPeter Madsenのソロは秀逸。
「AGEHA」というCDタイトルにはちょっと閉口する(個人的に蝶や蛾が嫌いだから)けれど、こんな「蝶」ならイイかもしれない。
このブログを書いている最中に知ったのだけれど、中島心さん、さいたま市のご出身らしい。
なんだ、同郷じゃないか。
応援しなきゃいけないなぁ。
美人だし(笑)。

Melodies In My Mind / 秋満義孝 feat.増田ひろみ
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ベテランピアニスト、秋満義孝さんに、アルトサックス奏者増田ひろみさんをフューチャーした作品。
秋満さんのピアノは、前田憲男さんや猪俣猛さん、荒川康男さんのビッグバンド「THE KING」が1997年3月に浜離宮で演奏した時のDVD『KING OF JAZZ
そんな秋満さんの「今」の演奏が聴けると言うことでウキウキしながら聴いてみると・・・くぅ~~っ!たまらん!!落ち着く!!!
1曲目の「Rose Room」や2曲目の「I Surrender Dear」、7曲目の「All Of Me」なんか、この落ち着くスウィングはなんですか!?
演奏スタイルとして「古い」と思う人も居るでしょうが、だからこそ、落ち着く!!
ゆったりと、リクライニングチェアに腰掛けてリラックスしながら聴くと最高。
ディズニーの「わんわん物語」の名曲「La La Lu」や、NHKの番組でお馴染み「遠くへ行きたい」のテーマ、服部良一の名曲「蘇州夜曲」、映画「ひまわり」のテーマなど、選曲も最高。普通選びませんよ、「遠くへ行きたい」なんて。
それらの曲を、これ以上なくストレートに、美味しいメロディーをたっぷりと聴かせてくれるのも嬉しい。
増田ひろみさんのアルトの実力がいかんなく発揮されているかは別として、ベテランピアニストの世界観をしっかりと膨らませていてお見事。
レコーディングの時点で80歳(!)のベテランピアニスト秋満義孝さんの世界をたっぷりと堪能できる1枚。
小難しいことは一切無く、純粋にジャズという音楽を楽しめる秀逸な1枚です。
ということで、2010年のお勧めCDはこの辺りで。
他にも素晴らしい作品は沢山あったのだろうけれど、残念ながら金銭的に全部買えるわけもなく、私が2010年に手にした2010年発売のお勧め盤はこの様な感じでした。
ジャズ批評誌を見ていると良さそうなものが沢山あるし、原稿を書いた後に購入した2010年発売の作品の中にも素晴らしいものが沢山あります。
今後更に「2010年発売のお勧めCD」は増えていくんだろうなぁ。
これだからジャズを聴くのはやめられません!