長らく投稿お休みしていましたが、今日からボチボチ再開したと思います。
さて、今回は「遺留分」のお話です。「遺留分」を一言で言いますと、「法定相続人」が最低限守られている「権利」です。
例えば、夫、妻、子供2人の家庭があったとします。夫が亡くなってしまった場合法定相続の割合は、妻が2分の1、子Aが4分の1、子Bも4分の1です。
ある日夫が、妻ならびに子Aの2人と大喧嘩をしてしまい、遺言書を書き換えて「ワシの遺産は全て子Bに相続する!」と記してしまったとします。大喧嘩はそのうち納まり、完全に仲直りが出来ました。その後病気になってしまった夫の看病を妻と子Aが献身的に行いましたが、残念な事に亡くなってしまったとします。
さて、遺言書がでてきたらまぁ~大変!「ワシの遺産は全て子Bに相続する!」がそのままの形で残ってしまっていたのです。夫が書き換えるのを忘れたのでしょう。
こうなってしまった場合にどうなるのか?基本的には残された遺言書は「有効」です。正式な形で残されていた遺言書であれば、基本的には夫の財産は全て子Bに相続されます。しかし、こうなってしまうと妻と子Aは可哀そうですよね。本人たちも納得いかないでしょう。
このような場合だけを想定している訳ではないでしょうが、そもそもの法定相続人には「遺留分」という「最低限の権利」が設定されています。
上記のような場合には、「妻」と「子A」は遺言書通りに相続された場合の遺産は「なし」ですが、「遺留分」として「法定相続分」の2分の1を請求する権利があるとされています。つまり「妻」は全財産の「4分の1」、「子A」は全財産の「8分の1」を請求できるんです。
基本的には「遺留分」は「法定相続分」の2分の1ですが、そうでない場合もあります。「兄弟姉妹」が「法定相続人」になる場合と「親」のみが法定相続人になる場合です。
【ケースA 兄弟姉妹が法定相続人になる場合】
「法定相続人」になりえる人の中で、「兄弟姉妹」には「遺留分」が認められていません。
つまり亡くなった人の「遺言書」で「兄弟姉妹」に財産を一切残さないといった内容が書かれていた場合には、別途協議等が成立しない限りは、それに従うしかありません。
「兄弟姉妹」が法定相続人になりうるケースは2つ。
①法定相続人が「配偶者」と「兄弟姉妹」の場合(「親」と「子」がいないケース)
②法定相続人が「兄弟姉妹」のみの場合(「配偶者」と「親」と「子」がいないケース)
です。
①の場合の法定相続分は「配偶者」が4分の3で「兄弟姉妹」が4分の1です。この場合「兄弟姉妹」には「遺留分」が認められていないので「遺留分」なしです。このケースでは「配偶者」の法定相続分が「4分の3」なので「遺留分」が「8分の3」になりそうですが、そうではなく、「配偶者」の遺留分は「2分の1」となります。
②の場合も「兄弟姉妹」には「遺留分」が認められていないため、「兄弟姉妹」の遺留分は「なし」です。その他には法定相続人は存在しませんので、このようなケースの場合には「遺留分」を持つ相続人は存在しない事になります。
【ケースB 親のみが法定相続人になる場合】
「配偶者」と「親」が相続人となる場合には、セオリー通りに「配偶者」が「6分の2」で「親」が「6分の1」の遺留分を持つ事になりますが、「親」のみが相続人になる場合の遺留分は「2分の1」ではなく「3分の1」と決められています。
以上が「遺留分」に関する決まり事です。
この「遺留分」に関するところでのポイントは2つあります。
①「遺言」を残す場合には各相続人の「遺留分」を侵害しないようにする!
「遺言書」によっては、各自の遺留分を無視した相続内容になってしまう事もありえると思いますが、そうなってしまった場合には「遺留分」未満の相続人が他の相続人に「遺留分までは払え!」といった訴えを起こせる事になってしまいます。
「遺言書」の目的が「円満な相続」なのであれば、最初から揉め事にならないような割合での「遺言書」を作っておいた方が良いでしょう。
②「不動産」等の分けられない資産が多い場合にはトラブルになりかねない。
例えば5000万円の不動産と現金1000万円の資産がある人が亡くなったとして、不動産は「配偶者」が相続し、現金は「子」が相続するとしても。「子」の遺留分は(6000万円÷2÷2)1500万円なので、「配偶者」に対して500万円請求できる事になります。不動産が「配偶者」の住んでいる住宅なのであれば、別の解決方法(後日解説)もあるのですが、例えば賃貸に出しているテナントビル等であった場合には基本現金で解決するしかありません。このような財産構成だった場合には民間保険等を有効活用する方法も考えられますね。
また、「遺留分」だのなんだのかんだのと少々「物騒」な表現を使いましたが、仮に「遺言書」があったとしても「相続人」全員が納得しての協議であれば全て「遺言書」の内容通りに相続しなければならないという事でもありませんし、遺言書がなかったとしても一部遺留分を放棄等して遺産分割するという方法もあります。
しかしながらこれは「相続人」同士の人間関係が良好な場合にのみ有効な手段ですので、やはり「不動産」や「その他資産」を持っている人に関しては、相続人同士が揉め事にならないような「遺言書」を作成したり、その他の対策をしておくのが良いかもしれませんね。
と、いう事で今回はここまで。
次回は「法定相続人」が先に亡くなってしまっていた場合の「代襲相続」に関して解説したいと思います。
ほなまた!
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※今回の記事は2024年7月9日時点での情報です。御覧になるタイミングによっては最新の情報ではありませんので注意して下
さい。