Poco a poco -難病と生きる- -5ページ目

Poco a poco -難病と生きる-

スペイン語の「poco a poco」は、日本語では「少しずつ」「ゆっくりゆっくり」という意味です。遺伝性による難病、脊髄小脳変性症を患っていると診断された2015年7月(当時34歳)以降、少しずつ身体が動かなくなる恐怖と闘いながら、今日を生きる僕の日記です。恐縮です。

今日から12月。1日は10:00を以て、4週間の入院生活がスタートする。長い。因みに今回で3回目。一度目は2017年の夏。元カノが、3日に1回は会いに来てくれた。友人が日替わりで遊びに来てくれた。外出も自由だった。翻って2回目。コロナ禍。面会禁止。外出禁止。さて。

 

image

 

image


・日次1,000歩のリハビリを継続する

達成した。まずは目標の整理から。一日1,000歩×30日間で、合計30,000歩が目標値。対する結果は下の画像を参照ね。31,111歩の着地。達成率は、103.70%。辛うじて達成した。年初に立てた今目標に対して、ハードルの低さを感じていた。今、そんなことはない。結構厳しい。


・読書or映画鑑賞を月2本以上

達成した。読書はゼロ。映画を2本見た。「神は見返りを求める」と「イクサガミ」だ。上映中の「呪術廻戦」は、退院後の来年1月中にレビューをお楽しみに。お前あれだな。映画館にはルールがあるって言ってなかったか。一人で行かない。同姓だけで行かないって――。

 

・ブログの投稿を月20回以上

達成した。26回の投稿。達成率は130%。凄いよな。まだ終わっていないが、恐らく年内最多の成績を残した。勝因は、分かるよな。ずばり友人との会食数。最近は1回か2回だったのが、先月は6回だぜ。ネタの宝庫だった。楽しかった。今月は、その分憂鬱。だって入院だぜ。

 

・みんチャレ参加5チームの活動を継続する
達成した。動きは無いよ。いつものチーム。以上。

 

・体型を維持する(54kg以上)
未達です。無理ゲーです。体重が増えない。巨漢の友人が誇らしく言うのを思い出す。太るのも才能だよ――。今なら激しく同意する。深夜に缶チューハイと、サラミやチーズを食して寝て、翌朝体重計に乗る。51.00kg。笑えよベジータ。計測は全11回で、達成回数はゼロ。

 

・月に3回は友人と外で会う

達成した。前回の宣言通り、2ヵ月分の目標を達成した。本来の目標は3件。対する着地は6件。内訳は、「戸田さんと新宿」、「池袋の同僚♀と笹塚」、「池袋の同僚♂と調布」、「仲間と北軽井沢旅行1日目」と「2日目」に、「半蔵門の同僚と新宿」。達成率は200%。今月は0件だがね。

 

image

何も、コミュ障を謳っているわけではない。表題の件ね。呼吸が苦しくて、相手との会話のラリーが続かない。例えば、美容院での一コマ。頭を洗ってもらいながら、美容師さん「いいですね。頭皮も髪質も健康ですよ」。僕「ありがとう」美「白髪も無いし、禿げてもない」。

 

美容師「同年代なら、もう少し痛んでますよ――」。僕(それって、苦労が足りないってことか)実際の僕「ハハ(乾いた笑い)」。もしくは最近の訪問リハでのやり取り。相手はサッカーのFC東京ファンの男性PT。僕「惜しかったですね。天皇杯の準決勝」。※町田に惜敗。

 

 

PT「ぐ。傷を抉るようなことを言いますね。決勝戦は、神戸と町田、どっちが勝つと思いますか――」。僕「町田を応援している」。PT「それは賛同できませんねぇ」。僕(じゃあ聞くなよ。FC町田ゼルビアって母校もスポンサーやっているんだよ)実際の僕「ゲホッゲホ……」。

 

予備知識もなく、本編映像に触れた。続編があるようだ。知らなかったが、三部作の原作があるようだ。小説を題材にしているらしい。主演でプロデューサーを務める岡田准一。脇を固める豪華俳優陣。セットや演出にも莫大な金が掛かっていることが分かる。流石はNETFLIX。

 

イクサガミ 第一章

(内容紹介)

時は明治11年、深夜の京都・天龍寺。莫大な賞金を得る機会を与えられた腕に覚えのある292名の強者たちは、ある奇妙な「遊び(ゲーム)」のルールを告げられる。それは、各自に配られた木札を奪い合い、東京にたどり着いたものには賞金を与えるというものだった。主人公・嵯峨愁二郎は、妻と子を病から救うため、その奇妙なゲームに参加する。

 

何て言うか、既視感。見たことのある展開の数々。出演者目当ての視聴でないと、飽きてしまう作品。しかしプラットフォームはネットフリックスよ。市場は、国内に非ず。そう、全世界。ネットニュースでも、この作品の注目度の高さを報じていた。成程。ターゲットの相違ね。

 

美容院に行ってきた。これから長期入院だから。その前に、身支度を整えておかないと。2ヵ月に一度のペース。もう少し正確に表現するなら、1ヶ月と3~4週間の間隔。ここに通い始めたのは、大学生の頃か。途中、10年ほど一人暮らし期間中に浮気をしたが、戻ってきた格好。

 

 

その間、価格は高騰した。値上がりは世の倣い。担当美容師も様変わりした。当時の若い女性店長は、恰幅の良い男性に代わったし。僕だって大きく変わった。まず以て車椅子。次に喋れない。古参の美容師さん。僕を見つめる目がね。否。止めておこう。被害妄想は良くない。

 

 

でも、確実に進行する病状。速度を緩める術はあっても、止めることはできない。日々、リハビリや注射、服薬に患者会活動にと、病気と向き合っている僕が言うのだから、間違いないよ。鏡越しに映る顔に表れる。表情筋。笑顔が固い。ビックリ目ってご存知か。多分それ。

最近、思うことがある。野球は投手の肩のように、歩ける歩数にも生涯の上限数があるのでは、と。いやね。歩いてきたのよ。全く気乗りなんかしなくて。何なら、直前まで足の痛みに震えていたのよ。行きたくない。けど、行かなきゃ。終わらない葛藤。んで、行ってきた。

 

 

同じ病気の友人が言っていたっけ。座った状態で喋りにくいのは、内臓を圧迫してしまっているから――。耳掛け式のワイヤレスイヤホンで、流行りの音楽を流す。立位の状態だからだろうか。声が出る不思議。歩きながら、気分はカラオケ。発声の自主トレリハビリである。

 

 
本来であれば、歩くことに集中したい。足を上げる。地面を蹴り抜く。底を擦らない。こんな普通が、難しい。そして冒頭の迷い事。現実からの逃避行。毎回、歩き終わって、付け根が千切れそうに痛い。先ほどまで履いていた靴の裏を見る。つま先が削れている。片方だけね。