Poco a poco -難病と生きる- -4ページ目

Poco a poco -難病と生きる-

スペイン語の「poco a poco」は、日本語では「少しずつ」「ゆっくりゆっくり」という意味です。遺伝性による難病、脊髄小脳変性症を患っていると診断された2015年7月(当時34歳)以降、少しずつ身体が動かなくなる恐怖と闘いながら、今日を生きる僕の日記です。恐縮です。

集団生活のストレスからか、唇に大きな口内炎が出来た。2つ同時にだ。家族にSOSを送る。たまに服用しているチョコラBBを持ってきてもらうように伝える。さて本日の予定はリハビリのみ。午前中に、言語聴覚リハビリと理学療法リハビリがあり、午後に作業療法が控えているわけだ。



前回の入院時は、窓から屋外を見渡せる部屋に案内されていたSTリハ。今回は様子が異なる。僕が車椅子だからだろうか。先生も、若い女性だった前回からベテランの女医さんに変更になっている。今回は技能テスト。先生の反応から、概ね堅調なのは分かる。でもライバルは過去の自分な訳で。



20分ほどでトンボ返り。苦手なぺんを握ったからか、汗をかいた。でもまだ序盤。続いてはPTリハ。理学療法室には、入院患者の半数は利用しているんじゃないかという盛況ぶり。その大半がご年配。不思議そうに僕を見るのは、若さへの嫉妬か、耄碌とした動きが見た目と釣り合わない好奇からか。



良い運動で汗をかいた。午後のOTリハの前に着替えを敢行。今日は家族が面会に来てくれる。洗濯を頼むのだ。転倒の危険があるからと、コインランドリーの使用も固く禁止されている。さて作業療法室の廊下で若い先生とキャッチボール。次いで、脚でのパス交換。流石と言われて嬉しい反面。


慌ただしい一日。リハビリが2件(PTとOT)に、検査が2件(筋電図とRI)が予定されている。さらにはシャワータイムに昼食にと。多分、どれかが割を食うな。シャワーは堪忍。ただ、優先順位は検査がまず上位に来るだろう。筋電図とかRI検査とか、貴重よ。



個人的に楽しみにしていたPTリハビリ。3年前は杖を突いて病室から通った理学療法室に、病棟の車椅子に乗せられて向かうことになる。中で我々を待つ先生の顔は様変わり。運動靴に履き替える。目眩が酷い。内線で僕を呼ぶ声。次の検査が僕を待つ。



RI検査とは、微量の放射線同位元素(RI)を含む薬剤を体内に投与し、その薬剤が体内でどのように分布するかを、放出される微弱な放射線を専用のカメラで撮影して画像化する検査のこと。二部構成。前半の注射の後、部屋に戻る。すぐに次の検査へ。


書きたいことは山ほどあるのに。コメント欄には多くの未返信が溜まっているのに。メールの返信もできない。退院日を関係各所に連絡するのも、滞ったままだ。一日目に書いたブログ以降、PCに触れずにいた。フロアの異なる談話スペースに設置されたノートPCで、これまで投稿していたのよ。だが。看護師の配下から逃れられない。



ブログの投稿は、昨日の振り返りに非ず。タッチタイピングの能力を保つことで補える、指先のリハビリテーション。おかげで、作業療法士いらずだった。でもペン先を正確に扱う能力や、箸先を細かく使う技術に陰りが見えてきた昨今。そろそろ出番かな。出よ。イケメンOT。彼によると、競技性の高いゲームは、格好のリハビリとのこと。



あまりに窮屈だったので、家族に持ってきてもらった。手持ちのタブレットを据え置き機のように変身できる三種の神器。手前から、logicoolの持ち運び用キーボード。サンワダイレクトの携帯用マウス。Lamicallとかいう製品の折りたたみスタンド。これで、タッチタイピングの環境が整った。でもね。肘が安定しないから、腕が疲れる。


珍しく外出に伴った整髪料を付けた昨日。なに。その日のうちに風呂に入れば問題ない。入院病棟には、各フロア毎に、シャワールームが用意されている。過去の二度の入院生活において、毎日のシャワーを約束されていた。今だって自宅では、日々の入浴をルーティーンとしていた。勿論、一人でね。転倒のリスクは、手摺で防いでいる。



ところが昨日の段階で、足元の脆弱性を懸念される。誰にって。僕を見守る看護師チームだよ。院内の行動さえ、看護師が着いてくるんだぜ。お手洗いなんか、中にまで入ってくるからな。可愛い看護師さんに、おズボン、下ろしましょうかって訊かれた時は、矜持がどこかに飛んでいきそうだったが。シャワーも同じ。しかも週に二回。



さて同部屋のベッドは全て埋まった。挨拶なんか無いけどね。その分、共有スペースの使い方や、物音なんかには神経を使う。前回、相部屋の利用者の独り言に臍を噛んだ思い出。反省を活かし、今回は重装備。耳栓の他、三者三様のワイヤレスイヤホンを持ってきた。同部屋の中には、痰の吸引に苦しむご老人もいる。ノイキャンが効く。


長い長い入院生活が遂にスタートした。朝の10時に病院に着くように促されていた為、9時には自家用車で送ってもらう算段。親父と伯母。心強い。主治医の問診の後、部屋へと案内される。4人部屋。空ベッドが一人分。どうせここも、数日も待たずに埋まるのだろう。

 

 
担当看護師が決まる。体温と血中酸素濃度、血圧のチェック。身長と体重の測定。採血。尿検査と午前中から慌ただしい。取り急ぎ確認したい、今日のスケジュール。午後に検査が予定されているとのこと。レントゲンと心電図。終わったので、自由時間を謳歌している。

 

 
懸念していたWi-Fi環境。前回の入院まで、電波が医療機器と干渉するから、厳禁とされていた。8インチタブレットも宝の持ち腐れかって思うじゃない。看護師から入院の掟(冊子)を渡されるのよ。何と。病院内のWi-Fiが。ありがてぇ。あ。退院日は12月25日になりそう。