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Poco a poco -難病と生きる-

スペイン語の「poco a poco」は、日本語では「少しずつ」「ゆっくりゆっくり」という意味です。遺伝性による難病、脊髄小脳変性症を患っていると診断された2015年7月(当時34歳)以降、少しずつ身体が動かなくなる恐怖と闘いながら、今日を生きる僕の日記です。恐縮です。

入院病棟を抜けられたのも束の間、日常生活は、また非日常へ。家族が揃った。次弟と、末弟。更に義妹と、各種おチビちゃんたち。賑やかを通り越して、動物園の騒音。親父も伯母も嬉しそう。僕だって嬉しい。嘘じゃない。態度で示さないのは、右の肩が強烈に痛むから。鍼灸院にも行った。整体にも行った。



今日は大晦日。あと数時間で、年が変わる。だから何だ。やるべきことは変わらない。日常のリハビリも、経過を示すブログの投稿も、仲間たちとの会食の設定も。一つお詫び。右肩痛の影響で、しばらくブログは休止とします。大丈夫。すぐに会えるよ。それより、これからお年玉袋の用意をせねば。ペン、握れるかな。

右肩の鈍痛に苦しんでいる。部屋で一人、この苦しみと闘っていると、気分がおかしくなりそうだ。夜は忘年会。隣町の居酒屋を指定したのは僕だ。ツラくて、欠席を申し出たのでは忍びない。早めに外に出る。街を徘徊。電動車椅子のレバー操作さえ左手を伸ばす。超シンドイ。

 

 

集まったのは、同年代を中心に、男女6名。乾杯の挨拶の時に、退院おめでとうと言ってもらえた。ありがとう。仲間と飲むビールは、いつだって美味い。但し、飲み過ぎ注意。屋外に設けられたバリアフリートイレ。故障の為、使えない。店内のトイレは、健常者の為のもの。

 

 

病院食の何が味気ないって、塩分控えめ。油ものもカット。加えて、口の中を焼け尽くすような、熱を持った料理も無い。安全性を配慮すれば当然の施策。でも僕はまだ若い。罰ゲームか何かと勘違いされそうな、熱々のたこ焼きを口に頬張って、笑って見せるのだ。大丈夫だよ。

相変わらず、右肩痛に苦しんでいるが。さて待望の食事会。仲間は5名。女性が3名と、男性が2名。場所は毎度の新宿南口の高島屋。仲間の一人がバスタ新宿で下車する為、利便性を考えるとここが最適解。入院中、代わりに予約の電話をしてくれた彼に感謝。あ。とりあえず生。

 

 

入院中の何が辛いって、楽しみがまるで無いこと。一日三食の配膳も、狭いカーテンに仕切られた自分の部屋で、常に一人。しかも味気のない食事。これが永遠に続く地獄。脱出して分かったのは、食事って楽しいのな。仲間と時間を共有できる贅沢。楽しい。美味しい。幸せ。

 

 

週末のランチ帯は、書き入れ時。席についてから、僅か90分で会計となる。時間軸が歪んで消える。毎日入れられたリハビリは、1枠が20分で終わった。唯一の成果は、言語療法の特訓か。前回より、機能が改善しているねと仲間談。咳が減ったらしい。これは素直に嬉しい。

 

 

1フロア下にある珈琲店に入る。話題の中心は、脳梗塞で体調を崩して以来、初の県外遠征に赴いた彼から。一年前に本格稼働しているという競馬のネタ。一年の締めくくりは、ご存知、有馬記念。かつて師事していたライターが、雑誌の取材に対応して以来。馬券の感触よ。

 

 
僕の予想は3連複。人気のオッズを上から3頭。この1枚に、5,000円張るつもりでいた。時間を見計らって、僕ら3名、場外馬券場へと続く長蛇の列に加わる。治安が悪い。割り込み。押し合い。まさかの入場規制のアナウンス。買えなかった。結果は外れ。これは良かったのか。

僕の身体が何か変だ。先週の土曜日から、ずっと痛い。シップは最高で5枚を超えた。梨状筋に貼る2枚とは別でね。今も肋間神経痛を疑っている。診察がついたわけではない。精神的なものかと思っていた。入院病棟から抜けられれば、痛みは治まるものかと。甘かった。

 

 

入院中のペシャンコな枕ではなく、自室のしっかりと厚い枕で、幾分痛みはマシになる。でも、寝返りは打てない。途端に脇の下を襲う鋭利な痛み。右腕が痺れる。あまりの苦しみに、近所の整体をネットで検索。退院の翌日には予約を押さえていた。願いは、右肩の痛みよ。

 

 

施術は良かった。痛かったが。特に肩甲骨剥がし。左側に整体師が指を入れているのに、直前に触れられた右側が激しく痛む。声が漏れた。近くて良い環境ではあるが、一つだけ気がかりが。スロープが急勾配過ぎて、独力では無理。あ。写真はイメージね。でも実際も同様よ。

痛みと闘って、浅い眠りに終始した。地獄のような入院生活も、間もなく明ける。永遠に続くと思われた25日間。その終止符は、家族の迎え。その後の医師からのフィードバックに合わせて、早朝から荷造りを開始。分かるか。利き腕が痺れて使い物にならない地獄を。数センチ先が届かない。

 

 

まるで投獄されたような苦しみ。唯一の癒しは、働くスタッフのホスピタリティだね。でも、後は地獄よ。刑務所の方がマシなんじゃないか。知らんけど。会計を済ませる。130,000円だった。医療受給者証を見せる。金額が変わる。2万数千円。この金額に対し、入院特約が使える。ウホ。

 

 
入院レビューは近日中にアップする。楽しみに待っててくれ。得たもの。お金(民間の医療保険)。リハビリの先生(特に面倒見の良かったOTの若い男性)とのリレーション。逆に失ったもの。愛犬(天命を全うしてくれた)。体重(更に落ちた)。尊厳(詳しくは後日)。体力(明らかに落ちた)。