隣町のペインクリニックの予約時間まで小休止。ここはお気に入りのカフェ。普段は利用しないソファー席。車椅子からわざわざ降りなきゃいけないし、テーブルの高さが低いし。でも他は全て埋まっている。仕方がないなと腰を掛ける。すると隣の席が空く。妄想してしまう。
美女が僕に声を掛けるんだ。お隣、空いてますか――。ってね。どう返そうか。その前に、声は出るのか。咳払いをする。ゴホンゴホン。あー。あー。ダメだ。キリっとした表情で返そうにも、表情筋が死んでいる。出会いなんかない。僕は病人だ。諦めようとした刹那。奇跡が。
お隣、空いてますか。女性が声を掛けてくる。スレンダーな美人じゃないか。どうぞどうぞ。って、大学時代の同級生だった。同じ学部の出身。そう言えば、実家がこの近辺だったね。以前に一度ランチしたが、その後は病状の進行が気になってね。会えて嬉しかった昼下がり。
