まだ身体が自由に動いた時代。旅行にもよく出掛けた。大抵は予算をケチって、安宿に落ち着いたもんだがね。お題は「感動したホテル・旅館」だっけ。一方で高級なホテルも沢山泊まったよ。社員の研修旅行で外資系の高級ホテルを利用したり、旅行仲間と背伸びしてみたり。
挙げれば枚挙に暇がない。サービスの品質と値段が密接な関係にあると言って差し支えないはずだ。でも、ちょっと待って欲しい。感動とは、満足度の高さ。例えば事業を興すとして。聞いたことないかな。「何をするかじゃない。誰とするか」。これを旅行に置き換える。
2016年12月。更に言えばクリスマスシーズン。宿泊施設は高騰するよね。何でだろう。僕は、大好きだった当時の交際相手と大阪を訪れていた。翌日のUSJを目的に、今日は街歩きを敢行。食い倒れを楽しんだ。予約していた高級ホテル。最上階は値段も高い。それが何だ。
この日の為に、訳の分からない節制を強いられていた。貯まった500円玉の貯金箱。軍資金は潤沢にあった。本当は、結婚式とかハネムーンに使いたかった。仕事は転職した職場にて、スカウト型の中途採用支援サイトを立ち上げていた。そうさ、僕は統括事業部長。それでも。
君のお母さまから、一向に結婚の許しが得られない。僕らの関係が進むわけではない。一方で、君のおかげで病気の進行も見られない。ちなみに東京マラソンを完走したのは、これから2か月後である。感謝と罪滅ぼしが、今回の散財を計画させたのだ。君の笑顔が見たいから。
歩いてすぐの距離にあるUSJ。そう言えば、ディズニーリゾートの高級ホテルにも泊まったことがあったな。もう20年ぐらい前だ。当時の相手の顔も名前も、忘れてしまったよ。寂しいな。この調子で、大阪旅行の思い出も、いつか忘れてしまうのかな。それだけは嫌だ。





