京王線刺傷、服部恭太被告「死刑になりたかった」…人の命を軽く見る「ジョーカーになりきろうと」 | Poco a poco -難病と生きる-

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スペイン語の「poco a poco」は、日本語では「少しずつ」「ゆっくりゆっくり」という意味です。遺伝性による難病、脊髄小脳変性症を患っていると診断された2015年7月(当時34歳)以降、少しずつ身体が動かなくなる恐怖と闘いながら、今日を生きる僕の日記です。恐縮です。

東京都調布市を走行中の京王線車内で2021年10月、乗客13人を殺害しようとしたとして、殺人未遂などの罪に問われた服部恭太被告(26)の裁判員裁判の公判が18日、東京地裁立川支部(竹下雄裁判長)であり、被告人質問が行われた。

 

服部被告は自殺願望があったとし、「死刑になりたかった。そのために人を殺さないといけないと考えた」と述べた。(続きはこちら

 

 

報道の在り方を想う。なぜ死刑を望む。彼は法廷で証言している。なぜ報道機関は揃って隠すのか。多分、犯人に同情の声が及ぶのを防ぎたいからだ。犯罪は悪である。それを犯すのは人である。生まれた瞬間から悪人であるはずがない。環境が、或いは事件がそうさせた。

 

服部被告の場合、二つの転機が絡んでいる。一つは婚約破棄。学生時代から延べ9年間の交際を経て、婚約が決まっていたと言う。両家の顔合わせ、結婚指輪、入籍の時期など、概ね決まっていたらしい。それがまさかの急転直下。相手から婚約破棄を言い渡される。一方的に。

 

 

タイミングがまた絶妙。彼の誕生日の当日にだ。有頂天からの地獄。理由は金銭的に余裕のある人が良いとのこと。当時の貯金額は30万円。介護職だと知って納得した。受け入れてから僅か半年後、元婚約者のLINEのプロフィールに変化があったそうだ。苗字が変わっていた。

 

「結婚しました」だってさ。こんな支離滅裂な出来事が起きて、正常でいられる方がどうかしてる。転機となる二つ目は、転職した通信企業から受けていた部署異動(恐らく左遷)だ。同時に起きた二つの転機が、彼から生きる希望を奪い、死刑を望むに至ったのだと推測できる。

 

勿論、彼を擁護するのは違う。どのような理由が存在するにせよ、無関係な人に危害を与えてはいけない。死ぬなら勝手に死ね。誰にも迷惑をかけずに、静かに逝けと。彼は返すだろう。分かってる。仕方ないだろう。他に打つ手立て無くて。さて賢明な読者様なら判っているはず。

 

 

なぜ僕がこの事件を取り上げたか。まずは類似性から。ずばり僕も彼と同じように婚約破棄と左遷を受けている。いずれも病気が理由なのだが、当時は確かに荒れた。凶悪な犯罪に手を染めなかったのは、背中をさすってくれた沢山の友人のおかげ。孤独は人をダメにする。

 

もう一つの理由。事件現場に使われた京王線は調布駅~国領駅間は、当時(一人暮らし)も今(実家)も、頻繁に利用する区間である。もしかしたら、僕が刺されていたかも分からない。仮に命の危険が間近に迫っていて、逃げる群衆と同じスピードで移動できる訳がないね。