【追憶】新卒の社会の洗礼(閲覧注意) | Poco a poco -難病と生きる-

Poco a poco -難病と生きる-

スペイン語の「poco a poco」は、日本語では「少しずつ」「ゆっくりゆっくり」という意味です。遺伝性による難病、脊髄小脳変性症を患っていると診断された2015年7月(当時34歳)以降、少しずつ身体が動かなくなる恐怖と闘いながら、今日を生きる僕の日記です。恐縮です。

就職氷河期と言われた最悪の時代を、僕は猪突猛進に駆け抜けた。はずだった。気付いたら廃人になっていた。平日だと言うのに、夕方まで部屋の天井を眺めていた。就活は、超頑張ったよ。学歴なんて糞喰らえ。毎回、一人はナンパした。男女関わらずね。前のめりだった。

 

 

自信満々に臨んだ社会人デビュー。しかしそうは問屋が卸さない。鼻っ柱は簡単に折られる。例えば新卒同期で競わされた飛び込み営業研修。日々の名刺獲得枚数に一喜一憂する。最初は目標が50枚だった。それが100枚になり、150枚になる。最後は居酒屋に飛び込んで、とか。

 

 

ある日、事業部単位の飲み会が催された。新卒は一番下っ端。グラスと瓶ビールを持って、全員に挨拶して回れと先輩から教わり、実践する。立場が偉くなる程、横柄な態度。トイレで吐いた。何度も。それでも終わらず、目が覚めたら知らない部屋だった。先輩に担がれた格好。

 

 

自信を喪失すると、まず声が小さくなる。先輩が怒鳴る。ごにょごにょ喋るな!オカマかお前は!叱咤が続くうちに、今度は難聴になる。最後は景色から色が無くなる。白黒。もう限界だった。朝、会社まで向かう途中の満員電車で意識を失ったことがある。医務室で目が覚めた。

 

 

当時、年上の恋人がいた。超美人。都内の一等地に一人暮らしをしていて、よく仕事上がりに避難していた。彼女は心療内科に通っていた。ある日、紹介してくれるよう頼んだ。私が弱い人間だから、貴方もそうなったのだと、詫びられた。違う違う。そうじゃない。本当にシンドイのだ。