悪の法則 | Poco a poco -難病と生きる-

Poco a poco -難病と生きる-

スペイン語の「poco a poco」は、日本語では「少しずつ」「ゆっくりゆっくり」という意味です。遺伝性による難病、脊髄小脳変性症を患っていると診断された2015年7月(当時34歳)以降、少しずつ身体が動かなくなる恐怖と闘いながら、今日を生きる僕の日記です。恐縮です。

人生において、最悪の事態を想定してみよう。今の僕は、限りなくそれに近いのではないか。勿論、そんなはずはない。しかし一人でいると、思考は悪い方に流れてしまう。ではどうしようか。疑似体験に尽きる。記憶を上書きする。ならば読書より映画だ。普段は絶対に見ないホラー映画も良いかもしれない。そんな意気込みでレンタルショップに赴く。

悪の法則

(内容紹介)
メキシコ国境付近の町で弁護士をしている通称カウンセラー(マイケル・ファスベンダー)は、恋人ローラ(ペネロペ・クルス)との結婚も決まり人生の絶頂期にあった。彼は実業家のライナー(ハビエル・バルデム)と手を組み、裏社会のブローカー、ウェストリー(ブラッド・ピット)も交えて新ビジネスに着手する。その仕事は巨額の利益を生むはずが……。

ホラー映画の甘い点は、主人公は死なないことにある。そしてこの作品を想う。恐らく主人公は、この後に死ぬであろう。だが、当人にとって最悪の事態とは、そこではない。絶望。もしくは希望を失うこと。これに尽きる。友人や知人の死。社会的地位の失落。最愛の女性をも無残に殺される。描写がエグイ。救われない映画。だが僕は救われた。