第6回湘南国際マラソン | Poco a poco -難病と生きる-

Poco a poco -難病と生きる-

スペイン語の「poco a poco」は、日本語では「少しずつ」「ゆっくりゆっくり」という意味です。遺伝性による難病、脊髄小脳変性症を患っていると診断された2015年7月(当時34歳)以降、少しずつ身体が動かなくなる恐怖と闘いながら、今日を生きる僕の日記です。恐縮です。

昨日は夕刻より全社会議が行われ、そのまま飲み会になだれ込む算段。ところがクライアントからの要望で、夜分より打ち合わせ。直帰したかったが、あいにく社内で残務処理。上司に連絡すると、今からでも来いと。1次会の終了直前に参加し、ビールを駆け付け3杯。二次会のカラオケは早々に一曲だけ歌い、早退させてもらう。翌朝は早いから。


烏兎怱怱


電車を乗り継ぎ、辿り着いたのはJR大磯駅。駅からタクシーを利用。第6回湘南国際マラソンのフルの部に、女性の友人3名と共にエントリーしていた。もの凄い競争率を掻い潜り、参加資格を得たからには、きちんと完走を果たすべき。フルマラソンはいずれも初めてと言う友人女性らも、数ヶ月前からスポーツジムと並行して走り込みを行ってきた。


烏兎怱怱


一方の僕は、走り込む量が絶対的に少なかった。快調だった前半20キロまでは、足取りも軽やか。このペースを維持すれば、4時間切りもいけるのではと目論むも、そうは問屋が卸さない。25キロ地点から、急激に足が重くなる。30キロ地点で3時間9分。ここから先は、歩いたり走ったり。体力は残っているが、足が前に出ない。腿が上がらないのだ。

烏兎怱怱


今から9年前の11月。21歳だった僕は、第27回河口湖フルマラソンに出走した。遡ること2年前に初挑戦した同大会で、無様にも途中棄権したリベンジを果たした。その時のタイムを、30歳の僕が更新した。4時間44分45秒(公式)。体力は緩やかな放物線を描く形で日々衰えている。今回のタイムだって、決して誇れる数値ではないが、それでも嬉しい。

烏兎怱怱


仲間の4名とも完走。その全員が5時間を切っている。ちなみに自分、順位は2位。35キロ地点で仲間の一人に追い抜かれてから、ライバルを9年前の自分に切り替えた。まだまだ精神的に未熟である。ゴール地点で、別の友人女性に声を掛けられる。偶然の再会。彼女もまた、本大会に出走。10キロの部で無事に完走。次回はフルを一緒にどうだい。

烏兎怱怱


思えばレース中、声を掛け合ったり、存在(順位)を意識したりと、仲間の存在には存分に助けられた。恐らく僕一人でのエントリーなら、体の良い言い訳を思いつき、また途中棄権してしまう可能性さえあっただろう。地元に戻り、温泉施設で汗を流した後は、定番の焼き肉屋で乾杯。この一杯の美味しさは、今日の苦労と相俟って至福の極みである。