辛辣なことばは、文章を鋭く見せます。
たとえば、だれかの失敗を笑ったり、
強いことばで責めたてるような文章は、
刺激的で、スリリングで、ちょっと痛快で、
読ませる力がある文章のように思えます。
でも、それは上手な文章というより、
目を引きやすい文章なんだと思います。
ネガティブなことばは、
すごくたくさんの種類があります。
嫌味や悪口、皮肉や批判。
いろんな表現があって、
すぐに思いつきます。
一方で「いいこと」や
「あかるいこと」を表現することばは、
驚くほど少ないんですよね。
うれしい、たのしい、しあわせ。
どれもよく使うことばだけど、
バリエーションが極端に少ないせいで、
どこかありきたりになってしまう。
これは天国と地獄を思う浮かべると、
ちがいがとてもよく分かります。
天国を思い浮かべるときには、
ふわふわ雲の上、美しい庭園に天使の音楽…
そんなありきたりなイメージしか
浮かばなかったりします。
でも、地獄はどうでしょう。
炎に包まれた景色、追いかけてくる鬼たち、
底なし沼、無限に落ち続ける穴、針の山…
人は悪いことを想像するほうが、
きっと得意なんでしょうね。
だから、かんたんなほうに流れてしまう。
でも、"ことばの力"を育むのは、
むしろ逆なんじゃないかと思っています。
「うれしい」をどう表現するか。
「たのしい」をどんなことばで伝えるか。
それを試行錯誤することが、
ほんとうの意味でことばの力を育み、
文章を上手にするのだと思います。
今日も「わくわく海賊団」に来てくださってありがとうございます。
「いいこと」をもっと探したいな。
だれかのこころをあたためられるような、
そんなことばをたくさん見つけたい。
