なんとなく好き。
なんとなく嫌い。
なんとなくこれに決めた。
たくさんの人がいろんなことを、
「なんとなく」で決めることがあります。
恋人だったり、
結婚相手のことだったりを、
「どこが好きなの」と訊かれたときも、
はっきり答える人もいるけれど、
はっきり答えない人もいます。
「やさしいところ」という答えも、
ツッコミどころ満載だったりしますしね。
そういう意味では、
「なんだか」「なんとなく」という答えは、
ほかのどんなはっきりした理由より
強いようにも思えてきます。
そして、「なんだか」とか
「なんとなく」ということばを使うときって、
なにも考えていないわけでは決してない。
なんとなく決めたという本人も、
その「なんとなく」の正体については、
なにかにつけて考えていたりする。
ことばになって
分かったりすることもあるけれど、
分からないままのことも多いでしょう。
「あのタイプに弱いね」と指摘されて、
「え、あのタイプっていうのがあったのか」と
そこではじめて気がついたりもします。
「なんとなく好き」と思っていたものが、
流行遅れになってしまったと気づいたら、
そこで「なんとなく」の正体が、
「時代の風」だったのだと知ることもある。
いろんな「なんとなく」が、
「そういえば」と分かると、
じぶんの奥にあった価値観が見えてきます。
ここらへんの陰影が見えてくると、
ものの見方もだんだん変わってきて、
人間として成熟していくんだろうな。
今日も「わくわく海賊団」に来てくださってありがとうございます。
「なんとなく」とか「なんだか」は、
あまり急いでことばにしないほうがいい。
ゆっくり眠らせ、熟成させて、
「ああ、こういうことか」と分かるのが、
いちばんおいしい食べ方です。
