わくわく海賊団

わくわく海賊団

Compass of Your WakuWaku

木漏れ日差す竹林と木々

 

『五輪書』とは、

 宮本武蔵が晩年に著した

 武道の哲学書です。

 

 地・水・火・風・空の五つの巻に分けて、

 自らの戦いの極意が記されています。

 

 あの、宮本武蔵が、

 その生涯を経て体得した"戦いの極意"を、

 現代を生きるぼくたちも読むことができる。

 それだけでちょっとした奇跡みたいです。 

 

 本を読むという行為は、

 時代をこえて、歴史上の人物と

 対話するのと等しい行為なのだと思います。

 

 いまから約400年前に生きた武蔵が、

 なにを感じ、なにを考え、

 なにを大事にしていたのか、

 本をひらけば、その声が

 ページの向こうから聞こえてくる。

 

 たとえば「水の巻」には、

『観の目強く、見の目弱く』とあります。

 これは、目に見える現象にとらわれすぎず、

 その背後にある「見えないもの」を

 見ぬこうとすること(観の目)を鍛えよ、

 という武蔵の教えなんですよね。

 

 表面だけを追いかけていたら、

 本質にはたどりつけない。

 

 これは戦いの極意であると同時に、

 現代を生きるぼくらの心構えにも

 そのまま通じる教えであるように思います。

 

 さらに、同じ「水の巻」には、

『くれぐれも、片足だけ動かすことのないよう

 十分注意するようにせよ』とあります。

 

 これはただの注意書きではなく、

 "この動きができなければ戦場で死ぬ"という

 武蔵自身の経験からにじみ出たであろう、

 ことばのように聞こえます。

 

 その重みが、解説ではなく、

 武蔵の声そのままに胸に届くわけです。

 ページの向こうから武蔵がこちらを見て、

「これは命を守るためだぞ」と

 本気で伝えてくれているような臨場感。

 

 400年という時間の距離なんて、

 一瞬で溶けてしまうほどでした。

 

 今日も「わくわく海賊団」に来てくださってありがとうございます。

 

 バガボンドの続きも、

 叶うことなら読みたいなぁ…。

青空と緑豊かな植物

 

 センスというのは、

 生まれつきの才能よりも、

 積み重ねた経験から生まれる、

 超高速の論理的思考だと思っています。

 

 その場で、ひらめいたように見える判断も、

 じつは過去の失敗や成功の記憶が、

 瞬時に並び変わって、より良い選択を、

 差し出してくれているのだと思う。

 

 そして、センスの差というのは、

「世界をどれだけ細かく見てきたか」という

 解像度の差でもあるように感じています。

 

 同じ景色を見ていても、

 見ているものの数がちがえば、

 選べる未来のかたちも変わってきます。

 

 経験が世界の解像度を上げてくれる。

 

 ただし、ただ経験を重ねれば

 解像度が上がるわけじゃないと思います。

 

 心が動いた瞬間や、

 小さな違和感にどれだけ耳をすませるか。

 ていねいに世界を描写する観察力が、

 経験に意味を与えてくれるのだと思います。

 

 なんとなく通り過ぎたできごとは、

 なんとなくの通過点です。

 

 でも、そこでなにかを感じ、

 立ち止まり、考えた瞬間から、

 経験は「ひとつの視点」に育ちます。

 

 その視点の積み重ねが、

 判断の速さや精度を引き上げ、

 センスを育むのだと思うんですよね。

 

 今日も「わくわく海賊団」に来てくださってありがとうございます。

 

 見える景色が増えるたび、

 選べる未来の選択肢も増えるのだと思う。

夜空に光る東京タワーと水滴

 

 現代人は歴史上最も多く、日々、

 ことばを見て、聞いて、生きています。

 

 でも、その

「見えているもの」だけを

 そのまま受け取っていると、

 ほんとうに大事な部分を

 見落としてしまう気がしています。

 

 文章というのは

 ただの情報ではなく、

 書き手とのあいだに生まれる

 ひとつの"関係"だと思っています。

 

 書かれなかったもの、

 選ばれなかった表現、

 あえて触れなかった部分までもが、

 文章のなかに存在しています。

 

 つまり文章は、

「なにが書いてあるか」だけでなく、

「なにが書かれなかったか」まで含めて

 ひとつのメッセージなのだと思うのです。

 

 意識して読めば読むほど、

 書き手がなにを大切にしているのか、

 どこに触れないようにしているのか、

 その心の動きが少しずつ見えてきます。

 

 書いてあることを読む。

 書かれなかったことを読む。

 書かれなかった理由を考える。

 

 行間を読むのではなく、

 ページの裏側を読むように。

 

 今日も「わくわく海賊団」に来てくださってありがとうございます。

 

 語られたことばより、

 そっとしまわれたことばに、

 その人の輪郭がにじむ。