連載 幼稚園・小学校受験合格バイブル
「学習院幼稚園・初等科⑸」 第六章 無宗教系附属編⑥
『学習院男子の受験志向は戦前から』
ところで、学習院幼小男子の保護者の多くが他の大学進学を前提に通学させている事を述べるとびっくりされる例が多いので、附属幼小の生徒の多くが系列大学まで通うものという決め付けをしてしまう方が今でも多く、一般的になったように見えても、まだまだ幼小受験の実体は理解されていないことを感じます。
育ちを重視して幼小から通わせた上で高学歴を目指す方針は、戦前の上流階級やエリートの家系から受け継がれてきたものです。明治以来、戦前までの高等教育は万人に授けられるものではなく、特に大学まで進学できる者は稀でした。
このような就職に関してもさしたる苦労もなく、成り行きで決まっていく者たちは、格差社会の恵まれた者たちです。その中でも学習院は、皇室だけでなく庶民には縁遠い家柄の学友ばかりですから、友人としてだけではなく仕事に繋がる結びつきに少なからず影響したことと思います。
戦前のエリートである帝国大学予科である一高や三高の生徒は、高等文官試験(現在の国家公務員試験Ⅰ種)を目指しましたが、高文の中でも最高のエリートである内務省官僚達は、恐らく学習院初等科に通う生徒達と似た家系の背景を持っていたと思われます。
もう一つのエリートである海軍兵学校や陸軍士官学校の入学は、月謝や生活費が無料でしたから庶民でも可能でしたが、現在の東大並みの学力だけでなく文武両道の天才達しか入り込めない世界です。どちらにしても戦前の上流階級やエリート達と庶民の格差は現代では考えられないものです。