前回:雨降らないと舐めてかかった瀬戸内特急

 

🚂四国鉄道文化館 北館

Shikoku Railway Culture Center North Hall

愛媛・西条市

| Saijo City, Ehime, Japan

 

伊予西条駅最寄りの四国鉄道文化館に着きました。まだ雨が降ってます。

建物の前には西条市のお隣の新居浜市出身、かの国鉄総裁であった十河信二氏の像がお出迎え。

北館と南館の2つがあり、まずは目の前の北館を見学していきます。

 

▼四国鉄道文化館などの施設がある「鉄道歴史パーク in SAIJO」HP

 

 

🚅0系新幹線電車 21-141

| EMU Series 0 Shinkansen 21-141

🚂DF50形1号機 電気式ディーゼル機関車

| DF50-1 Diesel Electric Locomotive

 

館内に入ると0系新幹線とDF50形ディーゼル機関車が展示。

 

すごい…ホントに四国に新幹線がおる…。

 

🚅 0系新幹線電車 21-141

EMU Series 0 Shinkansen 21-141

 

さいたま京都の鉄道博物館、名古屋のリニア・鉄道館などに0系が展示されている所がありますけど、一切走っていない新幹線が四国にいるというのが何とも。

(沖縄や北海道・池田などの地域にも置かれていたことはあった)

 

新幹線を真正面から見られるのも展示施設ならでは―

 

0系は1964年の東海道新幹線(東京~新大阪)の開業時に登場。

展示されている「21-141」車両は1976年に増備、大きな窓をしているのが特徴です。2000年まで山陽新幹線こだまとして活躍していました。

 

現役時の走行距離は1020万キロで地球を約255周したことに―

 

座席は2列3列のリクライニングシート。

座席背面と窓下にはタバコの吸い殻入れが設置。

 

もちろん乗務員室にある運転席も見学可能。

運転士さん(のマネキン)がマスクをしております。

 

運転席周りの機器類。N700系E5系などの新幹線は、ディスプレイで表示されるようになっていますが、こちらの0系はかなりアナログ表記な速度計。

 

四国鉄道文化館に展示している0系は、元は26mの車体の長さだったのですが、ほぼ半分に切断されおよそ12m。JR西日本から譲り受け、ここに来る前はJR四国の多度津工場に運ばれ保存されていました。なんかBトレっぽさも見えなくもない気もします。

 

パネルにも説明が記載しているのですが、現役時は4両編成で運転していた博多方面の先頭車両。反対側、東京方面の先頭車両22-141は、完全な姿で海を越えイギリス・ヨークの国立鉄道博物館に展示されています。

 

0系の横には、新幹線の生みの親「十河信二」氏にまつわる紹介のパネル。

十河氏は新居浜市出身、13歳から18歳までは西条市の旧制西城中学(現在の愛媛県立西城高等学校)を卒業までの5年間通っていました。

 

東京の大学を経て鉄道省。西条市の市長にも就任していたんですね。

さらに国鉄総裁へ就任し、長きに渡って新幹線建設にまい進。かなりざっくりと説明してしまったのですが、国鉄総裁なのは知っていたんですけど、その前に西条市長もやっていたんですか…。

 

西条市長として就任したのは1945年。①給料はいらない②国からの用があったらやめる③誰からの反対があるならやめるという条件を出し、治水や農地、学校教育などふるさとのために力を尽くしました。無報酬でここまでやるというのは何だか…凄いし、現在なら到底できないというか、無報酬は許されない状態(お金貰わないとダメ)。

 

新幹線が果たした役割についての説明もあります。

東京圏から関西圏への所要時間の表には、特急「こだまは往復13時間だったのに対し、新幹線開通後は6時間強と日帰り圏を可能にしたと紹介。他には新幹線の成功によってフランスのTGVなど国外の高速鉄道が開業するなど、世界の鉄道に大きく貢献しました。

 

新幹線がない仮定を述べた書籍新幹線がなかったらもその中の一部が紹介。

バスで東海道新幹線の客を全て運ぶなら、40人乗りバスを10秒間隔で運行しなければ追いつかない高速道路は、東京―大阪間にあと3~4本は必要などなど。

 

2021年現在、東海道新幹線で使われるN700系16両編成の定員が1,323名。それを高頻度かつ大量に輸送しているから、そう考えると新幹線はかなり偉大な存在です。

 

🚂DF50形電気式ディーゼル機関車 1号機

DF50-1 Diesel Electric Locomotive

 

0系の隣にいる赤いディーゼル機関車のDF50形。鉄道の近代化や輸送量を増加すべく、蒸気機関車に変わる主力として1957年に登場し、四国の予讃線や土讃線のみならず、北海道を除いた全国で活躍。

 

この1号機は新三菱重工三原製作所で作られ、高松機関区に配置。敦賀、長野、米子の機関区を経て再び高松に再配置され、1983年さよならDF50土佐路号の運行を最後に引退し、同年に準鉄道記念物に指定されました。走行可能な状態で保存しているんですって。

 

車体側面にはタブレット閉塞がかかっています。

列車衝突を防ぐために、このタブレットを持った列車が走れるいわゆる通行票みたいな物。

全国の路線で見られましたが信号などが普及され、現役で稼働しているのは津軽鉄道(青森)、由利高原鉄道(秋田)、くま川鉄道(熊本)の3路線のみ。

 

運転席の機器類、機関車って電車と違って動かすのに相当苦戦しそう…。

 

北館には車両展示のみならず、実際に使われていたタブレット閉塞や行先標、ヘッドマークなども展示されています。JR四国発足時のヘッドマークも飾ってらっしゃる。

 

十河信二記念館

Sogo Shinji Memorial Hall

 

北館を出まして次はお隣にある十河信二記念館。

西条市長や国鉄総裁を務めた十河氏の功績や、ゆかりの品などが展示。

 

 

新幹線開業までの歴史や記念品などが多く置かれています。

 

名言でたどる十河の生き様

 

十河氏がどのような事を言ったのかちょっとだけ見てみましょう。

 

~今におじいちゃんが、大阪まで2時間ぐらいで行ける電車をつくってやるからな。~

 

 

凄いよなぁ…本当に新幹線が開通して2時間で行けるようになっているんだもん。

 

さてさて、ざっくりと紹介しまして次に線路を渡って南館へ移動します。

 

🏔石鎚山(いしづちやま) / Mt. Ishizuchi

 

橋を渡ると目の前には石鎚山がそびえていますが、曇っているので上の部分が…うん。

あともの凄い雨降ってらっさる。

 

🚂四国鉄道文化館 南館

Shikoku Railway Culture Center South Hall

 

2014年に開館した南館。

表にはコバンザメみたいな新幹線が置いてあります。

 

🚄軌間可変電車 フリーゲージトレイン 第2次試験車
Gauge Changeable Train "Free Gauge" test car

[GCT01-201]

 

コバンザメみたいな顔をしているこの車両は、新幹線の標準軌(1,435mm)と、在来線の狭軌(1,064mm)の異なる軌間を車輪の幅を変えて直通を可能にした車両。

 

展示しているこの第2次試験車はJR九州の小倉工場で完成し、2007年から2009年にかけて九州内の在来線と新幹線で試験走行。台車を新たに装着、2011年から2013年にかけて予讃線の多度津~坂出の間を試験走行し、その後JR四国多度津工場の保管を経て、南館の開館を機に西条市に譲渡され現在に至ります。

 

側面はかなりの新幹線。

 

フリーゲージトレイン以外にも南館の館内には、四国などで活躍した3形式が展示。

3形式撮りたいのでもうちょっと全体的に撮れればなぁというワガママも―

 

🚂C57形蒸気機関車 44号機

C57-44 Steam Locomotive

 

貴婦人の愛称で呼ばれているC57。展示されている44号機は1938年に登場し、東京や仙台、札幌、室蘭で急行列車の牽引機として運用。北海道の岩見沢機関区において38・57・135・144号機と共に国鉄最後に活躍していました。

 

西条市長や国鉄総裁を歴任された十河信二氏の雅号(がごう)にちなみ『春雷号』と呼ばれ、西条市市民公園で長く保存。この南館の建設を機に移設し展示されるようになりました。

 

 

C57のプレートや運転席。

現在使われている鉄道の運転室と比較するとかなり複雑な造り。

 

🚃キハ65形34号 / Kiha 65-34

 

1967年に登場した急行用気動車。、四国では高松運転所に配置され、急行として運転されていましたが特急増発により、一部は普通列車として運用。

2008年に引退し、多度津工場へ保管されていました。

 

座席はボックス席。

 

窓下にはセンヌキも。

 

🚂DE10形ディーゼル機関車 1号機

DE10-1 Diesel Locomotive

 

貨物駅などでだいたい見かける形状のディーゼル機関車。1966年から12年間で700両も製造したんですか。駅での入替作業の他、ローカル線での旅客列車や貨物列車でも活躍していました。この展示車両は1987年の引退まで松山機関区で配置、ずっと四国にいたんです。

 

キハ65越しのDE10。

この角度からだと昔の国鉄駅みたいな雰囲気が出たり…?

 

展示車両のある南館には瓶のコカ・コーラの自動販売機が設置。

これは買わざる得ないでしょ。

 

国鉄時代に活躍した車両を見ながらの瓶のコーラ。

風情あってなんか好き。

 

他にも実際に使われた標識や行先標、ヘッドマークが展示。

 

伊予西条駅を中心とし四国をイメージした鉄道模型ジオラマ。

あっ、新幹線にそっくりなキハがおる。

 

これにて2時間近くの見学を終えまして、伊予西条駅に戻り予讃線特急に乗って松山方面へと向かいます。

 

次回:電車特急と気動車特急を乗り継いで―