長くこちらでお世話になったみなさまへ
おかげさまで、病期はほぼ克服した状態になり元気ですごしています
このブログのお友達には本当にたくさん力をもらいました。
病期を克服するまでいけたのもみなさまの支えのおかげでした。
感謝感謝でいっぱいです。
思い出いっぱいの宝物だらけのこのブログですが
闘病が終わった状態になったので、このブログは閉じさせていただきます。
これからは音楽活動に専念したいと思っていますので
http://keiko20030512.wixsite.com/keipyan
こちらで暖かく見守っていただければ嬉しいです。
今まで本当にありがとうございました。
ナスキーくんが旅だって、半年。
今も私のまわりは、ナスキーくんの話をしてくれる人が何人もいるんだな。
本当にいい子だったなぁ…

さてさて、前の記事の続き。


ナスキーくんの葬儀&火葬から帰って来て、ぐったりと横になっていたら、
母のお友達がお焼香(?? お線香は置いてなかったや)に来てくれたんだ。
自分の家族のように、ナスキーくんに涙してくれて、
ナスキーくんとの出会いから語ってくださってね。

その母のお友達は前住んでいた同じマンションに住んでいる方でね、
その方も犬をかってらっしゃる。
一階のエレベーター前でナスキーくんと母が待っていたら、
その母友が偶然いて、オイデオイデと手をひろげたら、
ナスキーくんは母友に抱きついて尻尾ふりまくったのが出会いで、
なんて優しい顔をしたワンちゃんでしょう!と、感激したそうで。
ナスキーくんがきっかけで、うちの家族と知り合ってお友達になったんだ。

そのマンションはペット可で入居したけれど、
犬嫌いな人が数人いて、大きな犬が嫌がらせの標的になってしまったんだ。
ナスキーくんは2番目くらいに大きかったのかな。
一番大きいワンちゃんが亡くなってしまって、その標的がナスキーくんにしぼられて、
うちの家が嫌がらせされる事に。
(その嫌がらせする人は犬が嫌いで近寄れないから、ナスキーくんには嫌がらせは出来なかった)
それを、母友が自分のことのように怒って悔しがってくれたんだけど、
その様子をナスキーくんが見ていて、すごく悲しそうな顔をして、

「あっ、この子は話を聞いている、すごく悲しそうな顔をしている、
この子の前ではこんな話しちゃいけない…」

と、思ったそう。
母友はそんなことを語ってくれますた。

ナスキーくんは人の話や表情を本当によく見てる子。

マンションの嫌がらせは、私の精神面やナスキーくんも落ち着かないのと、
そんなおかしな嫌がらせをするような人がいる所で暮らしたくなかったので、
マンションから今の一軒家で引っ越ししたんだ。
(うちの家族が引っ越した後もまた別の所に嫌がらせをしている様子)



ナスキーくんが旅立った翌日、
ナスキーくんの彼女の柴ワンコのチビちゃんが飼い主さんが、うちを訪ねてきてくれたんだ。
チビちゃんも連れて来てくれたんだ。
チビちゃんがうちにきたのは初めてだったんだ。
いつもナスキーくんがチビちゃんのお家に寄ってデートしてたからね。

「本当に優しいお顔のワンちゃんでしたね、チビも仲良くしてくれて。
寂しいねぇ、寂しいねぇ」

チビちゃんにナスキーくんの骨壺を近づけたら、お鼻でクンクンしてくれて。
最期に会えなかったのは残念だったけど、こうやってわざわざチビちゃんが家まできてくれて
ナスキーくん、モテモテじゃないかーー!
まったく、晩年に彼女つくるなんて、色男犬だわ。

チビちゃんのお家の前は、今もミルヒーくんとお散歩で通るんだけど、
ミルヒーくんとチビちゃんがクンカクンカしたあと、
チビちゃんは「あれ?」って仕草をするんだ。
ナスキーくん、いないの?って探してるかのように。

飼い主さんも未だに、ミルヒーくんに

「おちびちゃん、一人になって寂しいねぇ、寂しいねぇ、
お兄ちゃん(ナスキーくん)は本当に優しいわんちゃんだったねぇ」

って話しかけてくれるんだ。


本当に人にも犬にも好かれてたナスキーくん。

小犬が産まれたからもらってくれ、と父の知り合いに言われて、
父と兄がもらいにいった時に、6匹中一番最初にピョンピョンと近寄ってきたのが
ナスキーくん。
うちの家族を選んでくれて、ありがとね。


ナスキーくんのお骨、
私はずっと骨壺のまま近くに、いつでも目が届く所においておきたかったんだけど、
父も母も兄も、誰から聞いたのか
ずっと家に置いていくのはよくない、って言われて(宗教がらみ?言い伝え?)
シブシブ埋める事に。
今住んでいる家も借家なので、次の家を買う時に連れて行けるように、
骨壺のまま、今の庭に埋めてます。
ナスキーくんが庭で一番好きだった灯籠のすぐ横に。
庭なら、いつでも会えるからね。


こんな感じで、ナスキーくんを見送ったとです。

ナスキーくんの姿はなくとも、思い出はいっぱい。
夢にもたまに出て来てくれるんだよ。

一番最近に見たのは
泥だらけになったナスキーくんが洗われて、
ぎゃぁぁー、また泥の中でゴロンゴロンしてぇぇーー!
シャンプーしなきゃーーー!って、お風呂に扉あけたら目が覚めた夢だったなぁ。


ナスキーくんの写真も動画も曲もあるから、
動画つくろうかなと思ってマス。

ちょっと間があいちゃいましたが、続きです。

この記事では、ナスちんの亡くなった後の写真ものせます。
グロい写真は決してないですが、苦手な方は見ないでね。


12月15日朝。
前日の夜から雨が降っていたけれど、朝には止んでいた。

ナスちんと添い寝をしながら
ナスキーくんの夢や、ナスちんの声の幻聴が聞こえまくったり
起きてナスちんの姿を確認してナデナデしたりしながら、朝を迎える。
朝になるころには、体温もすっかりなくなって冷たくなってた。
でも毛はフワフワのまま。
本当に寝てるだけのようなかわいい姿。

ミルちんにご飯をあげる。
毎日ナスちんとミルちん、それぞれの器にそれぞれの体にあわせたフードを入れて、
一緒におすわり、まて、をして、お互いのご飯をつつきあいながら食べて、
どちらかが奪ったり食べてしまったりしたら、
私の顔をみてご飯取られたぁ~ってアピールするんだ。
この日はナスちんは起き上がらない。
ミルちん一人でおすわり、まてをして、「よし」の合図を出す。
ミルちん、一口分ご飯を口にいれては、
ナスちんの姿を見る。ナスちんの姿をジーーっと見ながらモグモグ食べる。
変だな?って様子で。
いつもは私のいる方向を見ながら食べるミルちんが、私の方向を全く見ずに
一口分口にいれては、ナスちんが横になっている姿を見ていた。

夜中に予約したペットセレモニー。
父の仕事の時間の都合もあって、朝9時ごろに行く事に。
夜中の2時前に亡くなって、9時にはもう出発だなんて…。
あと1日くらい一緒にいたかったな…とか思ったけれど、
どこかで踏ん切りつけないと、ずっとあと1日、あと1日と思ってしまうんだろね。

20キロから14キロまで痩せてしまったナスちんを父がダッコして
車にのせる。

イメージ 1

父が運転席、母とミルヒーくんは助手席。私はナスちんと後部座席。
みんなでドライブだよぉ。
ナスちんは本当にドライブが大好きだったからね。
本当に眠っているだけのようにしか見えないナスちん。

ナスちんの好きだったお散歩コースを父に車で走ってもらう。
ガールフレンドの柴犬のチビちゃんのお家の前にもとまってもらったけど、
チビちゃんもチビちゃんの飼い主さんもお留守。
ナスちん、会えなくて残念だったね。。。
去年まで住んでいたマンションのすぐ近くのしょっちゅうお散歩した河川敷も通る。
この河川敷では飛んだり跳ねたり元気いっぱい遊んだんだよね。

イメージ 2
                     ナスちんミルちんと、母と母の友達と河川敷お散歩(2年前)

ナスちんは本当に車でいろんな所にドライブいったよねぇ。
どこにいってもいい子だから、また連れて来てね!って言われてね。。

こうやって眠っているだけのナスちんを撫でながらドライブしていると、
もうすぐお別れなのを忘れてしまいそうなくらいだった。

お散歩コースを経て、ペットセレモニー会場へ向かう。
会場は随分と山の上だった。
空が近い。

イメージ 3

とてもいい場所にあるペットセレモニー。
天国に近そうな所だねぇ。

車でスヤスヤかわいい顔をしているナスちん。
私は車の中で何度もナスちんとおでこスリスリした。
ナスちんのおでこの毛はフワッフワで気持ちがよくて、
ナスちんも私がおでこスリスリすると、いつもしっぽを振ってくれていた。

セレモニー会場の人がお棺を持って来てくれる。
外側は綺麗なツルツルした白の段ボールで、
中にレースの縁がついた白いツルツルのお布団が敷かれていた。
大きな体のナスちんが、箱に入れられるというすごい違和感。

生後2ヶ月のナスちんは段ボールに入れられてやってきたんだけど、
随分大きくなったから、どんな入れ物にも入らなくなったんだよね。
靴箱の下やコタツの中や、体が大きくなるごとに入れなくなっちゃって。

父と会場スタッフさんが車からナスちんをだっこして、お棺に入れる。
すっぽり入っちゃった。
大事そうに会場の祭壇前まで運んでくれる。

お棺の中にナスちんの大好きなオヤツや、愛用していたお洋服や、
いつも食べたがっていたミルちんのダックス用のドッグフードも入れてあげる。
もっと時間があれば、ナスちんの好物のもの、いっぱいそろえてあげて、
お棺にいっぱいっぱいパンパンに入れてあげたかったのに。
ワンコ用おうどんとか、ワンコ用ケーキとか、大根とか、ささみのゆでたのとか…
一杯一杯好物があるのに。
ナスちんは食いしん坊だから…。
隙間いっぱいのお棺をみたら、ナスちんに申し訳なくなって涙があふれてしまった。

イメージ 4


お坊さんはいないけれど、ほぼ人の葬儀と同じようにお焼香をする。
会場にいるのは、私、父、母、ミルちん、会場スタッフさん。

最期のお別れをしてくださいと言われ、ナスちんに触れる。
頭、おでこ、肉球、背中、鼻、ナデナデ。フワフワモフモフ。
本当に寝ているだけにしか見えないのに、お棺を閉じたらサヨナラだなんて。
私がなかなか、ナスちんから手を離さないから、
両親が「そろそろ」と言って来たけど、
会場の方は

「一緒に過ごして来た家族ですもんね、ゆっくりでいいですよ」

と言ってくれた。でも、ずっと撫でてるわけにもいかず…。
お棺の蓋がそっと閉じられた。
その時点で私は涙が堪えられなくなってた。

お棺が火葬場に移動される。

数年前に祖母の葬儀に出たときの火葬はかなり近代的で、まるでエレベーターの中に入るかのような
自動ドアで火も見えないタイプだった。
小学校の時に見た祖父の葬儀の時の火葬は、旧式(?)の火葬炉で、
燃えている火が見えるタイプだった。

ナスちんのは、祖父の葬儀の少し小さくしたような火葬炉だった。
火葬炉の台にナスちんの白いお棺が乗せられる。
ガラガラとナスちんが火葬炉に納められた。

会場スタッフさん「合掌でお見送りください」

…赤い大きなボタンが押される。
父、母、私が見送る。
合掌、をしながら私は泣きまくってフラついて、母に支えられながらナスちんを見届ける。

私は火葬炉の炎からしばらく目が離せなかった。

父と会場スタッフさんが、ナスちんの想い出話をしていたっぽい。
後で母からきいたら、その時、父は涙は流さなかったけれど目が真っ赤になっていたらしい。

イメージ 5


母に1時間はかかるから、お茶でも飲みなさい、と待合室に誘われる。
火葬炉の煙突からは空にむかって煙があがっていく。
ナスちんは、もう熱くないのかな…もう自由なのかな…?

待合室に入ると、
それまでにこのペットセレモニーで葬儀をした人の気持ちが書かれたノートがあった。
壁にもペットの写真と飼い主さんのコメントが綺麗に書かれていた。
随分若くで亡くなったペットもいるんだな…。
ナスちんは14歳、長生き…したよね。
2歳や3歳で亡くなった子と比べれば長く一緒にいた方だよね。
でも私はもっと一緒にいたかったよ。

待っている間にお花を持ってやってきたファミリーがいた。
次の葬儀の方?(次にも葬儀があると聞いていた)と、思ったら、
納骨堂にお参りに来られたらしい。
みんな、ペットの思い出を大事にしてお参りしてるんだね…。

ナスちんが白い骨になって戻って来た。
お骨上げをする。

会場スタッフさんが、これは肋骨です、これは骨盤です、と、説明をしてくれる。
端っこに背骨みたいな骨の小さいのが並んでいた。

「それはしっぽですよ」

あぁ~、ナスちんのフワッフワの毛でわからなかったけど、
こんなにかわいい尾っぽの骨してたんだぁ~。
しっぽは大事な部分だからちゃんと納めなきゃね。

母がきく
「のど仏はどれですか?」

会場スタッフさん「ワンちゃんの場合、のど仏とは言わないのですが、
頸椎の所が仏さんがお祈りしているような形になっているんですよ
こちらの仏さんは最期におさめますね」

と、見せてくれた骨は、人が手をあわせているかのような仏さんのポーズの形をしていた。
ワンコにも、仏さんがいるのかぁ。

いっぱい走ったり、穴を掘りまくったり、お手をしたり、
私が握ったりした指も、かわいい骨になっていた。指の骨も納める。
骨のどの部分を見ても、あぁ~撫でていたナスちんそのものだなぁ、と、
なんだか愛おしく感じた。骨までかわいいなんて、ずるいぞナスちん!

母「あっちでも一杯食べなあかんからね~」

と、歯、顎も納める。

骨壺が結構イッパイになってきた所で、
さっきの仏さんを入れて上げる。
そして、頭蓋骨で蓋をして、骨壺の蓋をしめて、綺麗なカバーに入れてくれる。

私が両手で手を回してハグハグしていたナスちんは、両手に収まるサイズになっちゃった。
それでも、ナスちんはここにいる。

さ、一緒にお家帰ろうか。


現金でセレモニースタッフさんにお支払いする。
個別葬でナスちんは20キロ以下だったので27000円。


帰りに、美味しい焼き芋が売っているお店があるから買って帰ろうと、
焼き芋と、お花を買って帰る。

帰りの車の後部座席は広かった。
わずかに残るナスちんの香り。

家に帰ると、家がすごく広く感じた。
母と二人でナスちんが寝ていた布団や毛布をたたむ。
お骨を置く祭壇がない…
即席祭壇をいそいそと作る。

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いつも一緒にすごした居間のテレビの横に祭壇を設置。
ちょっとにぎやかな場所だけど、そこならいつでも見れるからね。
ミルちんがイタズラをするかな、と、お供えをおかずに写真とったけど、
今はもうちょっとにぎやか。

帰りに買って来たお芋を母と食べながら、

母「ナスー!、お芋ぉーー!………あぁ…ナスはおらんのやったな…
でも、まだ呼んだら来るような気がするなぁ…。庭にでもおるような気がするよなぁ。
ミルちゃん、ハイ、お芋」

ナスもお芋大好きだったんだよねぇ…。
涙腺が緩む。
お芋をナスちんにもお供えする。

こんな調子で、ナスちんが大好きだった食べ物を食べるたびに、
うちの家族はナスの名前を呼んでしまう。

ナスちんが具合が悪くなるまでは時間がすぎるのがすごく早く感じたのに、
ナスちんの介護をした数日間から、時間がものすごく長く感じるんだ。
まるでナスちんが時計の針を遅くしたかのように。

我慢強い子だったからたったの数日間の介護だったけれど、
寂しいよぅっ苦しいよぅって泣いてくるナスちんは
見ていて辛かったけれど、すごく愛おしかった。
無駄な時間がない濃い時間だったと思う。
だって、成犬になってからあまり甘えてくれなくなったから。
最期に頼ってくれて嬉しかったんだ。
ナスちんはどう思っていたのかはわからないけどね(´・ω・`)
もっと早く病状に気がついてくれよ!って怒ってるかな…。ごめんよ…。


ナスちんは偉大だ。
心が死にかけていた私に生きる基本をいっぱい教えてくれた。
これからも私の人生の大先生なのだ。ナスちん。

こんな感じで、ナスちんを見送ったけれど、まだ近くにいる気がするんだ。


次の記事では、その後のナスちんを取り巻いていた
ステキな人間関係?人犬関係?犬犬関係?なども書いて行こうかな。

続きです。


家に帰ってナスちんに駆け寄ると、呼吸がすごく荒くなっている。
仕事行く前と形相がかわっている。さらに苦しそうな表情になってる。
ずっと、高い声を出しながら気管支から音をたてながら、必死に全身で呼吸してる。
3時間前は呼吸は普通だったのに。
腎不全の亡くなる前は、肺に水がたまって呼吸音がかわるって書いてあった。
たったの3時間でもうそんな状態に?
呼吸をしながら、手足が時々ピクピクっと動く。
痙攣だ。痙攣がはじまってる。

母にいつからこの状態に?ときいたら、私が出かけてちょっとしてから、
呼吸が荒くなってきて、手足が時々ピクっとしだしたけど、それが痙攣とは思わなかったと。
(母方の祖母が亡くなる直前の痙攣はベッドが揺れるほどだったらしく、
もっと激しいものだと思っていたらしい)
嘔吐も数回多いのをしたけれど、もう吐き気がしても少ししか出ないような感じとのこと。

呼吸をするたびに高い声が出る。悲鳴に近い。ほとんど悲鳴だ。
痙攣する手を握る。ナスの呼吸にあわせて手(肉球)を握ると、
私も一緒に呼吸してるんだよっていうのが伝わるのか、少し呼吸が落ち着くようだった。
少しだけど。
出産の時も立ち会う人が一緒に呼吸して落ち着かせてるよなぁ…と、そんなことが頭によぎった。
命が生まれる時と終わる時の苦しみは同じなのかな…。
呼吸が荒くなる、さすりながら手を握る、落ち着く。
でもそれも少しずつ効果なくなってくる。
少し楽になった所で仕事帰りに買って来たポカリスエットを口にいれてあげる。
気休めにしかならないだろうけど、口の中が少しでもスッキリしてくれたら。
ナス、すごく苦しそうで、、目頭に目やにがずいぶんたまってくる。
目やにを取ろうとしても目に張り付いていてとってあげれない。
母が

「ナッちゃん、ナっちゃん」

と声をかけると、瞬きをする。苦しいけれどちゃんと声を聞いてる。
目も私と母を交互に見てる。
パッチリしていた目もトロンとした感じになってた。
私もナスちんに呼びかけたかった、なんで私は声が出ないんだ。
こういう時くらい出てくれもいいのにと、自分の体を恨んだ。
けれど、今はそれどころじゃない、ナスちんは必死なんだ。
苦しくても苦しくても必死に生きようとしているんだ。

ワンコの感情はその一瞬一瞬にしかないときく。
躾がその場ですぐ注意しないと効かないのはそのせい。
だから、最期の最期まで絶対泣き顔は見せられない。

ナスちんといれて幸せだよぉ、一緒にいるから大丈夫だよぉと念じながら
おでこに頭をつけてスリスリしたり、手や足をにぎにぎする。
体温が下がっていて、冷えていた肉球が急に熱くなったんだ。
結構冷えていた私の手まで暖まるくらい。
ナスちん、呼吸するだけで精一杯なのに、必死に何か伝えようとしているようだ。

ナスちんを寝かせていた場所は居間の壁側。
ナスちんの左側が壁、私はナスちんの右側に、母とミルヒーくんはナスの右斜め前にいたから、
ナスちんは体はうつぶせで頭はずっと右方向を向いていたんだ。
まっすぐ向いた方が呼吸も楽なはずなのに、
まっすぐむかせても右を向いちゃってたんだ。私達の姿を見る為に。
右を向いて、呼吸音をたてながら、ワゥワゥいってたナスちんが、
頭を体と同じくまっすぐの方向を向いた。
声も出なくなって、口を小さくパクパクさせはじめた。
もう、私達を見る余裕もなくなってきちゃったんだね。

呼吸音も静かになってきた。
それまで吐き気で辛くて口を小さくしかあけれなかったのが、
急に大きな口をあけて、声はでていないけれど「ワン」って発音するかのように、
口を動かしたんだ。

母「ナっちゃん、何?ワンやな、ワンって言いよるんやな、ナっちゃん」

口をめいっぱい開けて閉じて、

「ワン ワン ワン ワン ワン」

って言うかのように動かしたんだ。
たぶん、4回か5回。

ワンのンを言い終わって口を閉じて、フゥー…っと息をして…

ナスちん、苦しそうな顔しなくなった。
吐き気も、息苦しいのも…おさまったの…?
それはつまり、息が…

ナスちんのお腹両脇に手をあてると、それまでプカプカ動いていたお腹がとまって、
背中に耳をあてると、心臓の音はとまっていた。

12月15日 1時40分 


私が仕事から帰って来て1時間ちょい。
時間がものすごく長く感じた。何時間もたってると思った。
でも、たったの1時間ちょっとだったんだ。
ナスちん…私が仕事から帰ってくるまで踏ん張って踏ん張って待っててくれたんだね。

ナスちん、最期の最期まで本当に全身全霊で頑張った、
こういうのを生き抜くっていうんだ
目線、呼吸、肉球の体温で必死にいろんなことを伝えてくれた。

母「ナッちゃん、おつかれさま、楽になった?よぅ頑張ったな」

母も私もナスちんをナデナデ。
ここ何日も苦しかったね、よく頑張ったね、いい子だったね、
やっと楽になれたね。

いつもやんちゃなミルヒーくんは神妙な顔をしてだまって見ている。
いつもならナスキーくんを撫でていると、焼きもちをやいてワンワンほえて私に飛びかかるのに。
ミルヒーくんも理解してるのかな…。


目は少しトロンとしたまま開いていた。キラキラしたまま。
ずっとその瞳を見ていたかったけれど、硬直はじまったらいけないから
目を手でゆっくり閉じてあげた。
首輪をとってあげた。
お洋服いいっぱい貼付けていたカイロもとった。
お洋服はナスちんは大好きだから着せたまま。
お顔や肉球、体を暖かいタオルでふいてあげた。
そしてナスちんの大好きなブラッシング。
本当にツヤツヤした毛のまま。

母はナスちんが成犬になってからよく

「ナッちゃんはとぼけた顔でかわいいし、毛も綺麗だから、死んだら剥製にしたいわぁ~
そしたらずっとナッちゃんに触れるもんなぁ~」

ってよく言っていたもんだけど、ホント、できるものならそうしたいくらい、綺麗でかわいい。

綺麗にふいてあげて、お口まわりとお尻あたりのシートも綺麗なのにかえて、
あとは、手足の姿勢をととのえてあげて、毛布をかけてあげる。

1時50分頃、父が急いで仕事から帰宅。

父「ん?まだ生きとるんちゃうか?」

ナスちんはまだ暖かかったから、ナスちんをヨシヨシする。

父「精一杯生きたな、よぅ頑張った、ヨシヨシ、しかしまだ生きてるみたいやなぁ」


父もナスちんをすごくかわいがっていて、先祖のお墓参りにいくと、

「ナっちゃん、おまえはうちの家族の一員や、一緒の墓に入ろうな」

って言っていたものだ。
今年のお彼岸のお墓参りで、父方のお墓があるお寺にペット用お墓もあるのも見て、
ここはいいなぁ~って言っていた。

兄はチラっとナスちんの姿を見て、自分の部屋にもどった。
兄は…見たくなかったんだろな…。

私はナスちんの体温が暖かいうちはずっと手を握っていた。

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数日お散歩に行かないだけで、ザラザラしていた肉球もスベスベになっちゃって。
肉球ぷにぷに。

父が火葬について言い出す。そうだよね、このままじゃいけないもんね。
「保健所はどうだ?」って言うけど、
それだと、遺骨持ってかえれないから、お父さんの念願の一緒にお墓は無理だよ?と伝える。

父「じゃぁ、ナスがお散歩してた川に流すか?」

そ、それは…うどん県の乾涸びた川じゃ流れないし、みんなが見るよ…。

父「それなら、みかんの山(父友人所有の山でみんなでみかんを育てている)に埋めるか」

埋めるなら火葬してからのほうが…。
兄が二階からおりてきて、兄の知り合いの所がペット葬儀をしているから、そこどうや?
と、ネットでサイトを見て、葬儀の流れ、値段等を見て、
そこにしよう、と決定。
24時間受付って書いてあったから、夜2時だけど電話をする。
受付完了。

さ、明日は葬儀だから、寝よう、とそれぞれの部屋へ。
「お前はここ数日寝てないし明日も仕事だからちゃんと寝なさい」
と、言われる。

私はナスちんの横で添い寝することにした。
ナスちんの姿を見ていると、本当にいつものスヤスヤ寝顔のままで、
何度も寝息の空耳が聞こえた。

目を閉じて眠ろうとすると、ナスのワゥワゥと呼ぶ声がした気がして、ガバっと起きて
眠っているナスをみて、ナデナデして、、
また横になりながらナスちんを眺めながらウトウト。
目を閉じて眠ろうとすると、数日間ナスちんが吠え続けた辛い声、悲鳴が頭の中で聞こえた。
目をあければ、安らかな顔のナスちんの姿にホッとした。

まだそこにナスちんの体があるだけで、なんだか安心出来たんだな。
ナスちんの香りもするし。
ナスちん、何日間眠れなかったんだろう、やっとちゃんと睡眠とれたんだな~
安心して眠っていいからね~と、ヨシヨシナデナデ。


何度もそうやって目が覚めてはナスちんを撫でて、朝まですごしたんだ。


前記事の続きです。




ナスちんの病院から帰宅。
ナスちんがどうしても玄関に寝たがるから
玄関にダンボール、布団、毛布を敷いて寝床にしていたけれど、
体温が下がっているなら、そうは言っていられない。
コタツを置いている居間に寝床を設置する。
ナスの為に買っておいた一人用ホットカーペットも敷いてあげて。
枕元とお尻の所にはトイレシートも敷いて、介護準備万端。
ナスちんを寝かすと、1時間くらいは大人しくしていたかな。
目は起きていたけれど。
少しは睡眠とらなきゃだめだよ~と、目元をなでてあげるけれど、
パチっと目をあけちゃうんだ。しっかり私を見て。

しばらくすると、昨晩のような辛い鳴き声を出し始めた。
吐いた。
吐いて、シートを新しいのに変えてあげて。
顎の下に敷いているシートをかえるとき、ナスちんは軽く顎をあげてくれる。
えらいねぇ、体力落ちてるから顎や頭くらいもたれてくれたらいいのに。
まさに共同作業の介護。
吐き気止めの注射うったのに、もう効き目とれちゃったのか…

吐いて落ち着いたかなと思ったら、数分後に再びクゥ~~ンとなく。
ほとんど立てない前足で必死に立とうとする。
ナスちん、立ちたいの?、もしかしてトイレしたいの?
お漏らししてもいいのに、それでもお外でしたいの?
ナスちん、こんな大変な状態でも賢いんだね。
母と二人でナスちんを抱きかかえて庭に連れて行く。
大きな石の段差があって、そこの上段にナスちんの上半身をもたれかけて、下半身は土の上に。
この姿勢なら、足が立たなくても、オシッコやうんこしやすいかな?と思って。
庭に連れてくるとナスちんは、すごく落ち着くのか、やはり鳴き止む。
オシッコがでる様子もなく、ナスちんの体が楽そう。
今日が雨じゃなくてよかったなぁ。
雨だったらいくらお庭でも外には出せなかったもんなぁ。
ナスちんは土の匂い、草の揺れ、風を心地よく感じてるようにみえた。
少しでも草むらを走ってる気分になってもらえたらいいなと
草をちぎって、ナスちんの鼻に草をあてたりしてみた。
ナスちんはキラキラした目で見ていた。

10分くらいは庭にいたのかな。
これ以上は体冷やしちゃいけないと、また母と私でナスちんを居間の寝床へ運んで、
毛布を2枚かけてあげる。
頭ヨシヨシ。
そうだ、ナスちんの好きなブラッシングをしてあげよう!
と、私はブラッシングをする。
母は、ナスちんのヘアが乱れてるから綺麗にしてあげるね~、とハサミでチョキチョキ。
ナス専属美容師は母なのだ。

父と兄は仕事の合間にナスの様子が気になって電話をかけてくる。

私は落ち着いたナスちんの横で、
検査結果の用紙を見ながらパソコンでワンコの腎不全について調べ始める。

腎不全。
ワンコも以前より長生きするようになってから老犬には多い病気。
ナスちんの数値は、腎不全のステージ4、末期。
治療しているワンコの様子や数値をみると、みんなBUN数値が二桁。
つまり、200越えというのは恐ろしい数値ということ。
腎不全は見つけにくく、血液検査で腎不全が判明するとうことは、
腎臓の75%は機能していなくて、のこった腎臓だけで生き延びるしかないとのこと。
人間なら透析、腎移植をするけれど、犬の場合は体力、金銭的にも現実的でないとのこと。

必死にパソコンで、腎不全ワンコにいいサプリがあるらしく、それを調べていたら、
母から

「ナスがずっと横目でねーちゃんを見てるよ」

ねーちゃんとは私のこと。うちではナスちんは私の弟、ミルちんは私の息子扱い。
ナスをみると、目線がずっとこっちにあった。
今私が辛そうな顔をしたらナスちんが辛くなるから、できるだけ笑顔で。
ナスちん、ごめんごめん、寂しかったねぇ、ヨシヨシしてあげる。
まるで小犬の頃のナスちんのようだ。
寂しがりやで随分夜泣きをしたもんねぇ。小犬のナスちんの記憶が鮮明に浮かぶ。
辛い時は甘えておくれよぉ~、と、添い寝する。
手足をマッサージしたり、肉球を握って暖めたり、ナデナデしたり。

数分おきにやってくる嘔吐。
吐く量が病院に行く前より増えている。
点滴を打ったから当たり前なんだろうけど、かなり辛そうだ。
鳴き声も少しずつ大きくなっていっている。
白い泡のようなものを吐いていたのが、だんだん黄色くなってきた。
母「今日仕事でしょ?昨晩も寝てないんだろうから、横になっときなさい」

と、言われナスから見える位置でコタツに横になるけれど、
ナスが少しでも苦しそうな声を出すと起きずにはいられない。
ナスが声をだすと、ガバっとおきて、母がシートを変えながら私はナスを辛いね辛いねと撫でる。
そしてまた私は横になる、ナスが声をだす、吐く、シートかえる、ヨシヨシとなでる。
嘔吐物が黄色から茶色っぽくなる。
これは…血液がまざってきたのか…。
鳴き声も、クゥ~ンから、ワウワウワウゥー…になってる。
いつものナスの鳴き声よりも随分高い声に。
苦しいね、苦しいね、吐くだけでも体力がすごくいるよね、しんどいよね。。
見てるだけで泣きそうになるけれど、ナスちんの目は輝いているし、
私をしっかり見ているからね。

この日、夜9時から12時まで私は仕事。こんな状態のナスちんをおいて仕事に行きたくない…。
でも、仕事だから行かなきゃ…。
そうだ、ナスちんの点滴代を稼がなきゃ、ナスちんの為にも行かなきゃ。

辛いだろうけど、3時間だけお仕事いってくるから、我慢してね、とヨシヨシスリスリ。

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ナスちんは写真を取られるのが嫌いだから、
具合が悪くなってから、ナスちんが嫌がることはしたくなくて、
あまり写真を取っていなかったんだけど、
あまりにも私を見つめるからiPhoneで撮ったんだ。
このかわいい顔を忘れたくなくて。

母に、もしナスが痙攣をしていたら仕事中でもいいから携帯ならして、と、お願いした。

外は雨。自転車では行けそうになくて、母がタクシーを呼んでくれた。
いつも演奏中はiPhoneはバッグにしまってあるんだけれど、この日だけは
譜面台にiPhoneをおいておいた。幸い電話はならずにすんだ。
ほとんど寝ていなかったから弾きながら目眩がしていたけれど、
寝ていなくて辛いのはナスちんのほうだ。
いつも12時きっかりに演奏を終えているわけではなく、
リクエストがきたりして時間がすぎることがしょっちゅうだけど、
この日だけはリクエストが来にくい選曲にしたんだ。j-Popや歌謡曲を抜いて。
そして12時丁度にお店を出て、丁度仕事帰りの兄が車で迎えに。
ワンコも脱水症状が出ている時はポカリスエットがいい、っていうのをネットで見かけてたから
コンビニに寄ってポカリスエットを買って、急いで帰る。