「井の中の蛙大海を知らず」 | オーストラリア子連れ冒険記

オーストラリア子連れ冒険記

シングルマザーになり損ねた脳腫瘍を患った日本人ママが、子ども二人を連れてのオーストラリア珍道中冒険譚。

専門学校のTAFE生活も

2年目に入った頃、息子の親友の

リンツのママ、叔母さん、お婆ちゃん

叔母さんの姉妹達、大家族に

親子で支えられ、何とか平日は

苦手な英語での勉強を続け

週末は、子供の時間と

お誕生日会や子供の集まりなどに

バタバタと明け暮れておりました。

 

リンツのママには、故郷から

呼び寄せた兄弟がたくさんいて

その子供や孫達のお誕生日会が

そこら中で、毎週のようにあったので

そこに私達もよく呼んでくれて

オーストラリア中の親戚のパーティーで

「私達のオーストラリアの家族」と

私達を親戚に紹介してくれていました。

そこでは、彼女達の故郷である

フィリピンの家庭料理が

たくさん持ち寄られていて

いつも私達親子は、その手作りの

美味しいフィリピン料理を頂くのを

楽しみにしていたのでした。

 

Caldereta(カルデレータ)

Adobo(アドボ)

Pancit(パンシット)

Kare-kare(カレカレ)

Cassava(キャッサバケーキ)

Lumpia(ルンピア)

他にも たくさん....

 

フィリピン料理はご飯に合う味付け

が多く、日本人の私達にもとても

美味しく感じる物が多かったです。

ご飯は、ジャスミンライスという

ジャスミン茶で匂い付けした

白い香り高いロングライス

 

娘はチョコマフィンを焼き

私は、日本の唐揚げや炒飯

春雨サラダ、巻き寿司など

簡単でオーストラリア人や

フィリピン人でも好きそうな物を

作って持って行っていました。

 

ある日、リンツの家で何かの

パーティーがあるとのことで

いつものように親子3人で

料理を持ってお邪魔しました。

子供達は子供達で遊んでいたので

私はそこに来ていた日本人の

ショートカットの若くて

明るい女性とお喋りしました。

英語は苦手ですが、

日本語は大得意ですからね♪

一対一での会話なら、何とか

英語でも少し会話出来るように

なってきていたとはいえ、

たくさんの人が各々

好き勝手に話すパーティーでは

カタコト英語での参加は、

緊張でトンチンカンな返事しか

出来なかった時期(今もですが💦)

だったので、日本人がいてくれた

それだけでウキウキしていました。

 

その女性が、「あなたもAPWC?」

と聞き慣れない言葉を口にしました。

「ごめんなさい、何それ?」

「Asian Pacific women community

(=アジア太平洋地域女性協会?)

レズビアンの集まりですよ。

ここにいる女性は皆レズビアンです。」

「えーーーー!!...えっと...

じゃ、リンツのママも?!」

「そう、皆。彼女はリーダーよ。

だから今日ここにいるあなたも

レズビアンだと思ったんです。」

「ご、ごめんなさい。私は息子が

ここの子と仲良しなだけで呼ばれて

そういう集まりとは知らなかったの。

だから...すみません、違います...」

「そーなんだ。私は今日彼女を探しに

来たから。あの赤いソファの

インドネシアの子狙ってるんです。」

「お、おお、美人さんね〜!」

「ですよね?応援して下さいね!」

とウキウキしながら、彼女のもとへ

行ってしまいました。

 

残された私は、周りの女性達を見て

「あっ」と思いました。

みんな美しいアジアの女性。

ショートカット率は高し。

そして、私がいつも助けてもらっている

リンツのママは美しい黒髪のロングヘアー

故郷からの大親友で、一緒にリンツを

育ててくれている「叔母さん」は

ショートカットでボーイッシュ

....あの2人は、親友ではなく

パートナー、それも恋人同士!

もう2年近く仲良くしていたのに

日本から来た無知な主婦は

そんな事にも気づかなかったのです。

自分の呑気さと、考えもしなかった

3人の息子を持つママ友に

レズビアンの人がいたという衝撃に

しばし、呆然としてしまいました。

 

その後、他のオーストラリア人の

仲良しのママ友に尋ねると

「2年も仲良くしてて

そんな事も気づかなかったの?

私なんか会った時に分かったわよ。

だから、あなたのことレズビアンだと

思ってたわ〜」というので

「日本では、そういう事がなくて...

....いや、多分私が知らなかった

だけかもしれないけど...

本当に気づかなかった」と答えると

「日本はまだ隠してるのね」

と遅れた国のように言われました。

日本は 確かに遅れていたのです。

今まで、日本でも それを隠して

苦しんでいた人も 私の周りにも

絶対いたはずなのに....

無知な私の為に傷ついた人も

きっと居たのだ😢.....という事実に

「井の中(日本)の蛙

大海(世界)を知らず」という

ことわざに、頭をガンと殴られ

またまた「自分の無知さ」に

気付かされた ある日の

(私にとっては)大きな大きな

出来事でありました。