息子の親友は、星の王子様? | オーストラリア子連れ冒険記

オーストラリア子連れ冒険記

シングルマザーになり損ねた脳腫瘍を患った日本人ママが、子ども二人を連れてのオーストラリア珍道中冒険譚。

数日すると、息子は同じクラスの

お友達が出来たと言いました。

口をひらけば、その子の話です。

 

「星の王子様みたいな子。

おとぎ話から出て来た王子様みたい。」

とうっとりしながら話します。

うちの息子は、キレイな物が

大好きな「オトメン」です。

(ゲイ方面ではないようですが)

キレイな人間(外見も中身も…)が

大好きなので、きっとキレイな素敵な

子なんだろうと思っていました。

 

「名前はなんていうの?」

「リンかな?皆んな、リーンって

呼んでるから。リンだと思う。」

「僕が学校のそばに住んでると言ったら

リンもすぐ近くだって。」

「あっちの茶色い建物に住んでるって」

とずーっとその子の話をするので

「じゃあ、おうち探しに行こう!」と

放課後、3人で彼が指差したという

「あっちの茶色い建物」に行って

みましたが、オーストラリアでは

建物などに個人情報や家名は書いておらず

「363」など番地が出ているだけです。

 

オーストラリアの住所は、とても簡単で

通り全てに、「〜〜 ストリート」と

通り名が名付けられています。

片側が「偶数」、その向かいが「奇数」で

全ての建物に番号が順番につけられています。

例えば「108 ビーチストリート」とかなら

お隣は「106 ビーチストリート」か

「110 ビーチストリート」となります。

お向かいは、だいたい、奇数の

「109 ビーチストリート」と推測出来ます。

そんな感じなので、ストリート名を知ってれば

割と簡単におうちを探すのは可能です。

 

息子は、窓の下に行って「リーン」と

呼びかけます。裏に回って「リーン」

表に行っては「リーン!」

あまりに必死なので、てっきりそこだと

思い込み、3人で「リーン!」と

叫びまわりました。…もちろん

会えませんでしたが…。

でも、息子をこんなに夢中にさせる

「リンくん」はきっと素敵な男の子なんだと

とっても嬉しくなりました。

 

ある日、毎日放課後に遊んでいるビーチで

夕焼けになるまで遊んでいたら

息子が「リン!だ!!」と駆け出しました。

そして、向こうの男の子も「〇〇〜!」と

息子の名前を呼んで飛んで来ました。

二人は大喜びで子犬のようにはしゃいで

おります。私は散歩中のお母さんらしき

長い黒髪の女性に「ハーイ」とニコニコ

話しかけられました。彼女はアジア人の

ようでしたが、息子さんはどうみても

白人のオーストラリア人でした。

 

「あなたが、〇〇のお母さん?」

「はい!ワオ、あなたが、リンのお母さん?」

「ナイストゥミーチュー!」

と始まり、子供達がビーチの砂浜で

子犬のように駆け回って遊ぶ波打ち際を

二人で散歩しながら話しました。

彼女はとても思慮深く丁寧で

英語の出来ない私に合わせて

ゆっくり丁寧な英語で話してくれて

初めから、何故か彼女の言うことは

全て理解出来ました。

 

「うちの子が、うちに帰ってくると

リンの話ばっかりで会いたいと思ってたの。

それでこないだなんて、おうちを

探しに行ったのよ。あの辺の

茶色の建物でしょ?」というと

「うちの子もずーっと日本人の

〇〇という子の話ばっかりしてたのよ!

うちは〇〇ストリートでもっと上の方よ。

私は離婚してシングルマザーで

フルタイムでシティで働いてるから

送り迎えは、おばあちゃんなのよ。

だから今まで会わなかったのね。」

「茶色い建物の下の窓から、息子は

”リーン””リーン”と探し歩いたのよ。」

と言うと、大笑いして、

「うちの息子は「リンツ」というのよ。

リンではないけど、”リン”と聞こえるわね。

うちはずーっと上だけど、毎日私は

ウォーキングしているの!

リンツは一番下で、Y6とY4に

2人お兄ちゃんがいるのよ。」

と話してくれました。

 

お互い、息子から熱い想いを

聞かされていたこともあり、

会えたのがとても嬉しく話も盛り上がり

「またぜひ遊びに来てね!」と

挨拶をして真っ暗になった頃、

バイバーイとお別れしました。

 

これが息子の生涯の親友と

お母さんとの初めての出会いでした。

それからは、毎日のようにビーチで

リンツとそのお兄ちゃん2人と娘の

5人でフットボールをしたり、

穴を掘ったり散歩をしたりして、

家族のようになっていくのでした…。