ヤープ・ヴァン・ズヴェーデン | TRX工房

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前半のモーツァルトでは、藤田真央の演奏がとても自然に感じられました。技巧を強く押し出すというより、オーケストラと呼吸を合わせながら曲全体の雰囲気を大切にしているように聴こえ、音色も柔らかく、どこか穏やかな印象がありました。演奏からは本人の落ち着いた人柄まで伝わってくる気がし、アンコールの《マイスタージンガー》も、派手に盛り上げるというよりコンサート全体の空気を壊さない選曲だったように思います。

後半の《Symphony No. 7 in E major》では、とにかく響きの厚みが印象に残りました。特に弦楽器の響きが豊かで、オルガンのように空間を満たしていく感覚があり、一方で金管は強奏でも過度に突出せず、全体の響きの中に自然に収まっていたように感じられました。

また、チェロを右側に置いた対向配置や、後方に並んだ8本のコントラバスの効果も大きかったのか、低音が非常に安定して聴こえました。リズムは比較的引き締まっていて、テンポを大きく揺らすよりも構造をしっかり積み上げていくタイプの演奏に感じられ、そのため大きな音になっても混濁せず、最後まで緊張感が保たれていた印象があります。

さらに、Suntory Hall の響きもこの演奏の印象を強めていたように思います。残響は豊かでありながら細部も比較的よく見えるホールなので、弦の層や低音の支え、左右の掛け合いなどが分かりやすく、ブルックナーの構造感がより明確に感じられました。フランスのオーケストラという先入観とは少し異なる、重厚で引き締まったブルックナーだったことも印象に残りました。