もう街はクリスマス一色だ。ドイツでもそのようだ。
しかし家族と一緒にクリスマスを祝えない人たちも居る。
ドイツでもアフガンの戦場に出ている人も居るだろう。アメリカでは必ずTV局が中継し、いろんな形でこの人たちを忘れないような仕組みをつくっている。ドイツでもそうだと思う。
FrankfurtとPotsdam両チームのメンバーは、クリスマスの街を抜けて自分達の戦場に立つ。しかし中には戦場にも立てない負傷兵という戦士もいる。Potsdamの様子がおかしい、そうだセンターフォワードのAnonmaが居ない、恐らく前の試合のDuisbrug戦で負傷したのだろう。Frankfurtでは熊谷選手がベンチスタート、主力のBajramajも仏頂面で同じベンチ。
Frankfurtは、以前よりももっと驚くべきフォーメーションと戦術ーしかし理屈には合っている、をとってきた。Landstromを1トップにして4-2-3-1、そして攻撃型MF(AMF)の中央に何と通常SBのParcivalをもってきた。そして1トップを前に置いただけで全員自陣、つまりそこから全員走るぞ、という意味なのだ。
今回の勝負はまさにこの前の試合の正反対、すなわち前半10分で今度はFrankfurtが勝負を決めてしまった。
Frankfurtがボールを確保すると自陣深くから一斉にスタート、これにはPotsdamは混乱し、あっという間にMFが突破されてHuthが得意の細かいドリブルで侵入してファールで止められる。
そしてBehringerのFKに逆にファーにまわりこんだCBのLewandowskiがヘッドで4分、あっけなくFrankfurt先制のゴール
Frankfurtにこれだけ深く守られてはPotsdamは得意の裏への浮きパスも出せない。 Kerschowskiが左サイドを突進するがあとがなく、とりあえずシュート。
Frankfurtは、フィールドを広く使う。左サイドに人を集めて攻撃してPotsdamをひきつけておいて、サイドチェンジ。そしてKriegerが一気に前線のLandstromに地を這うロングパス、そしてシュートは弾かれるが、その位置にもうKriegerが上がってクロス、にHuthが左サイドからヘッドで合わせてゴール10分で2-0
反撃しなければいけないはずのPotsdamに全く怖さが感じられない。深く引いたFrankfurtを囲んでパスで崩そうとするが誰もひっかからない、永里選手は1段下がってコントロールしようとするもダメ。ようやくわかってきた、Anonma以外は誰も怖くないのだと。
そしてボールをとられればDFから1トップのLandstromへロングハイクロス。それを悠々ととって走る彼女、どうやら疲れはとれたようだ、そして一斉にFrankfurtが出ていって、ボールをとられれば猛スピードで引き返す、この繰り返し。
22分、ようやくPotsdam、右サイドからMittagのシュートらしいシュート。
そのあと、申し訳ないが日本人としてはちょっと嬉しい異変が起こる。Behringerが腰のあたりの痛みを訴え、23分熊谷選手がボランチとして交代してピッチにイン。
28分、同じようにLandstromにボールがわたり倒されてバイタルエリア手前からFK、Smisekの非常にうまいボールにGKかろうじてパンチングするが、それに一斉にFrankfrutの選手がとびこみ、結局Bartusiakがゴール3-0
もうPotsdamは混乱状態、Frankfurtがどんどん上がるが全く組織だって止められない状態、昨日も指摘した攻撃のプレッシャーがないときのPotsdamの弱点が完全に露出してしまう。
33分CKからKriegerのシュート41分Huthのシュート45分Smisekがカウンター
Potsdamは31分に永里選手が切り込み、43分には永里からMittagはオフサイド
前半終了3-0
後半開始もPotsdamは全く手が打てない、何とか打開しようと走り回る永里選手とMittagだが、連携はとれない。Anonmaがいないとこうまで変わるものか。
47分Huthのシュート、51分熊谷選手も思い切ってミドルを打つも大きくバーの上。
そして54分、決定的な点が入る。Huthから戻したパスをSmisekが右サイドに低いループの美しいスルーパス、そこに走り込んだGarefrekesがDFと競り合いながらちょうどPKエリアから鋭いシュートを決め4-0
Potsdamも56分、Mittagが鋭いシュートでAngererがパンチでかわすがそのあと誰も来ていないのでセーブ。
Potsdamは中盤選手が居ないに等しい状態。Frankfurtのドリブルが何もなくどんどん通ってしまう。81分、Huthが何の障害もなくPKエリア手前までもちこみ、Landstoromにパス、ゴール5-0こんなワンサイドゲームになると誰が予想しただろうか
Potsdamは88分Odebrecht が攻め疲れたFrankfurtの隙をついてループで1点取るのがせいっぱい、このときだけはPotsdamの太鼓が高らかに打った。
ロスタイムには熊谷選手思い切った強烈なミドルを打ったが惜しくもクロスバーに阻まれた。
かくして戦闘はFrankfurtの一方的な勝利に終わった。これでPotsdamがDFB杯を今期手に入れることはできなくなった。
選手たちはがっくりきただろうか
いや、試合が終わると熊谷選手は永里選手を見つけてもうお友達に戻って2人共笑顔でかけよっていった
スタジアムの外は華やかなクリスマスマルクトだ。これからみんなめいめい繰り出していくに違いない。
なでしこの佐々木監督が「女性は精も根も使い果てることはない」と言ったがその通りだ、おしゃべりの元気は健在だ。そう、女性の戦いは何よりも生きるための戦いなのだから。
いつまでも仏頂面をして留まっていたのはPotsdam Bernd Schröder監督だけだった。
今日のエンディングは坂本 龍一の『戦場のメリークリスマス』のテーマ
優しく悲しい音楽
クリスマスはもうすぐやってくる、試合が終ったスタジアムに、幸せな家庭に、ほっと一息ついたサッカー選手にも、悩み苦しむ人にも、日本にもドイツにも、アフガンの戦場にも。
DFB-Pokal結果
Hamburger SV ー1. FC Lok. Leipzig 3-2 230人
1. FFC Frankfurt ーTurbine Potsdam 5-1 1830人
SC 07 Bad NeuenahrーFC Bayern München 5-6 延長 407人
FSV Gütersloh 2009ーFCR 2001 Duisburg 0-7 656人
※安藤選手 Poppがハットトリック達成
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