人間とは何と不便な生き物なのだろうか?
算式で言えば1+1=2 また+1=3・・・といくはずなのだ。
しかし人間の場合途中で止まってしまう。はたから見ればあと1を足すだけなのに、と思うがそれができない。どうやら限界を突破する場合には、一旦自分の今までの殻を粉々に打ち破らなければならないらしい。こうして人はスランプというものに陥る。
そういう点ではドイツは箴言の宝庫です。
「高みに昇るにはまず深く沈まなければならない」(ニーチェ)
そしてフランクフルトで生まれたこのかたも言っておられます
「人間は努力する限り悩むものなのだ」(ゲーテ)
さてFrankfurt Vs Potsdam 決戦
あっさりと0-2でPotsdam勝利です。
検証しましょう。
Frankfurtのフォーメーションは4-4-2でした。確かに悪くはない。FWを増やしたいという監督の思いもわかります。しかしこのシステムにはちょっとした欠点があり、老練なPotsdam監督に一気にそこを突かれることになります。その欠点の1つは左AMFのHuthです。確かに足はうまく器用、ドリブルも上手い。しかしいかんせんフィジカルが小さい。普通の相手ならいいのですが、相手はフィジカルに優れたPotsdamです。少々心もとなかった。
そこでPotsdamは右サイドに序盤大量の人員をかけて攻撃をします。これは意外。Potsdamは今まであまりシステムを崩さないのですが、序盤一気に崩してきました。しかしさすがのFrankfurt、動じずもちこたえてかえって優勢になったりします。
しかし7分、まったくへんてつもないプレーから試合は大きく動きます。
7分32秒、右サイドに通るボールを熊谷選手が外へカット。そしてそこからロングスローがゴール右サイドに来るのですが、熊谷選手がバウンドを誤り、PotsdamのHanebeckに後ろをとられて危険なところから、ゴール前にマイナスのパスそしてCramerがあっけなくゴールとなりました。敵味方みんなあっけにとられるほどのイージー、まさかこれほど簡単に決まるとは
バウンドしたボールが熊谷選手の頭を越して、方向を見失い、おまけに敵のブロックも忘れてしまいました。ほんの一瞬ですが命とりになりました。
このプレイをきっかけにPstsdamは勢いづき、Frankfurtは混乱します。CBというポジションの重要さがまざまざとわかります。まあそのCBを若干21歳にまかせているというのも無茶な話なのですが。
そして12分30秒、Potsdamが右サイド、へッドで前に落としたボールをMittagがうまく浮かしてそこへAnonmaが走りこんで、サイドから強烈なシュートで2点目
その後は、Potsdamが攻め込みますがAngererがなんとかセーブ。やがてPotsdamも走れなくなり、Frankfurtが攻めにまわります。しかしPotsdamの選手が猟犬のごとく追いまわし、チャンスを迎えても、質のよいパスを出させず、またDFが身体を張って止めます。
Potsdamは上半身の使い方がうまいというか、トレーニングで発達させているというか、皆肩の筋肉がすごくついています。それでまずショルダーチャージをして、相手の安定を狂わせてしまいます。役割分担もシンプル。MFはボールを奪って前線へパスを出す、DFは止める。あとは点を入れられないことを中心にMFの上げ下げだけでコントロール。FWを走らせるだけでDFは上がりませんからクリティカルな危険はなくなります。どれだけFrankfurtがチャンスを迎えようが、シュートチャンスには大勢の選手がゴール前に控えていますから、なかなかゴールを決められない。そうこうしているうちに時間が経過してゲームセットになります。まさに前半7分のワンプレイ、ほんの一瞬がゲームを左右しました。
熊谷選手もそれ以後はミスなし、Anonmaもきちんと押さえましたし、永里選手にも仕事をさせませんでした。しかし1プレイを失うとどうにもならないのがCBなのです。
Potsdamの3-4-3が実に効率的に働くのに対してFrankfurtの4-4-2はあまり効率的に働きませんでした。(だいたい4-4-2が効率的に働いたときってBayern戦しかなかったような)
メリットであるはずでそれを意識して最強4バックを出したはずなのですが、そのパスを出すやはりフィジカル差でWeberが押さえこまれて質のいいパスがKriegerに出せなかったこれがもう1つの欠点です。かえって左SBのThunebroのほうが相手のあがった裏をついて仕事ができていました。Weberは守備面でもフィジカル差であまり決定的な仕事になっていませんでした。そして最悪の形、FWのBajramajが中盤の底まで降りてきて、ボールを受けることになる、完全な戦略ミスであります。
そもそもメンバーからして、FrankfrutはFWで本当に一人で仕事できるタイプのチームではなくなってきているのです。以前指摘したように中盤、SBがあがり、波状攻撃をかけていく現代的な美しいサッカースタイルのチームなのです。それなら中盤で競り勝って、穴に次々とあがっていける4-2-3-1が攻防一体のフォーメーションではないかと思うのですが。
Kahlert監督完敗です
「Potsdam勝利を勝ち取った、なぜならすべてのPotsdam選手がすべてのボールを欲したからだ。それは我々に1つの方法を示し、他方はなかっただろう。我々はPotsdamにすべての戦闘で負けた、今日のパフォーマンスで見せた通り。セッティングはうまく働かなかった。Potsdamは最初の15分少しでできうる限りの美しいfussballを見せた」
Saskia Bartusiak
「今日はひどく悪かったわ。1点目のミスはするべきではなく、2点目で首を折られた」
Mike Weber
「私たちはお互いに連携しているんであって、バラバラのプレーヤーとしているんではないのに」
Dietrichマネージャー
「女子サッカーはこの試合ですばらしい姿を見せた」
Potsdam Bernd Schroeder監督
「人々は我々の勝利を見た。我々のほうが良いチームだった、なぜならハートとパッションを持ってゲームに入ったからだ。我々はBajramaj やMarozsánのようなテクニシャンを持ってはいない、しかしいつも100%以上の仕事をする。若いチームはボーダーを越える用意をしている。今日は明確に優れていた!」
Anja Mittag
「これで優勝が決まったわけではない。だけどFrankfurtは明確に困難になったわね。早くから決めれたのは本当に幸運だった。」
ドイツ代表 Silvia Neid監督
「とても速いゲーム、特に前半。Potsdamが完全に支配していた。それは個のプレーヤーが優れて、速く、前へ動いていた。強固で効率的なゲームがあったわ」
これでFrankfurt3連敗。PSG戦1legまであれだけ美しかったfussballが今は見る陰もなく。日本代表佐々木監督の言葉が思い起こされます、男子サッカーは監督の意志通りに行くが女子は選手間のコミュニケーションなのだと。まさに両チームの差はそこにあったのではないかと推測します。
さて、フィナーレですが。
確かに問題はありますが、その中でも個人として仕事をするのがプロフットボーラーです。フットボーラーの成長のためにはもう一度最初から組み替え直す必要があるのかもしれません。
タイトルはご存知の通り、絢香の歌。
この曲をフィギュアスケーターの安藤 美姫がスランプにあったときに心の支えにしていたのは有名な話です。
しかしこのタイトルはなかなか興味深い。その信じているものの名前が入っていないのです。
人間は「他者」に向かって開かれていると言ったのはエマニュエル・レヴィナス、そしてデリダですが、その他者とは無記名の他者のことです。アスリートの道はさらに貪欲であり、他者の中の他者をを求めて皆道を歩き・・・そしてワールドカップで澤選手はサッカーの神に出会った。
「我に触れるな(ノリ・メ・タンゲレ)」(ヨハネによる福音書)
Bundesliga第8節結果
FCR 2001 Duisburg ーFC Bayern München 3-1 1320人
Hamburger SVーFF USV Jena 1-1 165人
1. FFC Frankfurt ーTurbine Potsdam 0-2 5200人
SC Freiburg ーVfL Wolfsburg 0-3 720人
Bayer 04 LeverkusenーEssen-Schönebeck 0-2 274人
1. FC Lok Leipzig ーSC 07 Bad Neuenahr 0-2 491人
順位表
Duisbrug2位 Frankfurt3位後退
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