音楽が心に与える影響1 | 立命館大学ビジネススクール教授 高橋慶治のブログ

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立命館大学ビジネススクール教授、合同会社人間開発研究所代表社員、元臨床心理士、元JOC強化スタッフ(メンタルトレーニング、コーチング)の高橋慶治が、マインドフルネス、メンタルタフネス、ストレスマネジメント、コミュニケーション&人間関係など色々書いています。

先日、パーソナリティーをしているラジオの収録(FM東京スターラジオ)があり、プロデューサーのShuさんとの対談で音楽の心に与える影響の話になったので、今回は音楽の話を書きます。

 

音楽を聴くと楽しい気持ちになったり、すっきりした清々しい気分になったりします。古来より音楽は魂や心を癒すものとして様々な文化圏で聴かれてきました。 音楽を聴いて、楽しい気持ちになったり、スッキリした経験はだれにでもあることでしょう。

 

音楽には不思議な力が秘められているのです。音楽療法とは、この力を最大限に利用して心や身体を健康に活用することです。もちろん、音楽を聴くだけでなく、楽器を演奏したり歌をうたうことも、これに含まれます。医療としての音楽療法も最近、さまざまな医療現場で取り入れられてきており、今後注目すべき治療法のひとつでしょう。

 

音楽が癒しに使われた歴史は、かなり古い。古代エジプでは、音楽は「魂の薬」と言われ心を癒すものとして使われていました。、およそ3000年前、ユダヤ王サウルのうつ病を羊飼いの若者ダビデが奏でるハープの調べで治したと言われています。

 

アリストテレスは、音楽にはカタルシス効果がある、と述べています。中世では基本的にはキリスト教が病気に対する考え方も強く支配していた時代ですが、ルネッサンス期へと移るにつれて、音楽と医療と美術(画家たちによる解剖図など)の総合的な活動が行われるようになってきました。例えば、坐骨神経痛の患者の患部の上でフルートを演奏して治癒した例などもあります。

 

近代では、音楽療法の主役はアメリカへと移ります。当時の大統領ジョージ・ワシントンが音楽療法に非常に興味を持ち、軍隊などにも使われだした。

現代では次第に医療において補助的療法だと認められてきています。例えば、精神疾患をもつ患者のレクリエーションとして、楽器を演奏することで発声訓練をしたり、うつ病・精神不安定な状態の患者の治療に積極的に取り入れています。また、重度心身障害児の精神発達のための治療方法としても取り入れられていたりします。

 

一般では、1980年代ではピアノソロ系の音楽やシンセサイザー系の音楽が登場し、環境音楽や精神世界系の音楽が登場し、1990年代のはじめから、新しいスタイルの幻想的なサウンドが話題を呼び、「ヒーリング音楽が定着してきました。

 

20世紀に入ってからは、科学的な研究が進み、音楽療法は心身ともに健康にするためのものだとはっきりしてきた。そして、1995年には、全日本音楽療法連盟が設立され、音楽療法士の資格認定が行われ、音楽療法士が誕生した。この音楽療法士は、現在、心理的障害、身体的障害、発達障害、老化現象にもとづく日常生活の困難などを治療するためのさまざまな場面で活躍しています。(続く)