弁証法的行動療法の考え1 | 立命館大学ビジネススクール教授 高橋慶治のブログ

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立命館大学ビジネススクール教授、合同会社人間開発研究所代表社員、元臨床心理士、元JOC強化スタッフ(メンタルトレーニング、コーチング)の高橋慶治が、マインドフルネス、メンタルタフネス、ストレスマネジメント、コミュニケーション&人間関係など色々書いています。

弁証法的行動療法(dialectical behavior therapy, DBT)は、その名称が示すように他の認知行動療法と異なった弁証法的な考えをベースとしています。

 

ヘーゲルによって定式化された弁証法とは次の三段階のプロセスとして一般的に説明されます。

 

1.テーゼ(正 命題)が提示される

2.1と矛盾するアンチテーゼ(反  反命題)が提示される

3.1と2の矛盾を解決するジンテーゼ(合 統合案)が提示される

 

 

自身を変化させることに重きを置いた認知行動療法に比べ、弁証法的行動療法では「変化させること(Directive)」「変化させず受容すること(Non-directive)」のバランスや統合が重要であるとする。

 

受容に重きを置いた考えは、東洋の瞑想法(主に禅など)の思想からヒントを得たという。また治療者と患者の関係、患者同士の関係の重要性を強調する。

 

弁証法的行動療法では、その基本的な考えの中でWise Mind (賢明な心)を一つのゴールと考えます。

 

賢明な心とは各人が持つ内なる英知です。内なる英知に達することことが「賢明な心」になることです。内なる英知には、価値ある結果を手に入れるためにスキルフルな手段を特定し、活用する能力が含まれます。

 

また、目下の状況に対する知識や経験、常識にアクセスしてそれらを活用することでもあります。内なる英知に達してそれらを使うことが容易にできる人もいますが、それが難しい人もいます。

 

全員に共通するのは英知という能力を有しているという点である。賢明な心は、今はそれを達することができなくとも、必ず全員に備わっていると考えます。

 

次回に続きます。