全ての出来事、出会いには意味がある | 働きがいコンサルタント 仲井圭二の日記

働きがいコンサルタント 仲井圭二の日記

働くことを楽しくすれば、生活の質は確実に向上し、幸せな人生が実現できます。長年企業で働き、キャリアコンサルタント、コーチ、講師、整理収納アドバイザー、著者として活動している私がお手伝いします。

 働き方に関する本を書いています(ごきげんビジネス出版からの電子書籍+オンデマンド印刷)。

 

  2021年3月に出版予定です。

 

 ここでは、その内容を順次ご紹介して行きます。

 

●全ての出来事、出会いには意味がある

 私達が忘れがちなことに、現実をみてそれを認めるということがあります。自分が考えているように物事が進めば問題ないのですが、現実はそれとはほど遠く、自分が望まないことが起きたり、予期しないことに遭遇したりの連続です。その際、こんなことが起こるはずがない、何かの間違いだと考えたくなる気持ちは分かります。しかし、実際に起こっていること、それは紛れもない事実で、誰も否定しようがないのです。

 

 それを認めようとしないと、正しいのは自分で、周囲の人が間違っている、世の中が間違っているという気持ちになり、心はどんどん頑なになって行きます。世の中との関わりが薄れ、自分の殻に籠ってしまいます。決して健康的な生き方ではありません。

 

 先ずは、現実を認める。他人の言動や環境を認めるのです。ここで、認めるというのは、賛成するという意味ではありません。他人の言動が、私達の基準に照らしておかしいと思えば、その気持ちは大切にすべきです。そのような気持ちを持ちながらも、このようなことが起こったのだな、あの人はあんな風に考えているのだなと、出来事や他人の言動を評価しないで、事実だけを認めるのです。そうすれば、その現実から色々な教訓が得られ、私達の今後の生き方に関する知恵につながって行くのです。

 

 キャリアの理論家であるクランボルツ先生は、「計画された偶発性理論」を提唱しています。少しわかりにくい名前の理論ですが、渡辺三枝子編『新版 キャリアの心理学 第2版』(ナカニシヤ出版)を参考にその内容を紹介します。

 

 将来がよく分からないということは不安の原因になるため、好ましくないものと考えることも多いものです。しかし、クランボルツ先生はむしろそれを望ましいものと捉えています。人が想定外の出来事に遭遇し、それがその人のキャリアに影響を及ぼすのは普通のことで、むしろ望ましいことであると彼は言っています。それは、その人が、思いがけない未来を手に入れることにつながるかも知れないからです。想定外の出来事が起こった際には、オープンマインドな状態でそれを迎え、新しい活動を始めたり、古い信念に疑問を持ったりする良い機会なのです。

 

 J・D・クランボルツ S・レヴィン『その幸運は偶然ではないんです』(ダイヤモンド社)の中では、クランボルツ先生は、「キャリアに関する意思決定をしないで欲しい」、「将来何になるか決める必要はない」とまで言っています。その時々で目標を立てても良いが、目標はその人の成長、学習、環境の変化などに伴なって常に変わるからです。それよりも、想定外のことが起こった時、その出来事をいつでも利用できるように、常に注意を怠らないでいようと言っています。

 

 レオナルド・ダ・ビンチは、「幸運の女神には前髪しかない」と言ったと言われていますが、何事が起ころうとも、それをつかまえる準備をしている者だけが幸運をつかむのだという意味で、クランボルツ先生の考えと同じです。起こることは偶然かも知れませんが、それをうまくつかまえることができるというのは、決して偶然ではないのです。

 

 このようにいざというときに幸運をつかまえるためには、行動と挑戦が必要です。一方で、行動と挑戦を続けていると、間違えることも多くなります。学校教育でも職場でも、間違えることを良くないことと考える傾向があります。しかし、クランボルツ先生は、間違えてはいけないと考えて何もしないよりは、どんどん間違えて学んで欲しいと言っています。キャリアコンサルタントの養成講座の中で、クランボルツ先生が語る動画を見る機会がありました。私達に、「間違いは沢山起こるでしょう。しかし、私達は挑戦し続けないといけないのです」としみじみとした感じで語り掛けてくださいました。クランボルツ先生はもう故人で、随分前に録画されたものでしたが、まさに今私達と向かい合ってお話してくださっているかのような優しさが伝わって来て、思わず涙を流してしまったことを良く覚えています。