燃える集団をつくる専門家 川添香です。
昨日の「女性だから意識が低いのか」に引き続きの話です。
今から18年前、専業主婦だった私は一念発起して国家資格である社会保険労務士に挑戦しました。
たいていは2,3回挑戦して合格か、何年も勉強しても合格しないという人もいる資格です。
私は、まったく触れたことのない知識を、一年間勉強法に工夫を重ねながら、子育てと同時並行で身につけました。
そして、一回の試験で合格。
その時の喜びは今でも忘れることができません。
ところが、どうでしょう。
そのうち、私の合格は運がよかっただけ、他の人も同様に頑張っていたし…、と思いだしたのです。
その傾向は、その後の仕事でも出てきました。
結果が出たら、それは私の実力なのではなく、運やご縁のおかげなのだ…
いつまでたっても「半人前の私」の感覚はぬぐえません。
こういった、心理的な傾向を「インポスター・シンドローム」というのだそうです。
この言葉を広く世の中に知らしめたのは、フェイスブックのCOOシェリル・サンドバーグです。
十分な実力がありながら理由もなく自信をもてずに悩む症状と彼女は著書の中で言っています。
本の中では、著名な女性の例をあげ、こんな風に書いています。
女優としても脚本家としても大成功しているティナ・フェイでさえ、この症状にかかったことがある。フェイはイギリスの新聞の取材に応じて、「インポスター・シンドロームが重症になると、
『私ってすごい』と『私なんてまるでだめ、みんなをだましているペテン師に過ぎない』という二つの気分のあいだを激しくいったりきたりするようになる。この症状に陥ったら、『私つてすごい』といううぬぼれ気分にうまく乗っかって、それを楽しむことが大切ね。そうやって、ペテン師気分に落ち込まないよう、うまくかわすこと。そそもそもほとんどの人は何らかの形で他人をだましているのだから、深刻に悩まないほうがいいわ」
インポスターとはペテン師、詐欺師の意味だそうです。
そしてまた、女性とインポスターシンドロームについてこう書いています。
女性の場合、この症状は男性より重くなりやすい。もともと日頃から自分を過小評価する癖がついているからだ。さまざまな職業について実氏された多数の調査の結果、女性は自分の仕事の成果を実際より低く見積もり傾向があるのに対し、男性は高く見積もる意向があることが判明している。
この例については、TEDのスピーチで、ある試験に対し念入りに準備を重ねた女性の友人と自分、そして適当な準備しかしていなかった自分の弟と同じ試験を受けたときのエピソードを語っているのでぜひ見て頂きたいと思います。
さて、今、こんな風に書いている自分についてですが、やはり、若干ではありますけれど、
この半人前の私がこんな偉そうに書いていいのかという気持ちと向き合いながら書いています(笑)
この症状をどう和らげて、レベルの高い仕事をいかに成し遂げていくかが、現代の多くの女性の課題ではないでしょうか。
同時に、このようにインポスター・シンドロームの傾向を持つ能力を持った女性たちをどう引き上げていくのかが、現代の会社や指導者(上司)の課題なのではないでしょうか。
女性が活躍する社会へ期待と願いを込めて。