2024 皐月賞(ステップレースの検証:その5 ホープフルS) | 競馬解読教室

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 過去11年、ホープフルSから皐月賞に直行した馬はレイデオロ、サートゥルナーリア、コントレイル、キラーアビリティ、ジャスティンパレスの5頭で、結果は{2・0・0・3}。勝率、連対率、複勝率ともに40%ならマズマズだろう。最近の有力馬は消耗を避けるためにGIに直行するケースが増えている。実際にサートゥルナーリアとコントレイルはホープフルS以来の休み明けを克服して皐月賞を優勝しており、今後、このホープフルS→皐月賞というローテーションをとる有力馬は増えてくると思われる。今年は牝馬として初のホープフルS優勝を果たしたレガレイラがこのローテーションで皐月賞に挑戦する。シンエンペラーを倒した牝馬は、果たして牡馬クラシックも勝てるのか!?興味は尽きない。なお、今年、ホープフルS組は6頭が皐月賞にエントリーしているが、、ホープフルS②着のシンエンペラーが次走弥生賞②着、③着のサンライズジパングが次走若駒S①着、⑤着のミスタージーティーがその後若葉Sを①着、⑥着シリウスコルトが次走弥生賞③着していることを考えても、今年のホープフルSのレースレベルが高かったことが分かる。予想上、この組には注意が必要だろう。

 

 昨年のホープフルSの勝ち時計2.00.2(35.4=48.9=35.9:落差ー0.5秒)は、GI昇格後の2017~2022年に良馬場で行われたホープフルSのデフォルトの2.01.5(36.5=48.8=36.2:落差+0.3秒)に比べて、テンが1.1秒速く、中盤が0.1秒遅く、上りが0.3秒速く、勝ち時計が1.3秒も速かった。まず、去年のホープフルSは、テンが非常に速く、逃げ先行馬には厳しい流れ=差し馬向きの展開であったことを確認しておこう。レガレイラの勝ちっぷりは鮮やかだったが、レガレイラには展開も味方したのは事実。その事実によってレガレイラの偉業が色あせることは微塵もないが、「牝馬によるホープフルS制覇」という偉業と、あの鮮やかな勝ちっぷりを鵜呑みにするのは危険だろう。

 レースでは4角で7頭がヨコに大きく広がるヨコ長→タテ長の瞬発力勝負。勝ったレガレイラは、ラストの末脚もさることながら、3~4角でポジションを上げられるという機動力が魅力。この馬は末脚一手の追い込み馬ではなく、中山向きの差し馬だということを、指摘しておきたい。ズブズブの展開でのラスト1F11.5はこの馬が記録した数字。なかなか切れる末脚を持つ馬だ。一方、ラップも馬群も差し馬に有利な競馬で、1列目からしっかり伸びて(ソラを使っても)②着したシンエンペラーの競馬っぷりも誉めたいところ。最後は勝ち馬が来るともう一度伸びており、③着馬を突き放していたのは地力の証明と見る。競馬っぷりを見た限り、このレースではこの上位2頭の力が抜けている印象を得た。

 

 次に昨年のホープフルSの能力レベルを古馬2勝級と比較してみよう。ホープフルSの勝ち時計2.00.2(35.4=48.9=35.9:落差ー0.5秒)は、2012~2021年の第5回中山芝2000mで行われた古馬2勝クラスのデフォルトの2.01.4(36.6=49.2=35.6:落差+1.0秒)と比べて、テンが1.2秒速く、中盤が0.3秒速く、上りが0.3秒遅く、勝ち時計が1.2秒も速かった。この勝ち時計は立派な数字。時計面からみても、やはり去年のホープフルSは高レベルだったことが分かる。また、レースの流れを考えると、やはり先行馬に不利な厳しい流れの中、先行して②着に踏ん張ったシンエンペラーの強さが目立つ。レガレイラに負け、続く弥生賞でもコスモキュランダに負けて人気は下降気味だが、レース内容自体は評価できるという点を強調しておきたい。