古語の“祈る”という語には、
“神仏を祈る”
という意味のみがある。
たとえばお経には言葉としての意味もあるが、
ただそれ自体が“祈り”として、唱えることそれ自体に意味をみるものである。
“祈る” という語に、
神仏に~を祈る(願う) という意味が付随してきたのは、
すこし後の時代のことである。
祈ることから願う意味を外すことはできないかもしれないが、
もっと純粋に、その行為自体を至上のものとすることはできないものか。
書いた後に何願うわけでもなく、
書いた文字に何思うわけでもなく、
ただひとつの、祈りとして、
ただ書のための書として、
描くことをしたい。