愛読してきた本がある。
2011年夏、自作の公募展選外に凹んだまま、
上野の本屋で手に取った本。
この本に、このときどれほど勇気づけられ、励まされたか。
珠玉のような言葉が綿々とつづられていた。
アメリカで80年に渡り芸術家の間で愛読されてきた本だった。
デイヴィット・リンチ、キース・へリング、バスキア、アンディ・ウォーホルらも
手にしたと言われる。
書家にとって書に関する書籍は古典以外に必要ない。
書に関しないものの方が、その時の自分に、今の自分に、必要だった。
自分は絵が好きで、画家になる夢から転じて書をはじめた。
今も、いつかは画家にと、本気で思っている。
私は拒絶されることを恐れない。
展覧会のためでもなければ、審査員のためでもない。
誰のためでもない。
ただ自分が見、知り、感じたことのみを、
今は書を介し託していきたい。