「拳」  第八回栃木独立展出品作 | 宇都宮の書道教室【啓桜書道教室】

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「拳」    360㎝×480㎝





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「こぶし」


もっとも原始的な「武器」とされ、 突きあげた拳は革命の意志を表す。





この 「拳」 を書いたのは去年八月。





真夏の蒸し熱いなか、作品にならず たくさんのゴミを作っていた。





3.6m×4.8m  それから、公募展最大になる 3.6m×7.2m





下準備からはじまり、2枚書くにも1日がかり。





連続しない2日間、大作計6枚を書き、


どれも ゴミに終わっていた。






体の大きさをゆうに超える大作。





それができなかった時ほど、 自分の才能のなさ、努力の足りなさ、


見識、認識の甘さを突き付けられ、 「こんなことはやめたい」


と思わされることはない。





残りのチャンス1日を明日にし、 思っていたことは、








「カッコつけすぎ。 作ろうとしすぎ」





作品には、多少の演出も必要と思っている。


計算ということ。





もちろん、墨の色は計算するし、素材(題材)や


構成も練る。


表具後にどうなって、 どんな場所に展示するのか。


どう見えるか。 どう見せるか。








しかし そんなことより





「もっと 自分に迫らなければ」





自分の表現であるはずの 作品。


それが 「借り物」 であってはおかしい。





自分の目が曇っていたのだ。





もっと 自分なりのリアリティに 迫れないのか。





そもそも、自分の癖。


「うまさ」 とはほど遠い、


いつものあの 紙いっぱいの表現。





それはどうしても 変わらない。





目や、筋力、体の大きさ、脳みそからくる、癖。





それを 殺そうとしていた。





グッ と対象に迫って、 バンっと


瞬間に湧いて出たような作品。





それでいいのだ。





写真家・土門拳の言葉が


「写したのではなく写ったのだ。計算を踏み外した時にだけ・・・」





頭をよぎり、 ふっきれた。





写真家・土門拳の 「拳」





おのれの 「こぶし」





自分のど真ん中 にぶち込みさえすればいい。








これからまた。





「こぶし」を固めて・・・