映画「美しき諍い女」物語編(7)
映画「美しき諍い女」物語編(6)
車が停まる音がして,すぐ口笛の合図があった。
「眠れた?」 「ああ,すぐ降りる。」 「構わんよ,ジュースでも飲んでる。マリアンヌは?」 「元気よ。」

ポルビュス,バルタザール・ポルビュス。数ヶ月前,二人の人生を変えた男だ。
「早すぎたかな,ジュネーブから近いね。」
「飛ばしたんだろ?」 「君たち二人に早く会いたくてね。やあ,彼女が来た。輝いているね。」
ポルビュスは化学者だ。時には化学式が大金に変ると,人は収集家となり,絵画や女を漁った...(注1)

-彼の場合は絵画,ニコラは画家なのだ。
「車で行くの?」 「大げさだな。すぐ隣だよ。」
「モンペリエから車で?」「いやタクシーしかない。」
「画いているか?」 「道具がないので,自宅でしか画かない。」 「彼が残念がるぞ。君の絵が好きで,彼のほうでも君に会いたがっている。」 「まさか。」
「怒ってる?」
「妬いてるの。彼の気持ちがその画家に移ってる。天才なの?画集が売ってないわ。」
「74年に1冊だけ。絶版だ。」 「最後の個展はいつ?」 「君の生まれる前だ。お嬢様。」
「人が住んでるの?」
「もちろんさ,快適だよ。」
「もっと大きな家を買ってあげる。」 「こんな家はいや。」
確かに,それはまるでドラキュラの城のようだった(探偵の感想)。 
「マガリかい?大きくなった。ご夫妻はどこ?」
「ジュスティーヌが逃げたの。」 (続く)
注1:「化学者」には「魔術師」,あるいは「ペテン師」という裏の意味もある。





























































