映画探偵室 -1940ページ目

映画「昼顔」(14) - 東洋的方法

セヴリーヌは何とはなしに,この東洋人に期待するところがあったのだろうか?
肩を組んで 部屋に








なぜ鍵をかける?

なぜ鍵を?

しかも、言葉の通じない相手。

(以下聞き取れた音のみを記すので,読者はお好きなように解釈してください:探偵)
サンナガロ、ホロビッシュ、シャーシャーチャマグ、モークムスブラージュ、サンメダバク。
アラジャ...

エンヌビクビクサンナ、プズバアナ。アナハムエンサラナク、サラ?
意味不明語 箱の中味








あぶあぶ
サヌガロ、アブ、ブッカシ。
あにこれ?

「怖くない,怖くない」(ここはフランス語)





ガーガーガー、エガナ、ショーグウンタレ。

(どうも,ブラは取るな,パンティだけ,と言っているよう:探偵)
脱ぐ ブラは取らないで







おいほめんばてくに

ボカヌジュ。



オーイハメンバックニ、オースムコホレ、モコッ、オイヤ。


ハーユムチャムイムイ、コ(男が筋肉を震わせると鈴が鳴り出した。)
逞しい体 鈴を振る1







鈴を振る ハライヌホンヒーグ、エヤタンチャマサグ、ホンジャノビ。








いいわね

シャーラチャチャム、ボディングモラー、アチバンジャマチ(呪文のように聞える:探偵)

あら、いいわね。逞しい背中



















きききりん お帰りカティ








成績表

「お帰りなさい。勉強はよくやってる?

成績表を見てもらいなさい。」


「お帰りなさい,カティ,どうだった?

成績表を見せて。」

「私に挨拶は?」

「ただいま。」
日曜日には

「お帰り,日曜日にお祭りに行く?」

「もちろん行くわ。」

「嬉しい?」

「ええ。」

「いい成績だわ。」

マダム、アナイス。インク瓶はない?
インク瓶を マダム・アナイス








まったく,もう そんなのないわよ、まったくもう。




あの東洋人が満足げに部屋から出てきた。歩くたびに鈴がなる。

居合わせた娘を見ると挨拶をしたようだが,何を言っているのかは分からない。メイドは思わず娘を引き離した。

満足だ 娘の顎を








娘を庇う 帰る








娘を二階に

礼儀正しく東洋人が出て行くと,「宿題をするのよ」と娘を送り出し,自分はセヴリーヌが使った部屋に向かう。









倒れたスタンド 倒れているスタンド。
たんす付近にはタオルのようなもの。

セヴリーヌの下半身には切り裂かれたシーツのようなものがかけられていた。


「恐ろしそうなお客ね。

仕事も楽じゃないわね。」
きききりん2 事後のセヴリーヌ








顔を上げる 顔を上げる2








感じたわ1

「最高に感じたわ。」








注:上記のエクスタシーの表情は明らかにカットされている。以前に本ブログに掲載した文庫本の表紙にある画像はDVDにはない(筆者は別のソースで見た記憶がある)。また,仔細に見ると画像内に切断の後遺症とみられる傷がある。

公開用として何らかの機関がカットするのは上映当時として止むを得ない場合があるとは思うが,ブニュエルほどの偉大な作家の作品としては,その没後に復元するのが礼儀というものではないだろうか。

映画「昼顔」(13) - 扱いやすい客

そろそろ教授が
「そろそろ教授が来るわ。紹介するわ,あなたが気に入るはずよ。」



「だれ?」

「有名な産婦人科医よ。」

「世界的な名医。先月も出張手術に来たのよ。」

ドアのベルが鳴っている...

「来たわ。」
だれ? 世界的な名医








本物の貴族の娘

「新顔がいます。」

「あん。」

「お気に召しますわ。内気ですが、本物の貴族の娘です。」

「ほんとか?それは楽しみだ。」





どうぞ


「どうぞ。」








のりぞー2 のりぞー1








のりぞー4 のりぞー3








ムチ 金具








用意


隣室からは何やら金具のカチャカチャする音が聞えている。



「何をしている。まだ早い!服を着ろ!」
まだ早い
開けて







改めて...
アントレ







「アントレ。」

お呼びで?
「お呼びで?」





「何かご不満でしょうか?」

「ええ,いいえ。」

「だめだ。マダム,ちょっと。」
何かご不満でしょうか だめだ





「シャルロットと交代よ。」

「すぐ教授の所へ。」
シャルロットと交代 来て
入って見学










「こっちに来て。」

「入って,ここで見学なさい。」よく見るのよ

「よく見るのよ。」












おはいり! 何かご不満でしょうか?何かご不満でしょうか2 お入り








これで掃除したの
「これでも掃除したの?

キレイにおし!」





「実は、花瓶を...」


きれいにおし 実は花瓶を








また割ったの
「また割ったの?お前はクビよ。」






「それだけはご勘弁を,侯爵夫人様。

今後気をつけます。どうかお傍に。」
それだけはご勘弁を お前は役立たず







よく分かっております
「お前は役立たずよ!」

「よく分かっております。」





しかし,シャルロットがムチを手にすると... 「まだ,早い!」

ムチを手に まだ早い








まちがえた やりなおし。






「どんな罰も受けます。打ってください。

「クビだけは勘弁を。」(と言いながら,手はどこに延びているか,と探偵は注目する)
打ってください クビだけは









いやらしい 「いやらしい!」と延ばされた手をピシャっと叩く。





どうも失礼を。無礼はいたしません,と言いながらも手をどんどん中へ...
どうも失礼を ずっと隠してきましたが奥様を愛しています。







この,バカ!
バカ! 愛しています








身分不相応 愛しています。身分不相応なことを申しました。




顔を踏みにじって,罰してください。


「恥知らずの豚め,懲らしめてやる。」



顔を踏みにじって 恥知らずの豚め







別のお客様よ 隣室からは教授の声がなおも聞こえてくる。

「愛はつのるばかりです。

奥方様。    もっと強く叩いて,ああ~」



「来て,別のお客様よ。見たわね?感想はどう」
あそこまで堕落 「あそこまで堕落するなんて,おぞましいわ。」








東洋人と思しき巨漢がマチルドに箱の中味を見せている。箱からは虫の飛ぶ羽音が聞えている。

「私はごめんよ,こんなの。」わたしはゴメンだわ
「アージャベ、ポンマ」(なんだ,ダメか)









この子はいかが? 「この子よ。いかが?」

「ジャクソンムカン,カムチ,サンナガロヨイビチョマ」(いい金髪娘がいるじゃないか,気に入ったよ)


東洋人はそれじゃあ,というようにカードを出した。じゃくそんかきむち






「それは?芸者クラブ・カード?ノン・ノン,このカードダメ。

現金払いよ。」

「エー,ムルング。パアナ。」(あそう,分かった,分かった)


東洋人は現金を取り出した。

芸者クラブ このカードはだめ








金を出す 「確かに。じゃ,ごゆっくり。」
「サャン,モウチョンマンク」(これでよし,じゃ行こうか?)








ごゆっくり さあ行こう






うれしそう
すっかり娼婦が板についてきたセヴリーヌだが...








注:東洋人(日本人)だそうなので,探偵が適当に超訳しました。

超現実主義(シュールリアリズム)と言語の関係

前回のブログでシュールリアリズム絵画に触れたが,ブニュエル達のシュールリアリズム運動は言語と深い関係にある。ダリとの共同制作で一大センセーションを起した前衛映画「アンダルシアの犬」で検証して見よう。

http://www5f.biglobe.ne.jp/~st_octopus/MOVIE/SILENT/16DALI&BUNUEL.htm
眼
有名な冒頭の,女の眼を剃刀で切り裂くシーン。

これは明らかに,「眼を見張る」という表現,あるいは「眼を見開く」という表現の映像化である。


それが極端な痛みを伴うこと,日常を裏切る革命的なこと,であることが的確に表されている。私たちが通常現実だと思っている世界は,表層的な世界であり,曇った眼で見た幻に過ぎない,とでも言うようだ。映画こそがそれを暴くのだ,とブニュエルは言いたいようである。




手から蟻こlれはダリの発案と言われているが,掌から無数の蟻が湧き出てくる。スペインの古いことわざに「手から蟻が沸く」というのがあるそうで,日本語で言えば「瓢箪から駒」にあたる。

それを実際に映像化したものであるが,それによりその衝撃を直接体験することができる。

何かが変化する(革命)とは,まさに,常識を覆すような,こういうことを言うのである。

商業映画ではあるが,「昼顔」にも,仔細に観察すると同様の手法が幾つか垣間見られる。