とどまることのないスクランブル交差点は、
青や赤や黄色を使って人や車の流れを淡々と捌いていく
少し後ろに下がった植え込みのそばでそれをぼんやり眺めていた彼はふと思った
「人って何なんだろう?」
この世界で一番優しく、一番残酷な生き物
人が存在するが故に生まれていく文明はこの星を導き破壊し、
他の命はどんどん消えていく
このままのさばり続けて行けば、
いつか人同士の共食いに淘汰されてしまうんじゃないか?って想像した彼は少しバカらしく笑った
でも、それが”賢さ”故の行き着く運命(さき)かも?
愛によって救われること
愛によって見棄てられること
人の「わがまま」はどこまで許されるのだろう?
時の流れのように、文明はなかなか後戻りできない
過ちを繰り返しながら進んで行くことしか出来ないんだ
ならば、その先に広がる世界は
どんな宥恕の色に満ちているのかな?
ただ幸せを願う細やかな笑顔が溢れているこの街はとても直向きで、彼の迷いも風に飛ばしてしまいたいけれど
このままじゃいけないってことは、やっぱりこれからも続いて行くことなのだから。
近道を急ぎ過ぎた代償を払わされる前に
少しでも傷が浅くなれるよう愛し合って行かなければ。
そんなどうしようもない彼の愚痴が雑踏に紛れていく
それでもやっぱり晴れた空は青く、未来はずっとこれからを心配顔で見つめている
すべての命が優しい想いで繰り返して行ける世界が、この星の姿であり続けたらいいなと彼は思った、、、。
(再来年の夏に、もしかしたら訪れる大きな裁きに
それでも人の未来が優しく続いて行きますように、、、。)