乱訴(らんそ) | 二文字熟語

二文字熟語

漢字の中には、その文字を超越した深い意味思いが込められていることが多くあります。日頃何気なく読んでいる数々の言葉の中に、脈々と流れている日本精神を読みとろうと努めてみませんか。とても、興味深い事実に気がつくはずです。

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 今日の言葉は、乱訴(らんそ)です。

 大量消費時代の消費者被害に対処するため、消費者庁では、消費者被害の救済を目的とした新しい訴訟制度の立案を本格化させているそうです。今のような時代の消費者被害には、多くの消費者に同種の被害が発生するという特性があるそうです。企業サイドからは、米国の集団訴訟のイメージと重なるのか反対の声も多いといいます。ただし、現在のわが国の司法制度の使い勝手の悪さを補うための制度見直しは、当然の動きでしょう。日本経済新聞の記者の弁を借りれば”肝心なのは、被害者救済と乱訴(らんそ)防止のバランス”。

 さて、乱訴(らんそ)という言葉ですが、この言葉を国語辞典で調べても出てきません。この日経記者の造語かと思いきや、法曹界では、日常的に使われているようです。Yahooの知恵袋の中で、次のような解説を発見しました。”裁判で訴えられた側が買った場合、訴えた方に裁判費用、弁護士費用、人件費や諸経費、心的苦痛の慰謝料などを請求できますか?請求できますが、拒否されたら、今度は原告に対し、訴訟を起こすということになります。こういうのを乱訴っていうらしいです。”一応、それぞれの文字の意味を眺めて見ますが、乱(らん)は、物事の筋道が決まらない、あるいは秩序が立たない、といった意味。また、訴(そ)は、上に申し立て裁判を願う、不服を申し立て解決を求める等の意味となります。

家hada
 日本では、アメリカのような訴訟社会に馴染まないというのが、私の感ずるところです。例えば、PL保険制度(製造物賠償責任保険制度)が、何年か前からPL法(製造物責任法)という法律に基づいて運用されていますが、もともと米国で製品の製造業者等に対して損害賠償請求する訴訟が多く起きていることから、わが国でも同様の訴訟が多発することを懸念して出来上がった制度です。・・が、意外にも、わが国では企業に対して製造物責任を問う訴訟が多発している状況にはありません。争いを好まぬ国民性のなせるワザとでも言うのでしょうか。だからといって、企業も、そういった状況にあぐらをかいてはいけないと思いますが。