文書名 無償又は低額譲渡の場合の取扱い
文書番号 0089
作成日 2013/09/21
ジャンル 所得税
Ⅰ 事例
高級家具販売店を営む個人事業者甲氏は本年において、次に掲げる資産の譲渡をした。この場合の、甲氏の所得税の取扱いはどうなるか。
① 友人の乙氏の結婚祝いに販売している家具をプレゼントした。なおこの高級額の販売価額は100万、仕入れ価格は60万である。
② 甲氏の弟である丙氏が音楽教室を開きたいということなので、今まで倉庫として使っていた土地付き建物を丙氏に売却した。
不動産屋に調べてもらった時価は1,000万であるが、丙氏にこれを300万で売却した。
なお、土地付き建物は20年前に700万で購入したが、譲渡時の取得費(倉庫の減価償却計算後)は500万円である。
Ⅱ 取扱い
① 棚卸資産を個人に贈与した場合は、事業所得の金額の計算上では販売価額100万円で売上を計上しなければならない。ただし、通達により売価の70%である70万円を売上として計上しているときはこれが認められる。
② 土地建物の売却については、これを事業用の倉庫として使っている場合であっても、所得の区分は譲渡所得になる。
譲渡所得となる資産について時価の1/2未満の価額で売却した場合は著しく低い価額で譲渡したことになる。
つまり時価1,000万円×1/2>売価 300万円 従って本件は低額譲渡になる。
この場合の譲渡所得は 売価300万円 - 取得費500万円 = △200万円となり譲渡損となるが、低額譲渡の場合には譲渡損はなかったものとみなされる。
所得税の計算では丙氏は甲氏の取得費及び取得時期を引き継ぐことになり課税関係は生じない。
ただし、土地建物の公正な評価額と売価との差額については贈与税が課税されることになる。
Ⅲ 根拠
[1] 対価課税の原則
その年分の各種所得の金額の計算上収入金額とすべき金額又は総収入金額に算入すべき金額は、別段の定めがあるものを除き、その年において収入すべき金額(金銭以外の物、権利、その他経済的利益をもって収入する場合にはその物又は権利その他経済的利益を享受する時の価額とする。)とする。
[2] 棚卸資産の贈与等
次の事由により居住者の有する棚卸資産(事業所得の基因となる山林及び有価証券、棚卸資産に準ずる資産を含む)の移転があった場合には、次の金額に相当する金額は、その者のその事由が生じた日の属する年分の事業所得の金額又雑所得の金額の計算上、総収入金額に算入する。
① 贈与(相続人に対する死因贈与を除く)又は遺贈(包括遺贈及び相続人に対する特定遺贈を除く)・・・その贈与又は遺贈の時におけるその資産の価額。
[3] 棚卸資産の贈与等に関する通達の取扱い 所得税法基本通達 39-2
[2]に該当する贈与又は遺贈をした場合において、その棚卸資産の取得価額以上の金額をもってその備え付ける帳簿に記載を行い、その算入している金額が、時価に比し著しく低額(概ね70%相当額)でない限り、これを認める。
[4] 譲渡所得の基因となる資産等に関する別段の定め
① 譲渡損がなかったものとされる場合
個人に対して著しく低い価額の対価(譲渡時の価額の1/2未満)による譲渡があった場合において、その対価の額が必要経費の額又は取得費及び譲渡費用の額の合計額に満たないときは、その不足額は、これらの所得の金額の計算上なかったものとみなす。
[5] 譲渡所得の基因となる資産等
(1)譲渡した者が時価課税されていない場合
居住者が次の事由により取得した資産を譲渡した場合における譲渡所得等の金額の計算については、その者がその資産を引き続き所有していたものとみなす。
① 居住者が個人に対し、著しく低い価額の対価(譲渡時の価額の1/2未満)により譲渡した場合において、その対価の額が必要経費又は取得費及び譲渡費用の額の合計額にみたないこととなる場合に該当する譲渡。
[6] 低額譲渡 相続税法7条
(1) 課税される場合
著しく低い価額の対価で財産の譲渡を受けた場合においては、その財産の譲渡があった時に、その財産の譲渡を受けた者が、その対価とその譲渡時の財産の時価との差額に相当する金額をその財産を譲渡した者から贈与又は遺贈により取得したものとみなす。
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